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選手層、複数大会を戦い抜く経験値がカギ。本命、対抗、サプライズは?【記者のJ1優勝予想】

  • urawa.jpgJリーグ提供

    本命:浦和レッズ

    [昨季成績]
    J1:5位
    天皇杯:優勝
    ACL:不出場
    ルヴァンカップ:POステージ敗退

    ■選手層の厚さはJ1屈指

    16日のFUJI XEROX SUPER CUPでは川崎Fにほぼ完敗の内容だったが、興梠慎三と杉本健勇の2トップや新ブラジル人ボランチ・エヴェルトン、攻撃力のある山中亮輔を左に入れ、宇賀神友弥を右サイドに回すオプションなど、いくつかのテストを行った。オフからフィジカル中心に追い込んだキャンプを経ての“最初の90分”としては有意義だったと言える。

    かつて鹿島アントラーズをリーグ3連覇に導いたオズワルド・オリヴェイラ監督はフィジカルコーチ出身でもあり、シーズン70試合をこなすことを想定したチーム作りをしている。そのため、浦和の選手層の厚さはJ屈指であることは間違いない。ACLを戦いつつ安定して勝ち点を積み重ねるベースはできている。

    ただし、現状のコンディションや試合勘を考えると、やはり最初の数試合で”取りこぼし”のリスクも少なからずある。ゼロックス杯の相手が川崎Fだったこともあるが、やはり杉本を生かしたフィニッシュワーク、組み立ての質など大きく改善の余地を残しているからだ。

    昨年1勝1分けと苦しんだ第1節・ベガルタ仙台戦から始まり前浦和監督のミシャ率いる北海道コンサドーレ札幌、昇格組の松本山雅FC、ロティーナ新監督のセレッソ大阪、堅守速攻のFC東京と、まったくタイプの異なる相手がACLを挟んで続く序盤をうまく乗り切れないと、苦しいシーズンになる。

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  • kawasaki.jpgJリーグ提供

    有力:川崎フロンターレ

    [昨季成績]
    J1:優勝
    天皇杯:ベスト8
    ACL:グループ敗退
    ルヴァンカップ:ベスト8

    ■現在の評価から普通に考えれば本命

    2連覇中の王者はスタートダッシュに失敗した昨季の轍を踏まないとばかりに、非常に良い仕上げで開幕に臨めそうだ。FUJI XEROX SUPER CUPでのレアンドロ・ダミアンの衝撃的な活躍もあり、現在の評価から普通に考えれば「本命」だが、「有力」にしたのには理由がある。

    これまでACL制覇を成し遂げたJリーグのクラブは、勝ち上がるほど国内外の2つのコンペティションをこなすことが難しくなる構図があった。川崎Fは過去に出場したACLでは準々決勝が最高であり、準決勝、決勝と勝ち上がる中でリーグ終盤戦もこなすという経験をしていない。

    国内カップ戦含めたすべてのタイトルに可能性を残す終盤戦になれば、そこで疲労やケガ人も含め、起こりうるアクシデントを乗り切り、チームとして本気で目指している「4冠」を達成するには、中村憲剛など主力だけでなく、現時点ではサブの選手たちが大きな役割を果たさなくてはいけない。

    とはいえ、この点に関して「有力」であることに疑いの余地はない。沖縄合宿でのガンバ大阪とのトレーニングマッチでは、3、4本目を戦ったサブ中心のメンバーも質が高かった。守備の要の谷口彰悟も「誰が出てもいい、そのぐらいにレベルになって来ているなと。個々の特徴もそうですし、自分が出た時に何をしないといけないのかだいぶみんな理解しながらやっているので。準備は着々とできています」と語っている。良い競争状態を維持しながらシーズンのチャレンジを見届けたい。

  • abe01.jpg©J.LEAGUE

    対抗:鹿島アントラーズ

    [昨季成績]
    J1:3位
    天皇杯:ベスト4
    ACL:優勝
    ルヴァンカップ:ベスト4

    ■若い選手たちの成長は必須

    小笠原満男が引退し、昌子源や西大伍が移籍した状況で、誰もが驚くような補強はなかった。まさしく若い選手たちの成長にACL連覇もJリーグ奪還もかかっている。

    新キャプテンの内田篤人、新たに10番をつける安部裕葵への期待はもちろん、昨季の最終局面で負傷離脱したMF三竿健斗とFW鈴木優磨にもさらなる飛躍が望まれる。ただ、5月には安部が有力候補となるU-20W杯があり、Jのシーズン中に開催されるコパ・アメリカにも誰かしら主力が招集される可能性が高い。

    特に鹿島は組織力をベースにしながらも勝負どころで個人がそれぞれスペシャリティを発揮して、接戦をモノにする傾向が強い。その意味では組織の戦力としては十分に計算できそうな新戦力の伊藤翔や白崎凌兵も含め、個の強さを研ぎ澄ませていきたいところだ。その意味で昨季は途中加入でACL制覇の立役者になったセルジーニョがスタートからいることは心強いが、状況によってはまた夏の補強が大きなカギになってくるかもしれない。

  • 20181201-KOBE-David Villa(C)J.LEAGUE

    サプライズ:ヴィッセル神戸

    [昨季成績]
    J1:10位
    天皇杯:ベスト16
    ACL:不出場
    ルヴァンカップ:POステージ敗退

    ■浮沈のカギは新加入の山口とセンターバック

    フアン・マヌエル・リージョ監督は欧州サッカーのトレンドを作ったとも言える存在で、そうした指導者がJリーグのクラブにいることは本当に貴重だ。外国籍選手枠の拡大という恩恵を最大限に使い、クラブは積極補強に動いた。

    ポドルスキ、イニエスタにビジャが加わった攻撃のクオリティは間違いなくリーグ屈指だが、攻守のバランスをいかに取っていくかは上位争い、そして優勝までを考えると難しい。

    昨季は真っ向から打ち合いを挑んではね返された川崎Fなどとの対戦で、どこまでボールを握りに行き、どこで折り合いをつけるのかといった戦略面も、半シーズンJリーグを経験したリージョ監督の腕の見せどころだ。

    浮沈のカギは新加入のMF山口蛍、そしてまだ正式発表はされていないが、ブラジル人センターバック・ダンクラーが握っているかもしれない。また指揮官や良質な外国籍選手の影響で国内の若手が成長すれば、それだけ上位躍進の可能性が高まる。

    チームづくりはまだ途上であり、優勝はかなり困難な道のりではあるが、神戸がリーグ制覇あるいはJリーグYBCルヴァンカップや天皇杯など何かしらのタイトルを獲れば、Jリーグ全体に大きなインパクトをもたらすはずだ。

  • tokyo-sapporo.jpg©J.LEAGUE

    大穴:FC東京&札幌

    [昨季成績:FC東京]
    J1:6位、天皇杯:ベスト16、ACL:不出場、ルヴァンカップ:グループ敗退

    [昨季成績:札幌]
    J1:4位、天皇杯:ベスト16、ACL:不出場、ルヴァンカップ:グループ敗退

    ■FC東京:攻撃のクオリティーをアップさせる補強

    Jリーグには大方の予想を覆す躍進がつきものだ。昨季のFC東京も前半戦は首位を走るサンフレッチェ広島を追いかける形で勝ち点を重ねた。ただ、長谷川健太監督の掲げるファストブレイク=堅守速攻は就任1年目ということもあり、良くも悪くもワンパターンでもああり、2度目の対戦となる後半戦では相手に読み切られてしまったところがある。

    長谷川監督は今季も基本的にスタイルを変える気はなさそうだが、攻撃のクオリティーや迫力をアップさせる補強を敢行している。韓国代表MFナ・サンホ、開幕直前に獲得が発表されたブラジル人FWジャエルはうってつけの戦力でもある。横浜F・マリノスから復帰した久保建英もフィジカル面の向上が見られ、左足の技巧を生かして攻撃のアクセントとして絡めるようになれば面白い。

    ■札幌:チームの完成度が上がった時の”爆発力”

    昨季4位の札幌は“ミシャ式”がさらに浸透し、パスワークにダイナミックな展開を加えた多彩な連動サッカーでさらなる躍進を目指している。

    鈴木武蔵やU-22代表の岩崎悠人といったポテンシャルの高い新戦力がどのあたりでフィットしてくるかは未知だが、”ミシャの申し子”とも言える駒井善成は強い責任感を持つ言葉を発しており、チームの完成度が上がった時の”爆発力”はかなり高そうだ。また、タイ代表チャナティップはスタートから全開で入れそう。都倉賢の移籍で懸念される前線は鈴木に加えて元広島のアンデルソン・ロペスを獲得している。1トップはもちろん、シャドーもできる選手であり、困った時の個の打開力もある。札幌のキーマンの1人であることは間違いない。

    ■ほかにも有力候補はある

    さらに”優勝候補”とまで推せないが昨季2位の広島、攻撃的なスタイルを突き進む横浜FM、ヤン・ヨンソン監督の戦術浸透が見込まれる清水エスパルスは上位争いに絡んでくる有力候補として見ている。

    宮本恒靖監督率いるガンバ大阪は、攻守がかみ合えば”台風の目”になりうる。そして昇格組の松本山雅FCと大分トリニータにも、Jリーグを昨季以上に活性化させる奮闘を期待したい。

  • j1-preview.jpg©J.LEAGUE

    J1全18クラブ 戦力分析

    北海道コンサドーレ札幌札幌
    2/12掲載!
    昨季:4位
    ベガルタ仙台仙台
    2/19掲載!
    昨季:11位
    鹿島アントラーズ鹿島
    2/13掲載!
    昨季:3位
    浦和レッズ浦和
    2/12掲載!
    昨季:5位
    FC東京FC東京
    2/19掲載!
    昨季:6位
    川崎フロンターレ川崎F
    2/13掲載!
    昨季:1位
    横浜F・マリノス横浜FM
    2/18掲載!
    昨季:12位
    湘南ベルマーレ湘南
    2/15掲載!
    昨季:13位
    松本山雅FC松本
    2/18掲載!
    昨季:J2 1位
    清水エスパルス清水
    掲載予定
    昨季:8位
    ジュビロ磐田磐田
    2/19掲載!
    昨季:16位
    名古屋グランパス名古屋
    2/12掲載!
    昨季:15位
    ガンバ大阪G大阪
    掲載予定
    昨季:9位
    セレッソ大阪C大阪
    2/14掲載!
    昨季:7位
    ヴィッセル神戸神戸
    2/14掲載!
    昨季:10位
    サンフレッチェ広島広島
    掲載予定
    昨季:2位
    サガン鳥栖鳥栖
    2/15掲載!
    昨季:14位
    大分トリニータ大分
    2/15掲載!
    昨季:J2 2位
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