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「考えれば考えるほどつらくなる」。南スーダンへ寄付をした福田翔生、その思いを知る【独占インタビュー後編】

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 JFL、J3を経てJ1、そして欧州──。福田翔生はサッカー選手としてステップアップする過程で、自身ができることを行動に移してきた。幼いころに抱いた「世界の人々を救いたい」という願いがその根底にある。

苦しんだ時期を支えてくれた家族、兄・福田湧矢(東京ヴェルディ)との関係、そしてJ2降格となった湘南ベルマーレへの率直な想いまで。前編では語り尽くせなかった“内面の変化”について話を聞いた。(インタビュー日:12月4日 聞き手:小津那)

▶︎前編:欧州移籍編

◾️幼少期の原体験と慈善活動

 1年半前のインタビューで福田は「人に勇気を与えたい」「世界を幸せにしたい」、そして「貧しい国へ寄付をしたい」と話していた。湘南からブレンビーIFに移籍が決まった際の会見でも寄付への思いを語っている。

 デンマークに渡って、その思いを行動に移した。そして、「今もその気持ちは僕の中心にあります。ずっと変わらないです」と、継続する意志を持ち続けている。

――長年の夢であった寄付を行ったと聞きました。

 はい。今年の10月に南スーダンへ寄付をしました。でも現地の状況を知れば知るほど、やるせない気持ちのほうが強くなりました。食べられない子どもが多過ぎる現実は、本当に胸が痛いです。

 ずっと寄付をしたくて、その思いを持って選手として苦しい時期を乗り越えてきたので…寄付できたことで、サッカーを続けてきてよかったなと思いました。でも、食べられない人たちの多さや過酷な現実をさらに突きつけられて、また悔しい気持ちにもなりました。

――そういった活動に興味を持ったきっかけは?

 小学生の頃に戦争のビデオを見たことです。そこで「 困っている人たちを助けたい」という気持ちが芽生えました。

――海外で生活する中で、その価値観に変化はありましたか?

 カンファレンスリーグでいろいろな国に行ったのですが、日本で“当たり前にできていたこと”って、実は当たり前じゃなかったんだと実感しました。まだそこまで貧しい国を目の当たりにしたわけじゃないけれど、国によって異なる価値観や環境の差を強く感じています。

――一人の人間として、今後どんな活動をしていきたいですか?

 苦しい思いをしたからこそ、人の気持ちが分かると思います。いま苦しんでいる人がいるなら助けたいし、手を差し伸べたい。人間はみんな平等なのだから。今回の寄付で救えない子たちの多さを知って、もっと何かしたい気持ちが強くなりました。

 最近は犬や猫など動物の保護活動も気になってしまって。苦しんでいる命があるならば、人も動物も関係なく手を伸ばせる人間でいたいです。

◾️兄との絆。古巣への想い

20250406-shonan-sho-fukuda-yuto-suzukiGetty Images

――欧州移籍に際して、兄・湧矢選手からはどんな言葉をもらいましたか?

 いつも言ってくれる 「大丈夫」 って言葉を最後にもらいました。

――兄弟で今後描いている夢はありますか?

 僕個人としては、いつか同じチームで一緒にプレーしたいですね。夢っていうか…自然とずっとそう思いますね。

――湘南が今季J2に降格しました。

 めちゃくちゃショックでした。シーズン中も選手と連絡を取っていましたし、本当に悔しかったです。

――湘南時代を振り返って、どんな価値を見出していますか?

 2桁得点を取れたことはもちろん大きかったですし、活躍し続けることの価値を強く実感しました。

――途中出場が多い時期もありましたね。そこから2桁まで伸ばせた要因は?

 鈴木雄斗選手の言葉が大きかったです。「1試合1試合を大きく考え過ぎない。勝てばいいだけの試合」と言われたんです。僕はそれまで1試合を人生みたいに感じてしまって、プレッシャーで空回りしていました。でもそこから力が抜けて、初ゴールを決められました。

――「FC今治時代は地獄」と語っていた過去について、考え方が変わったと聞きました。

 当時は本当に苦しかったので、「思い出したくない」という気持ちがすごく強かったんです。死にたいと思ったこともあったので、インタビューで聞かれても「地獄」としか言えなかった。

――変化が起きたきっかけは?

 欧州に来てから考える時間が増えました。そして、今治のサポーターから「今も応援しています」というメッセージをもらったことですね。その瞬間、ハッとしました。

 なんで苦しい記憶にばかり執着していたんだろうって。支えてもらっていたことに目を向けられていませんでした。未熟だったと感じました。今治を応援したい、これからも今治の人たちを大事にしたいと心から思いました。

――環境が変わったことで、自分の過去との向き合い方も変わった?

 こちらに来て、本当に初めて冷静に振り返れた気がします。環境が変わったことで、自分の成長も見えたし、今治での時間にも意味があったと思えるようになりました。

――古巣へどんな形で恩返ししたいですか?

 何があるか分からないので「戻りたい」とは断言できません。でも、帰国したときには応援してくれるファンのために、自分にできることを必ずやりたいと思っています。

◾️孤独が教えてくれたもの

20251224-danish-superliga-brondby-sho-fukuda-team-mates©Brøndby IF

――欧州に来て価値観が大きく変わったのですね。

 はい。こちらでは日本より孤独を感じる瞬間が多いです。戦わなくていいところで戦ったり、自分と向き合う時間も増えるので。

――その考えに至った背景は?

 ヨーロッパで生活して、完璧な人なんていないと実感したからですね。人生は短いから、自分の軸を持って生きることがすごく大事だと思うようになりました。

 最近よく考えるんですけど、“幸せ”って何かなって。幸せは人によって定義や価値観が違うし、断言はできない。ただ、“幸せになれないマインド”はあるなって思ったんです。

――それはどんなものですか?

 一つは、他人の幸せと自分の幸せを比較すること。SNSが中心にある今、比べてしまう人は多い。でも、見えているのは一部分だけで、その裏には影があると思うんです。比較ほどもったいないことはないと気づきました。

 もう一つは他人にどう思われるか(を気にすること)ですね。悪く言ってくる人は、いざという時に何もしてくれない人。だから、自分の人生には存在しないものとして考えるくらいの気持ちでいます。そのほうが心が軽くなるし、人生は短いから、自分に軸を置くことが大事だと思っています。

――では、これからどんな人間でいたいと思いますか?

 壁に当たって苦しんでいる人たちの希望であり続けたいです。苦しい人がいるなら僕を見てほしい。ブレずに、ありのままの自分で居続けたいと思います。

――海外で生活すると、ファンとの距離を感じる瞬間も多いと思います。

 はい。日本にいた時みたいに、当たり前にできていたことができなくて申し訳ない気持ちはあります。でも、それでも応援してくれる人は本当に大事にしたいです。

――最後に、応援してくれるファン・サポーターへメッセージをお願いします。

 日本との距離があって、以前みたいに当たり前にできないことも多いです。海外に来て距離ができたことで、今まで当たり前にできていたことができなくなって、申し訳ない気持ちはあります。でも、それでも応援してくれる人たちは本当に大事な存在です。帰国したときは、何かしらの形で恩返ししたいと思っています。ずっと支えになっているので、これからも応援してもらえたら嬉しいです。

▶︎前編:欧州移籍編

Profile
MF 19 福田翔生(ふくだ しょう)
2001年3月23日生まれ、24歳。173cm/63kg。福岡県北九州市出身。小倉南FCジュニア→小倉南FC Jrユース→東福岡高を経て、2019年にFC今治に入団し、2023年にY.S.C.C.横浜へ移籍。YS横浜加入1年目でキャリア初ゴールを記録すると、通算21試合で11ゴールを決めてブレイク。活躍が認められて同年8月17日に湘南ベルマーレに完全移籍。半年後の23-24シーズンから主力に定着すると、キャリア初となる2桁ゴール(11ゴール4アシスト)を記録してブレイクを果たす。翌年2025年6月26日にはデンマーク1部リーグのブレンビーIFへ完全移籍となり、欧州に挑戦の舞台を移した。公式戦16試合出場4得点1アシスト(12月9日現在)。J1通算71試合出場15得点。

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