日本代表は守りを固めてきたアイスランド代表の[5-4-1]の布陣に手を焼き、なかなかゴールを奪えなかった。だが、「そういうもんなので」と慌てるそぶりを見せなかったのは、ボランチで先発出場したMF田中碧だ。
「そもそも5-4-1はそんなに簡単に崩せない。(相手)選手の能力が高くなればなるほどに、守れちゃうもんだと思っている。もちろん前から奪いに行ったときのピンチはありましたが、相手にボールを持たれたシーンや(守備を)セットしたときはピンチにならなかった」
ブロックを敷かれた際の攻略は、今夏のFIFAワールドカップでも課題となるだろう。アイスランド代表のように手堅く挑んでくる相手と対戦する可能性は多いにある。
サムライブルーのクロスボールは何度もはじき返された。スコアレスドローのまま時計の針が進んだなか、田中は集中した守りで得点を許さなかった価値を強調する。
「もちろん1点を取れればいいですけど、きょうみたいに取れなくても、自分たちが失点しないことがすごく重要だと思いました」
難しい時間帯でも自分たちから崩れなかった。その忍耐力がゴールにつながった。
83分までにスタメンで出場した全選手が入れ替わった日本代表は、87分に決勝点を奪う。右サイドのDF菅原由勢からのクロスボールにFW小川航基が飛び込んでヘディング弾を叩き込んだ。
田中は「全員が代わってから得点も入っているし、総合力は増している」とサブ組の活躍を誇った。日本代表はたとえ誰が出ても、ゴールを奪える自力があると改めて証明した。無失点で試合を進められれば、流れを変える力を持った選手たちがベンチにいる。
一方で、W杯本番では11人全員の交代が不可能だとは百も承知。背番号7は「チャンスになったシーンは自分たちの理想」と一定の手ごたえを口にしつつも、攻撃面でのバリエーションを増やしたいと言葉を続ける。
「(得点できなくても)じれずに、カウンターやセットプレーから刺せると、もっと2点、3点と入ると思う。サッカーは結局ゴールで動くので。1点入れば、その得点が試合を変える」
田中の言葉どおり、仮にもっと早い時間帯で先制していれば、相手が前に出て来て大量得点できるチャンスが増えたかもしれない。とはいえ、試合終盤までゴールをこじ開けられなかったことも事実だ。
W杯本番ではあらゆるシチュエーションが想定されるなか、最後に“勝つ”ための道筋を立て、チーム内で共有できるかどうかが重要となる。
取材・文=浅野凜太郎




