“らしくない”補強＆DF陣に不安も…遠藤航がカギを握る？【プレミアリーグ補強＆戦力評価～リヴァプール～】

【IN】

ドミニク・ショボスライ（ライプツィヒ／完全移籍）

アレクシス・マクアリスター（ブライトン／完全移籍）

ライアン・フラーフェンベルフ（バイエルン／完全移籍）

遠藤航（シュトゥットガルト／完全移籍）

【OUT】

ファビーニョ（アル・イテハド／完全移籍）

ジョーダン・ヘンダーソン（アル・イテファク／完全移籍）

ロベルト・フィルミーノ（契約満了）

ナビ・ケイタ（契約満了）

アレクシス・オックスレイド＝チェンバレン（契約満了）

ジェームズ・ミルナー（契約満了）

ファビオ・カルヴァーリョ（ライプツィヒ／レンタル）

昨季途中から補強ポジションは明確だったため、移籍市場開幕早々にマクアリスターとショボスライの獲得に成功。リヴァプール“らしい”的確で迅速な補強を達成できたかに思われたが、話題のサウジアラビアの登場によって一気に難しいオペレーションを強いられることに。主力2人が引き抜かれて緊急補強の必要性が生じると、“らしからぬ”立ち回りでモイセス・カイセド＆ロメオ・ラヴィアを2人ともチェルシーへ渡す形となった。終盤で遠藤とフラーフェンベルフを獲得できたとは言え、プラン通りではなかったことは明白だろう。

一方で、マクアリスターとショボスライはすでに絶対的な存在になりつつあり、遠藤も難しい試合の中で持ち味を発揮。補強選手は実力者たちばかりであり、クオリティに疑いの余地はない。しかし、立ち回りという意味では厳しい移籍市場となった。

昨季～今季序盤にかけてやや連携面で不安が残るものの、驚異的なセーブ連発でチームを救い続けるアリソンは不動の存在。おそらく重要な試合すべてでゴールマウスを託されることになりそうだ。

一方でDF陣だが、数年前は「世界最高のDF」と断言できたフィルジル・ファン・ダイクが「世界有数のDF」に落ち着いたこともそうだが、何よりもトレント・アレクサンダー＝アーノルドの問題が巨大化していることが深刻だ。元よりポジショニングや一対一の対応に難があったものの、攻撃時に中盤にポジションを取るようになってからは右サイドにぽっかりと穴が空くシーンが増加。イブラヒマ・コナテの個人能力で解決する場面も多いが、彼もケガがちだ。確かに攻撃面では素晴らしいメリットをもたらすシステムだが、昨季38試合で47失点していることを考慮すると、上位進出へ何らかの策を講じる必要があることは間違いない。

3センター全員が昨季とは違うメンバーに。ショボスライ＆マクアリスターは開幕4試合のMVPと言っていいほど圧巻のプレーでチームを牽引している。そんな彼らの特徴をより攻撃面で活かすためにも、アンカーでの活躍に期待がかかる遠藤はいち早く適応する必要がありそうだ。ここにフラーフェンベルフやカーティス・ジョーンズ、さらにチアゴらを加えて長いシーズンを戦う。ユルゲン・クロップ監督の戦術において負荷の大きいポジションであるため、時間をかけずに形を作っていきたい。

なおアタッカー陣に関しては、ダルウィン・ヌニェスが真価を発揮し始めたことにより、リーグ最高レベルと言っていい。強靭なフィジカルとチャンスメイク能力が光るコーディ・ガクポ、強烈な意欲と突破が魅力のルイス・ディアス、超万能アタッカーのディオゴ・ジョタ、そしてチームの顔であるモハメド・サラー……質・量ともに隙がない。だからこそ、中盤から後ろのパフォーマンスがさらに重要となりそうだ。

世界中すべてのクラブが羨むような攻撃陣を持つものの、中盤は未知数であり、守備には大きな問題を抱えるなど、バランスの良いスカッドとは言えないリヴァプール。攻撃に偏りがあるのはクラブの伝統かもしれないが、クロップ・リヴァプールの成功を支えてきたのはファン・ダイクを中心としたDF陣だ。開幕4試合無敗（3勝1分け）とはいえ問題は隠しきれておらず、「殴って勝つ」にしてはあまりにもリスクが大きい状態が続いている。

だからこそ、そんなDF陣の前に立ちはだかる遠藤の存在は極めて重要になる。現状チーム唯一の守備的MFであるため、彼のパフォーマンスがシーズンを大きく左右するかもしれない。日本代表キャプテンにとってキャリア最大の挑戦となりそうだ。そして遠藤を含めた3センターが固まれば、数年前のような成功を掴める可能性は一気に上がるだろう。

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