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shonan⒞Getty Images

「練習はウソをつかねぇな」。好調・湘南ベルマーレに表れた“カッコイイ”変化

昨季J1で19戦未勝利の屈辱を味わいJ2降格となった湘南。百年構想リーグの優勝を掲げるなか、長澤徹監督の下で“カッコイイ”変化が表れている。

■合言葉は「ALIVE」

敵地の神奈川ダービーで貴重な勝ち点3を手にし、今季2度目の3連勝を飾った直後のロッカールーム。先制点を奪ったFW太田修介は帰りの身支度を整えながらつぶやいたという。

「練習はウソをつかねぇな」

湘南は勝つことの難しさを知っている。太田の言葉を聞いた仲間たちは、この日の1勝を嚙みしめていたことだろう。

昨シーズンはJ1の舞台で19試合未勝利の屈辱を味わい、わずか8勝の19位でJ2降格。この日の試合会場ニッパツ三ツ沢球技場は、昨季J1第32節で残留争いをしていた横浜FCに0-1で敗れた因縁の場所だった。

今季より就任した長澤徹監督は、その試合を現地で観戦していたという。指揮官は、当時の湘南が味わった“絶望感”を知っていたからこそ、この日の勝利の意義を強調した。

「(去年の敗戦は)サポーターの方もすごく覚えていると思いますが、きょうのメンバーも7割くらいは(昨季の敗戦を)経験した選手だった。彼らを含めて新しく入った選手も当事者として戦えたので、半歩ですが進んでいる」

「きょうの試合が終わってからサポーターの顔を見たときに、悔しくて苦しい敗戦だったんだなと。ただ大事なのは、今年のチームが前進していくことなので、そういう意味では一つ乗り越える経験ができた。自分たちの力で一歩一歩返していくのがチームだと思います」

合言葉は「ALIVE」。

奇しくも、1年でのJ1復帰となった2018年シーズンと同じスローガンだ。長澤監督は常日頃から口酸っぱくこの言葉を口にするという。倒れてもすぐに立ち上がって切り替えろ。ミスしても下を向くな。リスクを冒せと選手たちに呼びかけ、J2から再起を図る。

サポーターも、クラブと同じ方向を向いている。百年構想リーグの開幕戦ではブラウブリッツ秋田に1-2で敗れ、不穏なスタートを切った。それでも「『優勝への道』魂込めて切り開くぞ」とこの日も横断幕が掲げられたように、前向きな言葉で背中を押し続けた。

まずはこのハーフシーズンで昨季の借りを返そうと一枚岩だ。在籍2年目のMF藤井智也は「それが今の僕ら」と確かな手ごたえを口にする。

「僕たちはマジで練習をサボらず、練習のゲームからめちゃくちゃプレス、プレスバックを繰り返しています。(優勝すると)口にし続けてきたなかで、秋田に負けてどうなるかと全員が思いましたが、そこからチームがぐっとまとまって崩れなかった。プレーの質自体はそこまで変わっていなくても、一人ひとりが強くなっているんです」

■湘南に表れたカッコイイ変化

ほぼ全員が「キツい」と口をそろえる湘南のサッカーだが、選手たちの顔には充実感が漂う。ハードなトレーニングを積んできたという自信が、この日もプレーに表れていた。

湘南は前線の3枚を筆頭にして激しいプレッシングを披露。 ビルドアップからゴールを目指す横浜FCに前進を許す場面もあったが、チーム全員でカバーしあって、2度追い3度追いを繰り返した。

攻撃面では指揮官が「勇気ある」と称賛したように、“ここぞ”という場面で強気なプレーを選択。積極的な仕掛けやチャレンジから3得点を生みだした。

湘南は内側から変わり始めている。

「リスクを取らないと相手も怖くないと思いますし、リスクを取って失敗したら長い距離を戻ればいいので。去年はリスクを取った選手のミスに対して『いやいや、それは違うでしょ』という文句が自分を含めて多かった。だけど今年は誰かがミスって戻るときに文句を言う選手は誰もいなくて、何だかそれがカッコイイなって思います」(藤井)

目指すは百年構想リーグでの優勝だ。次節で折り返し地点を迎えるなか、ここまでの成績は6勝2敗(PK負け1試合)となっており、好調をキープしている。

ただ、高い目標を掲げるからこそ、指揮官は試合終盤の1失点について「浮かれるなよという暗示だと思っています」と追及。

「勝った後ですが、そこはロッカールームで厳しくみんなに共有しました。ダメとか、サボっているのではなくて、我々がさらに前進するための何かが含まれているはずなので。そこは謙虚に受け止めようと伝えました」

湘南は1勝の価値を知っているのと同時に、1敗や1失点がチームに与える影響も理解している。だからこそ、3連勝を飾ったこの日だって誰も浮かれておらず、すぐさま次の課題と向き合った。

「また馬入(練習場の馬入ふれあい公園サッカー場)に帰ってトレーニングしていきます」(長澤監督)

練習はウソをつかない。

取材・文=浅野凜太郎

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