2019-02-15-oita©Hinatsu Higurashi

片野坂トリニータの挑戦。独特の“可変システム”を継続しJ1で戦う【J1戦力分析/大分編】

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    ❏期待度(A・B・Cの3段階評価)

    ■シーズンの期待度:B
    組織力でどこまでやれるかが興味深い

    ■戦力の期待度:C
    戦力のほとんどがJ1では未知数

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  • 2019-02-15-onaiwu©J.LEAGUE

    ❏新加入選手

    ティティパン(1月18日)
    [←バンコク・グラスFC(タイ)/期限付き]

    坂井大将(1月7日)
    [←新潟/復帰]

    吉平翼(1月7日)
    [←秋田/復帰]

    高山薫(12月29日)
    [←湘南/完全移籍]

    島川俊郎(12月26日)
    [←甲府/完全移籍]

    小塚和季(12月26日)
    [←甲府/完全移籍]

    三竿雄斗(12月26日)
    [←鹿島/完全移籍]

    ポープ・ウィリアム(12月25日)
    [←川崎F/期限付き]

    オナイウ阿道(12月25日)
    [←浦和/期限付き]

    伊藤涼太郎(12月25日)
    [←浦和/期限付き]

    庄司朋乃也(12月21日)
    [←C大阪/期限付き]

    小林成豪(12月17日)
    [←神戸/完全移籍]

    前田凌佑(12月12日)
    [←神戸/完全移籍]

    小島亨介(10月12日)
    [←早稲田大/新加入]

    高畑奎汰(10月9日)
    [←大分U-18/新加入]

    長谷川雄志(6月26日)
    [←宮崎産業経営大/新加入]

  • 2019-02-15-oita-yoshinobu-suzuki©J.LEAGUE

    ❏ポジション別キーマン

    ■GK
    1 高木駿

    GKが11人目のフィールドプレーヤーとしてビルドアップの起点となるスタイルに、ここまでの在籍2年間で見事にフィット。周囲と連係して賢いポジショニングとボール回しで相手を動かし、チーム戦術を体現する。アグレッシブな守備にも安定感があり守護神の座は不動。JリーグYBCルヴァンカップではU-23代表GK・小島亨介の台頭も期待される。

    DF
    5 鈴木義宜

    率者・鈴木義宜を軸に、左に福森直也、右に岩田智輝と、昨季の躍進を支えたメンバーによる最終ラインが、当面は最もスムーズに戦術を体現できる。ただし、さらに機動力を増す意味で、左に島川俊郎を配置したり、守備の強度を高める狙いで対人に強く高さのある庄司朋乃也を右で起用する可能性もありそうだ。

    MF
    32 前田凌佑

    安定感抜群の丸谷拓也とアグレッシブな前田凌佑の昨季から慣れ親しんだボランチコンビが鉄板だが、こちらにも機動力向上を目的に島川俊郎が食い込んでくる可能性がある。昨季は3ボランチも採用しており、小手川宏基や小塚和季ら、クレバーでポジショニングに長けた選手がファジーな立ち位置で動き回るプランも面白そうだ。

    FW
    10 藤本憲明

    コンビネーションが重要となる前線には、現時点でチーム戦術を知り尽くしている三平和司、藤本、小手川の3名を予想。ただし、片野坂監督は対戦相手に合わせて戦力を使い分けるため、対戦相手のスカウティングによって顔ぶれは千変万化しそう。強度のある伊佐耕平やオナイウ阿道、献身的な馬場賢治や後藤優介ら、組み合わせのバリエーションは実に多彩だ。

  • 2019-02-15-oita-eleven©Goal

    ❏予想布陣/戦術を読み解く

    源流は、片野坂監督が広島でコーチ時代にミハイロ・ペトロヴィッチ監督から学んだ“ミシャ式”だ。[3-4-2-1]をベースとする可変システムは広島と同じだが、そこから選手の特徴や対相手戦術などを踏まえて独自のアレンジを繰り返し、対症療法的にオプションを増やすと、大分ならではの型を作り上げてきた。

    基本コンセプトは「ボールを保持することで相手の状態を変化させ、それによって生まれたスペースを使って攻める」というもの。アクションを起こして生み出した状況にリアクションする形でプレーを選択するため、論理上はつねに相手を上回れることになる。

    その攻撃的スタイルで挙げた昨季J2最多の76得点の主な内訳は、戦術の組織的要素の濃さを象徴するように、馬場賢治と藤本憲明が各12得点、三平和司と後藤優介が各10得点と、多彩な得点者によるものだ。出場時間の短い選手がチーム得点ランク上位に名を連ねているのも興味深い。一方、セットプレーでの得点が少ないのは課題点だ。

    失点はやや多め。昨季も守備が大崩れすることは少なかったが、ボールの失い方が悪かったり相手の個の力で打開されたりすることが目立った。今季J1では致命傷になりかねないので、早めに修正しておきたい。

  • 2019-02-15-oita-takagi-shun©J.LEAGUE

    ❏3つのポイント/その1:戦術の継続による練度の高まり

    片野坂監督が就任した2016年以来、段階的に進めてきたスタイルの構築が、主力選手との契約更新および戦術にフィットした戦力補強によって、スムーズに継続されている。特に今季は、昨季後半に先発出場を続け、J2での躍進を支えた多くのメンバーが残留。

    より優位な状況を作り出すためのボールポゼッションの起点となるGK高木や鈴木、福森、岩田の3センターバック、ボランチの丸谷と前田がプレシーズンから好調さを発揮したことで、戦術の土台がある程度固まった状態からスタートでき、新戦力の組み込みも順調に進んでいる。

    サイドや前線のメンバーにも戦術理解や連係面での積み上げが感じられ、様々な試合状況に柔軟に対応できるようになっているのは大きな強みだ。

  • 2019-02-15-oita-kaoru-takayama©J.LEAGUE

    ❏3つのポイント/その2:個々の力量UPによる組織強化

    今季はJ1での戦いに向けて、13名の新戦力を獲得した。島川、小塚、伊藤といった、組織の中で生きるストロングポイントを擁した選手たちは、スムーズに戦術にフィットするとともに、組織の骨格強化を実現する。

    一方で、大分の特殊な戦術にフィットするにはある程度の努力と時間を要する可能性もあるが、個々の局面でのポテンシャルに期待できる新戦力も加わっている。昨季J2で22得点を挙げたオナイウ阿道、足元の技術に長け単騎突破でゴールに向かうことのできる小林成豪、爆発的なスピードとハードワークが持ち味の高山薫、対人守備に強い長身の庄司朋乃也らは、完全にフィットする前の段階でも、それぞれの長所を生かしてアクセントになってくれそうだ。

  • 2019-02-15-oita-katanosaka©J.LEAGUE

    ❏3つのポイント/その3:柔軟にして的確な選手起用

    昨季J2でも分厚い選手層を生かし、特に攻撃陣に関してはチーム状況や対戦相手の特徴に合わせて試合ごとに多彩な選手を起用して戦った。今季も全域で複数ポジションをこなすメンバーが多く、戦力の組み合わせは多岐にわたりそうだ。

    戦術のベースが確立しており、配置する戦力を入れ替えることで、その特徴によりニュアンスの異なる戦い方ができる。選手個々のコンディションをこまめに把握し、相手チームを的確にスカウティングできれば、チームのポテンシャルを最大限に引き出せるはずだ。ほとんどの戦力がJ1では未知数だが、実戦を通じて成長を促したい。シーズン終盤に向けて右肩上がりになるようマネジメントしていく指揮官の手腕に期待がかかる。

  • 大分トリニータ

    ❏大分の開幕3試合日程

    【第1節】
    2/23(土)
    15:00 鹿島 vs 大分(カシマ)

    【第2節】
    3/2(土)
    16:00 大分 vs 松本(大銀ド)

    【第3節】
    3/9(土)
    15:00 磐田 vs 大分(ヤマハ)

  • jleague-kaimaku.jpg©J.LEAGUE

    ❏J1戦力分析 全18クラブをチェック

    北海道コンサドーレ札幌札幌
    2/12掲載!
    昨季:4位
    ベガルタ仙台仙台
    2/19掲載!
    昨季:11位
    鹿島アントラーズ鹿島
    2/13掲載!
    昨季:3位
    浦和レッズ浦和
    2/12掲載!
    昨季:5位
    FC東京FC東京
    2/19掲載!
    昨季:6位
    川崎フロンターレ川崎F
    2/13掲載!
    昨季:1位
    横浜F・マリノス横浜FM
    2/18掲載!
    昨季:12位
    湘南ベルマーレ湘南
    2/15掲載!
    昨季:13位
    松本山雅FC松本
    2/18掲載!
    昨季:J2 1位
    清水エスパルス清水
    2/20掲載!
    昨季:8位
    ジュビロ磐田磐田
    2/19掲載!
    昨季:16位
    名古屋グランパス名古屋
    2/12掲載!
    昨季:15位
    ガンバ大阪G大阪
    2/20掲載!
    昨季:9位
    セレッソ大阪C大阪
    2/14掲載!
    昨季:7位
    ヴィッセル神戸神戸
    2/14掲載!
    昨季:10位
    サンフレッチェ広島広島
    2/20掲載!
    昨季:2位
    サガン鳥栖鳥栖
    2/15掲載!
    昨季:14位
    大分トリニータ大分
    2/15掲載!
    昨季:J2 2位
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    ❏Jリーグ開幕特集

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