Goal.com
 japan england(C)Taisei Iwamoto

【現地初】聖地で“本物”だと証明した日本代表…強さの源は三笘薫が示唆する内容への危機感

■“本物”の証明

フットボールの聖地で、日本代表が“本物”だと証明した。79,233人が見守るウェンブリーでイングランド代表を1-0で撃破。W杯に向けた腕試しが、歴史的勝利という最高の答えをもたらした。

「自分たちが理想としていたゲーム展開に持っていくことができた」(鎌田大地)

強敵・イングランドとの差を十分に理解した上で、日本は我慢強く戦うことを選択した。高い位置からプレスに行くのではなく、相手がボールを持つことを受け入れ、ブロックを敷きながら跳ね返しつつチャンスをうかがう形を選んだのだ。

その結果、勢いのある相手の立ち上がりを抑えることに成功すると、23分に三笘薫のボール奪取をきっかけにショートカウンターを発動。最後は中村敬斗からのグラウンダーのパスを三笘が冷静にゴール右へと決め、先制点を奪った。

ここで勢いに乗って攻撃に向かう、ではなく、日本は我慢強い戦いを継続。タフに戦いながら堅守を貫いた。後半も相手が試行錯誤を仕掛けてくる中で、選手交代を交えながら体を張った守備で対抗。聖地ウェンブリーで歴史的な勝利をたぐり寄せた。

■理想の形

kamada japan(C)Taisei Iwamoto


描いた“理想”の形で勝利を手にしたことは、チームが強くなっている証拠だろう。自分たちの実力をしっかりと分析した上で、聖地で勝つためのリアリズムを貫いた。かつての日本なら、ここから自分たちでバランスを崩したり、相手の猛攻に耐えられなかったかもしれない。

しかし、今の日本は欧州のトップレベルを知る選手たちの集まりだ。相手の土俵で真っ向勝負を挑む危うさを、彼らは身を以て理解していた。鎌田は勝利を喜びつつも、冷静に手応えを明かした。

「やはり失点しないことが一番大事だと思うし、それにプラスして早めに得点することができた。今日はうまく試合を進めることができたし、割り切って勝利ができたと思う。そういう面で、本当に久しぶりに自分たちの理想的に進めたんじゃないかなと思います」

特筆すべきは、多くの選手を入れ替えながらも守備の決壊が起きなかったことだ。スタメンが築いた守備の統一を、途中出場の選手たちがしっかりと引き継ぐ。この戦術面の共有が最後まで継続されたことは、W杯という短期決戦を勝ち抜く上での総合力向上につながると言っていいだろう。

■強さの源

japan england2(C)Taisei Iwamoto


もちろん、勝利に浮かれているわけにはいかない。イングランドはハリー・ケインら主力を欠いた状態で、決してベストなチームを送り出してきたわけではなかったからだ。その中で、思った以上にボールを保持できなかったことは明確な課題としてある。最後まで跳ね返し続けたディフェンス陣は見事だったが、あの時間が長く続けば続くほど失点の可能性は高まってしまう。

今回のような戦い方で毎試合勝利できるほど、世界の壁は低くない。だからこそ、勝率を少しでも上げるための作業をしていく必要がある。三笘は歴史的勝利を喜びつつ、改善すべき課題に目を向けた。

「結果だけを見ればすごく良い勝利になると思いますけど、内容を見れば、ほとんどボールも握られていた。そこのギャップはしっかり埋めていかないと、本大会で痛い目を見るかなと思います」

この内容への危機感が、今の日本代表を強くしている源だ。守り勝つ術は今回示すことができたが、世界の頂を目指すならば守勢に回る時間を削り、いかに自分たちの時間を能動的に作り出すかが必要になる。それを全員が理解しているからこそ、チームにやり切った満足感はない。

ウェンブリーでの歴史的勝利は、チームの成長を示すと同時に、まだ埋めるべき差があることも教えてくれた。その両方を糧にしながら、日本代表はW杯本番へと歩みを進めていく。

取材・文=林遼平

広告