日本代表は24日、カタール・ワールドカップ(W杯)アジア最終予選でオーストラリア代表と対戦する。本大会出場がかかる大一番で、日本代表が目指すべき戦いとは?
■壮絶な戦いが待ち受ける
(C)Getty images思ったほど簡単な状況ではない。
勝てば2位以上が確定してW杯出場が決まる大一番ではある。だが、負ければ得失点差の影響で3位転落が待っている。最終節の対戦相手を考えれば日本代表の方が与し易いとはいえ、オーストラリアに敗れることになれば一気にプレーオフが現実味を帯びてくるのだ。
これまでもW杯最終予選では様々なドラマが繰り広げられてきた。終了間際の失点によってあと一歩に迫りながら涙を流した時もある。一方で、延長戦の戦いを制して歓喜に沸いた日もある。近年のW杯最終予選を振り返っても、決して楽に出場を決められたわけではなく、今回も壮絶な戦いが待ち受けている。
ただ、そうは言っても、日本には勝つか負けるかの他に第3の選択肢が存在する。それは試合終了の時点で引き分けであること。もしドローに持ち込むことができれば、最終節の相手はベトナム代表。サッカーに絶対はないが、出場権を獲得する可能性が飛躍的に伸びると言っていいだろう。日本は引き分けOKの状況で試合に臨むことができる。
もちろん、引き分け狙いで結果を残せるほど容易な相手ではない。オーストラリアも負ければプレーオフ進出が決まってしまうだけに、相当な覚悟を持って挑んでくることは間違いない。
「相手も後がないので難しい試合になると思うし、これまでオーストラリアを圧倒した試合もない。今回も僅差の試合になる気がしている。引き分けでもOK、次があると思わずに戦うのが一番大事。0-0のまま試合が進めば、プレッシャーを感じるのは相手なので、そこは賢く戦いたい。大事なのは先に失点しないこと。早い時間に失点して慌てないようにしていかないといけない」
主将の吉田麻也が話すようにポイントは先制点になるだろう。日本が先手を取れれば自分たちのペースに引きずり込むことができるし、相手に奪われればこちらが攻めに出ていくしかなくなってしまう。手痛い先制パンチを浴びないためにも、試合の入りから集中力を持って戦っていきたい。
■まだ何も成し遂げていない
(C)GOALまた、前述のことを踏まえても、この大一番では“相手を見て”戦う必要がある。前回のオーストラリア戦は、日本がシステム変更をしたことで相手をうまく出し抜くことができたが、今回はしっかりと対策した上で相対してくることが予想される。システムを変えてくることもあれば、前から強烈なプレッシャーをかけてくることもあるかもしれない。さまざまなことを想定しつつ、ピッチに立った時に戦い方を変える“対応力”が求められる試合になる。
その点で期待したいのは、やはり中盤の3枚だ。遠藤航、守田英正、田中碧の3人がいかに相手を見て、それぞれの時間帯で最善の選択肢をピックアップできるか。「やみくもにずっと攻撃的に戦うわけではない。主導権を90分間握らないといけないとは思っていないので、どこにパワーをかけるかなどそこの感覚をピッチ内で感じてすり合わせることが大事」とは遠藤の言葉だ。
最悪引き分けでもOKだと考えるのであれば、ゲーム終盤にその意思統一をチーム全体に波及させられるかも重要になる。中盤の3人からしっかりと周りに発信することで、チームの呼吸を合わせていきたい。
今回の最終予選は、序盤で躓き、5連勝で挽回した。ただ、まだ何も決まっていなければ、何も成し遂げていない。天国か、地獄か。試合終了のホイッスルが鳴った時、日本代表はどのような瞬間を迎えるのだろうか。
取材・文=林遼平
