30歳を迎えた元日本代表MF三竿健斗のプレーに磨きがかかっている。鹿島で攻守において存在感を放つ男の全盛期はこれからやってくる。
■いま、三竿健斗がすごい
いま、三竿健斗がすごい。今月16日に節目の30歳を迎えたミッドフィルダーのレベルが、ぐんぐんと上がっているように見える。
「自分は30代から輝く選手だと思っていたので、ここからがようやくスタートというか。今まで経験したことをどんどん出していきたいと思っています。鹿島にはたくさんいい選手がいるので、成長を止めたら競争に負けていく。何歳になっても成長しなければいけない」
鹿島の王座奪還を支えた三竿は、今季もボランチのファーストチョイスとして、ここまで11試合に先発出場している。
光るのは攻撃面での貢献だ。この日も中盤からの配球や、相手のプレッシャーを無効化するパスで存在感を放った。
それだけでなく、第4節・浦和レッズ戦で見せたPK奪取の場面のように、自ら相手ボックス内に侵入していくようなアグレッシブさも兼ね備えている。
本人も改善の余地は認めているが、毎試合後に映像で振り返りながらトライ&エラーを繰り返すことで、「自信がついてきた」と充実の表情を浮かべる。
もともとは守備に重きを置くタイプの選手だった。もちろんいまでも持ち味のボール奪取は健在だが、当時は「守備だけにフォーカスしていた」と振り返る。
実際、ディフェンシブMFとしての力が評価されて、2017年末のE-1サッカー選手権決勝大会で日本代表のメンバーに初選出された。その後もコンスタントに日の丸を背負い、2018年のロシアワールドカップメンバー入りも期待されたが、大舞台に男の姿はなかった。
あれから約8年。再びW杯イヤーを迎えたなか、三竿はどんな想いでプレーしているのか。
■全盛期はこれから。日本代表を諦めない
通常、試合後の取材対応では選手を待つことのほうが多いのだが、ミックスゾーンに足を運ぶと、驚くことにすでに三竿がいた。90分間フル出場した直後にもかかわらず、縄跳びを使って、リズム良く飛び跳ねながら取材陣を待っていたのだ。
聞けば、篠田洋介フィジカルコーチの提案で今年のキャンプから取り入れたらしく、「いい張りを残して、次の試合に備える」ために両足と片足でのジャンプを繰り返していた。
縄跳びの時間が終わったかと思えば、今度は振動マシンに足を乗せながら、エネルギー補給のおにぎりを食べたり、睡眠の質を高めるために作ってもらったという特注の色付きサングラスをかけて報道陣の前に現れたりと、この日もコンディションケアに惜しみがない。
「今までもほかの選手よりは意識高くそういういろいろなことはやってきました。だけど年齢を重ねたいまはトレーニングだけじゃなくて、リカバリーもより大事だと思っている。いかにフレッシュに次の練習や、試合に挑めるかを取り組んでいますし、いい効果はピッチでも出ていると思います」
飛躍のワケは、聞かずとも明らかだった。
多くの選手が30代を一つの境にパフォーマンスの低下や、キャリアの岐路を迎えるが、試行錯誤を続ける三竿の“全盛期”はこれから来るのではないだろうか。
背番号6を囲む報道陣からは「三竿選手が2018年にいまの状態だったら、W杯に行っていたのではないか」と素朴な声も聞こえた。三竿は微笑みながら、あのころを振り返る。
「そうですね…。あのときはもちろん悔しかったですけど、客観的に見れば当然だったと、自分でも分かっているので」
「いま思うと選ばれていたのもラッキーだった。あのときは若くて、自分のなかでも伸びている感覚や勢いもあったけど、いま思うと『まだまだだったよな』ってずっと思っています」
三竿は自分自身を派手な選手ではないし、スピードやドリブル能力に秀でているわけでもなく、頭を使ってプレーしてきたタイプだと説明する。自分の足りない部分にも目を向けられる背番号6だからこそ、当時の日本代表落選を受け入れ、さらなるレベルアップが必要だと自覚してここまでやって来られたのだろう。
では、もう三竿は日本代表での戦いに区切りをつけたのか。決してそんなことはない。記者からの「2018年に~」という質問に上塗りするかのように、背番号6は熱い想いを打ち明ける。
「まだやり残した気持ちが自分のなかにもあります。だから何歳になっても代表に入りたいという気持ちは変わらないです」
30歳を迎えた当日、三竿は自身のInstagramに家族写真と一緒にこんな文言を添えた。
「#男は30から」
取材・文=浅野凜太郎


