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欧州スーパーリーグとは?構想の全貌と参加チームまとめ|開催の反対意見・問題点は?
Goal欧州スーパーリーグとは?
レアル・マドリーが率先するビッグクラブ団体が主導となり、選ばれた一部のビッグクラブのみで行う新たなリーグ。かねてから水面下での構想が伝えられてきた中、2021年4月18日、12のビッグクラブの合意の下での創設決定が発表された。
しかし、実質的にチャンピオンズリーグ(CL)に取って代わる大会となるだけに、同大会を主催するUEFA(欧州サッカー連盟)などが反発。英・西・伊のリーグサッカー協会もUEFAの姿勢を支持している。
CLや各国内リーグの参加資格はく奪だけでなく、選手の国際主要大会参加に関わる処分も示唆されているため、実現可否は不透明。ビッグクラブ団体とUEFAがどのように折り合いをつけるのか、今後の情勢が注目されている。
そしてその後、一部クラブが利益を独占するような仕組みに対し、ファン・サポーターを中心とした猛反発もあって続々と離脱発表がなされており、早くも瓦解の様相を呈している。
Getty創設の背景は?
欧州スーパーリーグ初代会長に就任したレアル・マドリーのフロレンティーノ・ペレス会長は、創設に際して声明を発表。新型コロナウイルスによるパンデミックも大きな影響を及ぼしたことを強調した。
「新リーグ創設は、世界的パンデミックによって欧州フットボールの現経済モデルの不安定さが加速したことで生じるもの。パンデミックはフットボールのピラミッド全体の利益を助けるため、その価値を引き上げるた目に戦略的展望、商業的焦点が必要なことを明らかにした。創設クラブは彼らが提示する解決法では根本的な問題、つまりはフットボール界全体のためのクオリティーの向上や、さらなる財源の獲得について解決できないと考えている」
「私たちは私たちが世界の対応する位置から、フットボールはあらゆるレベルで助けていく。フットボールは世界で40億人のファンを抱える唯一のスポーツであり、私たちビッグクラブの責任は、ファンの願いに応えることにある」
Getty/Goal composite参加クラブは?
創設12クラブに今後3クラブが追加される予定。その15クラブに、前シーズンの成績に応じて5クラブが予選を経て参加。計20クラブで開催される予定だった。
しかし、ファン・サポーターを筆頭に各所からの猛反発を受け、続々と脱退を表明するクラブが出ている。
【プレミアリーグ】
※4月21日、全クラブ脱退表明
アーセナル、チェルシー、リヴァプール、マンチェスター・シティ、マンチェスター・ユナイテッド、トッテナム【ラ・リーガ】
アトレティコ・マドリー、バルセロナ、レアル・マドリー【セリエA】
21日にミランとインテルが脱退の意思を表明。レアル・マドリーと共に創設を率先してきたユヴェントスは事実上の白旗宣言。
インテル、ミラン、ユヴェントス
(C)Getty Images創設時からの参加拒否3クラブは?
創設時点で、バイエルン・ミュンヘン、ドルトムント(ともにドイツ)、パリ・サンジェルマン(フランス)が欧州スーパーリーグへの参加を拒否。ドイツサッカーリーグ機構、そしてPSGはともに不参加を表明する声明を発表していた。
この決断にUEFAは、リーグ・アンとブンデスリーガのクラブに感謝の意を述べている。
Getty composite脱退を表明したクラブは?
創設発表から2日、プレミアリーグから参加表明していた6クラブが脱退を表明。マンチェスター・シティに続き、リヴァプール、アーセナル、トッテナム、マンチェスター・ユナイテッド、チェルシーが離脱を発表した。
さらに21日にはアトレティコ・マドリー、ミラン、インテルも脱退の意思を表明。レアル・マドリーと共に創設を率先してきたユヴェントスは当初の構想を推進することは不可能と、事実上の白旗宣言を出している。

当初の日程・大会方式は?
計20クラブが2グループに分かれてホーム&アウェー方式で対戦。全試合ミッドウィーク開催で、参加クラブは国内リーグ戦も戦う。
各グループの上位3チームに加え、4位と5位チームが2レグ制のプレーオフを経てトーナメント式の準々決勝に進出。決勝トーナメントは2レグ制で、決勝戦は中立地での一発勝負となる。
日程は毎年8月からリーグ戦がスタート。翌年5月末に決勝を開催するとされていた。そのほか、詳しい日程や組み合わせなどは未定。
※4月21日更新 離脱クラブが相次いだことから上述の方式の見直しが確定している。
Getty Images参加クラブの収益は?
フロレンティーノ・ペレス会長は、現行の欧州大会よりも多くの連帯金を拠出できると主張している。
「この新たな年間トーナメントは経済的成長を著しく促進させることになり、欧州フットボールを長期的に助けていくことができる。連帯金として拠出できる額は現行の欧州大会のシステムが生み出すものより大きくなり、各クラブの長期的な取り組みによって100億ユーロ(約1兆3000億円)を超えることを見込んでいる」
「その一方で、新大会は持続可能な財政基準を構築していく。それは全創設クラブが、支出に関する枠組みを決めることを約束しているためだ。その代わりに創設クラブは全員で35億ユーロ(約4550億円)を一括で受け取り、その全額をインフラ整備、COVIDのパンデミックによる影響を埋め合わせるためだけに使用していく」
GettyUEFAはCL新フォーマットで対抗
フットボール界に激震が走る中、UEFAはかねてから練ってきたCLの新フォーマットを4月19日に公開した。
現行の32チームから4チームを増やした36チームが参戦する新たな欧州最高峰の舞台は、2024年から導入される予定。
新CLのグループラウンドは、これまでの4チームを8組に分ける方法とは異なり、全チームを1つのリーグにまとめ、各チームがホーム&アウェーを計10試合を戦う。なお、対戦相手などはUEFAランキング係数に基づいて決められる。
(C)Getty ImagesCLを開催するUEFAの反応は?
UEFAは4月18日、イングランドフットボール協会、プレミアリーグ、スペイン・サッカー連盟、ラ・リーガ、イタリアサッカー連盟(FIGC)、セリエAとともに共同声明を発表。
「我々とFIFA(国際フットボール連盟)、連盟すべてのメンバーは、その厚かましいプロジェクト、かつてないほど団結が必要なときに少数のクラブの利益を基礎としたプロジェクトを止めるために一枚岩であり続けることを表明する」
「フットボールは開かれた大会、スポーツの価値を基礎としている。そのほかの形にはなり得ない。FIFAと六つの連盟はすでに、当該のクラブが国内、欧州、世界レベルの大会に参加できなくなること、彼らの選手が代表チームでプレーできなくなることを知らせている」
「我々はそのプロジェクトへの参加を拒否したほかの国々のクラブ、とりわけフランスとドイツのクラブに感謝をしている」
GettyUEFA会長の見解は?
UEFA(欧州フットボール連盟)のチェフェリン会長が、欧州スーパーリーグ創設について独自の見解を述べている。
同会長は、12クラブに所属する選手たちが代表チームに登録できなくなることを改めて強調。「その大会でプレーする選手たちは、代表チームでプレーできない。各大陸の連盟が、そのことに同意している」と話している。加えて、「状況を把握した後、大会からチームを追放しなくてはならない」と12クラブに対する処罰についても語った。
「チャンピオンズはそうしたクラブなしでも開催できる。欧州には多くの素晴らしいチームがある。チャンピオンズは開催される。彼らがいてもいなくてもね」
Getty Images今後欧州サッカー界で起きることは?
欧州スーパーリーグ構想を発端に、大きな歴史の転換点を迎えた欧州サッカー界。計画自体はとん挫したものの、未だ課題は山積みな状況だ。今回はイタリア在住ジャーナリストの片野道郎氏に、欧州サッカー界の今後を考察してもらった。特集コラムはこちらから。
Getty識者の声
■ギャリー・ネヴィル(マンチェスター・ユナイテッドOB)
「フットボールの近代化に反対しているわけではないが、コロナ禍でこの提案を持ち出すのは信じられないようなスキャンダルだ。ユナイテッドを始め、(プレミアリーグで)署名したビッグ6は恥を知るべきだ」
■ジェイミー・キャラガー(リヴァプールOB)
「リヴァプールの元選手として、自分のクラブの評判がそういった危機感を取り除くことを望み、成功のために戦う必要のない文化を作り出すオーナーグループの傲慢な考えに傷つけられることに嫌気が差す。(スーパーリーグ構想は)私が考える、特に自分の街において、フットボールが体現するすべての正反対だ」
■アーセン・ヴェンゲル(元アーセナル監督)
「バッドアイディアであると言いたい。フットボールは団結すべきであり、これが最も重要なことだ。このアイディアは成功しないと個人的に確信している。間違いなく我々はフットボールがシンプルで、理解できるものであり続けるために戦わなければいけないし、すべての人に成功するための平等なチャンスと夢がなくてはならない」
(C)Getty Images選手の声
■アンデル・エレーラ(パリ・サンジェルマン)
「僕は大衆のフットボール、ファンのためのフットボール、最大の敵と競い合う心のクラブを見る夢を描くことに恋していた。この欧州スーパーリーグが発展すれば、そのような夢は終わりだ」
■メスト・エジル(フェネルバフチェ)
「子供たちはワールドカップやチャンピオンズリーグで優勝することを夢見ながら成長する。スーパーリーグではない。ビッグゲームの楽しみは、1年に1回や2回起きるからであって、毎週あるからではない。すべてのフットボールファンにとって本当に理解に苦しむ」
■フランク・リベリ(フィオレンティーナ)
「僕らの愛するフットボールを破壊するようなことはやめてほしい。自分たちはどこから来たのか、誰のためにプレーするのか、その動機を忘れるわけにはいかない」
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