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昨季リベンジ&20年ぶり優勝へ準備万端!?最大の課題は苦しみ続ける「プランB」【プレミアリーグ補強&戦力評価~アーセナル~】

『GOAL』では、昨季上位陣とビッグクラブの補強・戦力を評価する。第2回は、昨季のリベンジ&20年ぶりのプレミアリーグ制覇へ燃えるアーセナルだ。※文中の評価はB~SSの4段階

  • havertz rice timber(C)Getty Images

    今夏の主な移籍

    【IN】

    デクラン・ライス(ウェストハム/完全移籍)

    カイ・ハヴァーツ(チェルシー/完全移籍)

    ユリエン・ティンバー(アヤックス/完全移籍)

    ダビド・ラヤ(ブレントフォード/レンタル)

    【OUT】

    グラニト・ジャカ(レヴァークーゼン/完全移籍)

    マット・ターナー(ノッティンガム・フォレスト/完全移籍)

    キーラン・ティアニー(レアル・ソシエダ/レンタル)

    フォラリン・バログン(モナコ/完全移籍)

    ロブ・ホールディング(クリスタル・パレス/完全移籍)

    サンビ・ロコンガ(ルートン・タウン/レンタル)

    ヌーノ・タヴァレス(ノッティンガム・フォレスト/レンタル)

    ニコラ・ペペ(契約解除)

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  • Mikel Arteta Declan Rice Arsenal 2023-24Getty

    【補強評価:S】2年連続、監督の最優先ターゲットを獲得

    直近2年間の補強は、以前のアーセナルでは考えられないほど明確なプランを持って完遂した形に。最大のターゲットであったライスは争奪戦となったものの、ウェストハムの要求額をしっかりと支払って獲得に成功。ティンバー(長期離脱はあまりにも残念)やハヴァーツ、ラヤも争奪戦が本格化する前に契約をまとめてみせた。ミケル・アルテタ監督&エドゥSD(スポーツディレクター)にスポーツ面の強化の権限を集約したことで、指揮官の希望を迅速に叶えることに成功。さらに、ブカヨ・サカやウィリアン・サリバら主力陣と次々に契約を延長できたことも称賛すべきだろう。

    一方で放出に関してだが、こちらはアーセナルの課題であり続けている。ジャカとターナー、さらにバログンに関しては移籍金を獲得できたものの、売却を見込んでいたティアニーらは結局レンタル移籍に。また、2019年に当時クラブ史上最高額7200万ポンドで獲得したニコラ・ペペも最終的には契約解除となった。

  • Takahiro Tomiyasu Arsenal 08122023(C)Getty Images

    【GK・DF評価:SS】質・量ともにプレミアリーグ屈指

    GKに関しては、アーロン・ラムズデールが守護神に君臨する中で「ラヤを獲得する必要があったのか?」との声も上がっている。しかしターナーを売却した中で、昨季セーブ数リーグトップ(154)であり、ビルドアップ能力は世界屈指であるスペイン代表GKを総額3000万ユーロ(レンタル料300万ユーロ+買取OP2700万ユーロ)で確保できたのは間違いなくプラスだ。両選手のコメントからもわかるように、チャンピオンズリーグにも出場する中でお互いにモチベーションが低下することはないだろう。激しいポジション争いは確実に両守護神のレベルアップにつながるはず。アルテタ監督の意欲が伺える補強となった。

    一方でDFだが、PFA年間ベストイレブンにも選ばれたサリバ、さらに圧倒的なインテリジェンスでゲームをコントロールするベン・ホワイトが主軸に。そこにガブリエウ、ヤクブ・キヴィオル、さらに冨安健洋と複数ポジション・役割をハイレベルでこなせる選手が揃っている。活躍を予感させたティンバーの負傷は残念だが、現代サッカーの最新トレンドにもなりつつある「4バック全員がCB&SBをこなす」布陣が完成しつつある。それを踏まえた上で、“偽SB”として戦術の中心となるオレクサンドル・ジンチェンコの存在は異色であり、欠かせない。長年守備に悩まされてきたアーセナルだが、今やリーグ屈指のDF陣の言ってもいいだろう。

  • Kai Havertz Casemiro Aaron Wan-Bissaka Arsenal Manchester United 2023-24Getty

    【MF・FW評価:S】巨大なライスと自信を失うハヴァーツ

    アルテタが熱望したライスは期待に違わぬ大活躍で、アンカーの層は一気に充実。ライス、トーマス・パーティ、ジョルジーニョと、このポジションにこれだけの選手を抱えるチームは世界的に見てもほとんどない。司令塔で主将のマルティン・ウーデゴールが攻撃を司り、強烈な左足のチャンスメイクが武器のファビオ・ヴィエイラもフィットしてきた。一方でハヴァーツは、自信喪失からか単純なミスも多く、また慣れない撤退時の守備で穴になることも。現時点ではデメリットの方が目立ってしまっている。ポテンシャルは十分でアルテタの期待が大きい分、早く流れを変えるきっかけを掴みたい。また、生え抜きの10番エミール・スミス=ロウをどう起用するかは今季の課題となりそうだ。

    一方でアタッカー陣は、もはや世界最高レベルに到達したブカヨ・サカが不動の存在に。そして強烈な野心をピッチ上で表現できるマルティネッリとジェズス、この3人がファーストチョイスだろう。これを超万能アタッカーのレアンドロ・トロサール、下部組織出身で「No.14」を背負うエディ・エンケティアが支えることになる。両者はプレシーズン~開幕後も好パフォーマンスを見せており、誰が出場しても一定以上の活躍は期待できそうだ。唯一の不安はサカの控え。リース・ネルソンはケガがちであり、トップリーグの実績も十分ではないことから、今季もこの問題に悩まされることがあるかもしれない。

  • arsenal-fom(C)Goal

    【成熟度・総合評価:S】リーグ屈指の選手層をどう活かすのか

    開幕から4試合の成績は3勝1分け。結果は申し分ないが、「優勝候補なのか」と問われればまだ疑問符がつく。開幕3試合で試したトーマスの右サイドバック起用はジンチェンコ不在時のオプションの1つだろうが、ホワイトが攻撃に参加する回数が減った分、ファイナルサードで苦戦する場面が続いた。やはりマンチェスター・ユナイテッド戦(3-1)の選手起用がベースになってくるだろう。その上でチャンピオンズリーグも見据え、序盤戦で様々なオプションを試していくことは、昨季「プランB」の欠如に苦しんだアーセナルにとっては前向きなチャレンジだ。

    今夏の補強により、選手層は世界屈指となったアーセナル。20年ぶりの優勝を狙えるチームになったことは間違いない。そして、その選手層をどう活かすのか。昨季は固定メンバーで躍進したものの、主力のケガによって勢いを失ってしまったアルテタ・アーセナルにとって大きな挑戦となる。また昨季は「追う側」だったものの、今季は「追われる側」に回る試合が大半を占めるだろう。戦術ももちろんだが、これまで以上にメンタルコントロールが重要な課題となりそうだ。

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