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安堵と同時に「次はプレミアか」…田中碧が回想するチャンピオンシップ優勝&プレミアリーグ復帰のリーズ1年目/独占インタビュー第2回

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リーズは2023-24シーズンからチャンピオンシップでの戦いが続いていたが、昨季を見事に優勝で飾り、今季から3年ぶりにプレミアリーグへと復帰。そんな古豪で中盤の軸として輝きを放ったのが日本代表MF田中碧だ。

リーズ入りした昨季がイングランド初挑戦だった田中だが、慣れない地で1年目から活躍し、そこで掴んだ収穫とは。年間46試合もの過酷なチャンピオンシップに身を投じた1年間を振り返ってもらった。

聞き手=林遼平 構成=玉田裕太(GOAL編集部)

▶︎第1回:「楽しみだけど、ちょっと恐怖も」…田中碧、いざプレミアリーグの舞台へ。「ここでできればどこでもできる」

▶︎第3回:「ステップアップする選手も多いし、仮に上がれなくても…」 田中碧が感じたイングランド2部の魅力とは?

▶︎第4回:プレミアリーグで楽しみの1つは“対三笘薫”… 田中碧「人生、最初で最後かも。面白いだろうな」

  • レギュラー奪取のきっかけは?

    ――昨季のチャンピオンシップ優勝を改めて振り返ってほしいのですが、シーズン当初はどんな思いを持ちながらプレーしていたのでしょうか?

     まずチームに入ってからは絶対に昇格しようと思っていました。ただ、正直なところ、こんなに多くの試合に出られるとは思っていませんでした。加入したのがギリギリだったので、連戦や代表ウィークがあって最初はちゃんと練習する機会がなかなかなかったんです。

     ただ、10月の代表ウィーク前に2週間ぐらいしっかりと練習できたことで「ここでもやっていける」と思えました。もちろん、レベルはすごく高くて、最初は全然違うなと思いましたが、それと同時に「スタメンでやっていける」という自信もありました。「出たらやれるだろうな」と思いながら、チャンスを待って、そこでケガ人が出たこともあり、スタメンで出ることができました。

     最初の2試合、3試合ぐらいは味方も自分のことを分かっていないので、少し安パイにプレーしましたけど、10月のシェフィールド(・ユナイテッド)との上位対決である程度、自分のプレーを出すことができてからは信頼を掴めたと思います。そこからはトントンと進んでいった感じです。

    ――最初の時期は焦りもあったんですか?

     もちろん、代表にも入りたいので試合に出ないといけないなとは思っていました。ただ、試合に出られないことに対しての焦りは自分の力がない状況での焦りと、自分の力はあるけれど、出られないという焦りの2つのパターンがあると思っています。

     自分でも「この選手のほうがいいな」と思って出られないときは冷静に仕方がないなと思いますが、自分の力が通用すると思っているのに出られないのが一番嫌なんです。そう思うと、当時はチャンスがないから出られなかっただけで、チャンスが来たらやれるだろうと思いながら、日々過ごしていました。

     結局、チャンスを得てからは最後まで試合に出られたのでよかったと思います。あと、アンカーでずっと出続けるとは思っていなかったですね。もっと前に出ていくほうで起用されるのではと思っていました。

     でも、それはそれで楽しくて、いい意味で繋ぐことと潰すことに徹することができました。数字的な結果は少なかったのですが、ちゃんとアンカーの役割を評価してもらえたからやりがいもあったし、やりやすかったです。

    ――デュッセルドルフ時代、クラブには日本人選手がいました。今回はまったくいない状況で、馴染むのが大変だったのではないでしょうか?

     いや、すごく簡単でした。みんな、すごくいいやつなんです。個人的には馴染むことに結構ストレスを感じるタイプではあるのですが、自分より若い選手が多かったり、外国籍の選手が多いのもあって、すごく話しかけてくれました。言語が理解できる英語だったこともあり、仲良くなりやすかったです。

     そういう環境も良かったですね。今までキャンプはあまり好きではなかったけれど、今回のキャンプを通してあまり苦じゃないなと。「こんな感じになるんだ」と思ったので、自分の変化も感じています。

     それと馴染むという話で言えば、最初の2カ月くらいはホテル生活をしながら試合に出ていました(苦笑)。9月、10月は代表ウィークもあって、かなりタフでした。3週間のうち、2週間はミッドウィークに試合があったりして、全然家を決める時間がありませんでした。コンディションも落ちていたので、かなり大変でした。

     ただ、試合に出られていたのは大きかったですね。新しいところでサッカーするのが楽しかったです。ステップアップとかの話ではなく、環境を変えるのがあまり好きではなかったけど、こうやって移籍して環境を変えることは面白いなと思うようになりました。

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    天国か、地獄かの「最後の2カ月」

    ――12月末以降のほとんどで首位を走った一方で、シーズン終盤に3試合連続ドローで順位を落とした時期もありました。その時期はどんな雰囲気だったのでしょうか?

     最後の2カ月は本当にしんどかったです。毎週、試合をしたくないなと思いながら、試合をしていました。試合をしたら、勝ち点を失う可能性がありますからね。「何でもするから勝ち点3をくれ」と思うぐらい結構ヒリヒリしていました。

     優勝争いとは違うと言いますか、「天国か地獄」なんです。昇格できない3位で終わるのと18位で終わるのは一緒。ましてや昇格すればプレミアという全世界の夢の舞台に行けるわけなので。そこに行くことがチームとしてどれだけ大切なことか。リーズがどれだけ大きなクラブなのかを来て改めて感じたからこそ、昇格したいという思いがありました。

     来るまでは分からなかったです。歴史やスタジアムの雰囲気も。だけど、ここに来て「プレミアにいなきゃいけないクラブなんだな」と強く意識しました。歴史のあるクラブでサッカーをするなんてなかなかないですから。そういうクラブでサッカーをしたのは初めてだったので、使命感や責任を感じていました。

     だから、2位か3位でも全然違うわけで、あのときの緊張感はもう二度と味わいたくないし、味わえないだろうと思います。

    ――今後のキャリアを踏まえた上で、自身へのプレッシャーもかなりあったのではないでしょうか?

     ありましたね。もちろん、これだけ試合で活躍していれば、昇格できなくてもステップアップできるという見方もあります。だけど、移籍が簡単ではないのは十分、分かっているので、意地でも昇格したいと思っていました。

    ――1つのゴールで今まで以上に喜ぶ姿が印象的でした。

     チームとして1点、獲ったときの嬉しさがすごくありました。「1-0だ。守ったら勝ちだ」という状況になることがどれだけ精神的に楽か。ホッとしているんです。これは大きい! と。本当に勝つことって大変だなと思いました。チャンピオンシップは大変だと思わされましたね。

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    「自分をもうちょっと労ってもよかったかな」

    ――昇格が決まったときの気持ちはいかがでしたか?

     「やっと終わった」という気持ちでした。嬉しいというか、解放された感じです。その後のブリストル(・シティ)戦は逆にみんながすごく良かったですからね。僕だけでなく、みんなが解放されたんだなと。ただ、僕はホッとしたのと同時に「次はプレミアか」と冷静になっているところがあって。振り返ると、これは自分の良くないところだと思っています。

     みんなはすごく喜んでいたのですが、それってすごく大事なことで。その瞬間はそのときしかない。満足するとかではなく、その出来事自体をもっと喜んでもよかったかと思います。自分のなかですぐに「もうプレミアだ」ってなっているところがあって。でも、この1年間の自分に対して「もうちょっと労ってもよかったかな、自分を称えてよかったかな」と今では思っています。

    ――リーズ市中心部での優勝パレードは15万人ものファンが集結したと聞いています。

     びっくりしました。こんなに人が集まるのかと。パレードもすごく楽しかった。やはりファンの熱量がすごいんですよね。スタジアムも本当にすごくて。トッテナムやアーセナル、マンチェスター・シティのように大きくはないけど、声援の圧がすごいです。イングランドでもトップクラスだと聞きますし、ファンがクレイジーで熱いらしいです。それもあって雰囲気がすごくいい。この雰囲気は現地で体感してほしいですね。