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メッシ、エンバペ、ネイマールも…今季のPSGで期待以上&期待外れの選手トップ5

今季からリオネル・メッシ、セルヒオ・ラモス、ジャンルイジ・ドンナルンマ、ジョルジニオ・ワイナルドゥム、アクラフ・ハキミといったビッグネームを加えたパリ・サンジェルマン。チャンピオンズリーグでは決勝トーナメント進出、リーグ・アンでは首位独走といつもどおりの歩みを見せる。

一方で、メッシを加えながら攻撃陣のパフォーマンスは単発的で、キリアン・エンバペというスター選手一人に頼ることも少なくない。リーグ戦でも不甲斐ないパフォーマンスでポイントを落とすことも少なくなく、クープ・ドゥ・フランスでも決勝で敗れてタイトルを逃した。

そこで『GOAL』では、現地でPSGを見届けているライターの小川由紀子氏に期待以上の選手と期待外れの選手を選出してもらった。今季のチームを牽引し、また輝きを放てていない選手は誰なのか。

日本時間10日のチャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦セカンドレグ・レアル・マドリーとの大一番を前に見ていこう。

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  • 期待以上トップ5

    今季のPSGのピッチ上での内容は芳しくないが、チャンピオンズリーグ決勝トーナメントに進出し、レアル・マドリーに先勝、さらにリーグ戦ではすでに優勝を既定路線としていることを考えれば、及第点は与えられる。そんなチームを牽引し、「期待以上」のパフォーマンスを発揮してきた5名をランキング形式で紹介する。

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    5. レアンドロ・パレデス

    勝利への「貢献度」なら、間違いなくマルコ・ヴェッラッティだが、「期待以上」という言葉通りの人物として挙げたいのがパレデスだ。今季の出場試合数は全コンペティションあわせて18戦、時間にして1000分に満たないが、アルゼンチン人の彼はメッシ、ネイマールの二大スターからの信頼が厚く、特に今季加入した同胞のメッシにとっては、ピッチ内外で順応する助けとなっている貴重な人材だ。プレー面でも、さりげなく気の利いたパスワークなど、これまでも数字に表れない部分での評価は高かった。レアルとのファーストレグでは先発したが、ゲイェがアフリカ・ネーションズカップから戻り、ペレイラが好調なセカンドレグではベンチスタートとなりそうだ。

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    4. マルキーニョス

    いまやエンバペと並んでPSGになくてはならない存在の一人となったチームキャプテン、マルキーニョス。彼は、「期待以上」というよりは、期待通りの活躍をしてくれている。

    今季これまでのリーグ・アンでのボールタッチ数はチーム最多。最終ラインで砦となるだけでなく、的確なロングフィードでシュートチャンスを作り出す起点の動きでも貢献度が高い。また、12節のリール戦など、膠着した試合で反撃のきっかけとなる同点弾を決めるなど、今季に限らず「値千金」のゴールを挙げるのも彼の特徴のひとつだ。ケガさえなければ、先発落ちすることは絶対にない不動のレギュラーだが、今季はCLのアウェー戦でまだ勝ち星がないだけに、1-0という危ういリードで臨むセカンドレグでは、精神面での統率力が求められる。

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    3. ダニーロ・ペレイラ

    現在、急上昇株のポルトガル人MF。入団初年度の昨シーズンは、前監督のトーマス・トゥヘルにセンターバックで起用され、慣れないポジションに本人も戸惑い、評価も低かった。しかし今季は、彼本来の「バランサー」の素質が見事にチームにフィットしている。サイド攻撃を多用するPSG において、両サイドバックを思い切り上がらせたい場面ではバックラインに下がって3バックの布陣を作り、守備時には、右サイドバックのハキミや、フリーロールのメッシが動いて空いたポジションを絶妙にカバーする。ピッチ全体のバランスを把握する感覚にも優れ、積極的に声を出して仲間のポジショニングを調整する様はまさにバランサーと呼ぶにふさわしい。ここ最近では3試合で4得点を挙げるなど、攻撃面でも貢献している。ポチェッティーノも絶大な信頼を寄せる彼は、セカンドレグでもほぼスタメンは間違いないが、次のイエローカードで次戦は出場停止となるので、その点は注意したいところ。

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    2. イドリサ・ゲイェ

    2日前の練習で、大エースであるエンバペの左足を踏んでケガを負わせてしまい、家族までもが誹謗中傷にあってしまったが、中盤での彼の働きは今季のPSGに欠かせない。中でも彼がチームにもたらす最大の恩恵はその豊富な運動量だ。ピッチを広く駆け回り、奪われたボールをことごとく取り返しにかかるが、それでいて今季これまでの警告はイエローカード2枚のみ。その高性能さはポチェッティーノ監督が「まるでマシンのようだ」と褒め称えたほど。セネガル代表としてアフリカ・ネーションズカップでも優勝し、32歳にして彼のパフォーマンスレベルは衰えるどころか凄みを増している。アフリカ杯から戻って間もなかったファーストレグは終盤3分ほどの出場にとどまったが、セカンドレグでは先発が濃厚だ。

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    1. キリアン・エンバペ

    レアル・マドリーへの移籍問題の影響もあり、シーズン序盤は「やや集中を欠いていた」と本人も認めているが、それでも10節までに5得点4アシストと、確実にPSGのスタートダッシュに貢献。さらにCLでは、マドリー戦のファーストレグでのアディショナルタイムでの劇的な決勝弾はもちろんのこと、グループステージでも全戦でゴールまたはアシストを記録と、目に見える結果を出している。加えて、ここ最近のエンバペのパフォーマンスには「鬼気迫る」という表現がぴったりくるほど、意志の強さと迫力を感じる。

    累積警告で欠場した直近のニース戦では、『エンバペなしでPSGは勝てるのか?』という見出しがメディアに躍ったほど。懸念どおり、PSGはこの試合に0-1と敗れ、あらためて彼の影響力が証明された形になった。2日前の練習で左足を負傷したが、すでに回復した模様で、レアル・マドリー戦には先発する予定だ。

  • 期待外れワースト5

    昨夏の移籍市場ではマーケットの主役となったPSG。だが、多くの新戦力たちが適応に苦しみ、これまでのクラブで見せてきたような働きを披露できていない。その影響もあり、今季から加入した選手のうち複数名が期待外れの選手に選ばれることとなった。彼らの真価が発揮されたとき、PSGのビッグイヤー獲得も近づくはずだ。

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    5. ネイマール

    2017年に入団してからというもの、毎年ケガで長期離脱しているネイマール。「今季こそは」と多くが期待したのに、やはり足首の負傷が長引いて2か月半の離脱。リーグ戦出場はここまで13試合のみ。全コンペティション合わせて4得点4アシストと、見事に期待を裏切ってしまった。ただ彼の場合、出場した試合では「違い」を見せつけることも多く、プレーの質については評価は高い。

    2月15日のファーストレグに終盤約15分間出場したのが、彼の復帰戦だった。間違いなく先発出場するセカンドレグは、ちょうどリズムも戻ってきたタイミングで、本人も「心身ともに調子はいい」と自信をみなぎらせている。今季最高の彼を見せてくれるのではないかと、あらためて期待したいところだ。

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    4. マウロ・イカルディ

    入団初年度の一昨シーズンは、ネイマール、エンバペ、ディ・マリアとともに「ファンタスティック・フォー」なる攻撃カルテットを形成し、20得点を挙げる大活躍を見せたイカルディ。しかし、今季彼がメディアを賑わせたのは、不倫疑惑で妻のワンダさんに三行半をつきつけられた、という痴話喧嘩のみ。妻との関係修復のためにクラブを離脱するような彼に期待したファンはそもそもいなかった。昨年はケガの影響もあって出番が安定せず、メッシが加わった今季は、すでに先発予想メンバーの頭数にすら入っていない感じがある。今季これまで5得点で、最後にネットを揺らしたのは12月。レアル・マドリー戦は、負傷明けのエンバペのコンディション次第で後半に出番があるかといったところか。

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    3. リオネル・メッシ

    キャリアで初めて移籍を経験し、初参戦したフランスリーグで、現在エンバペと並んでリーグ首位の10アシスト、というのはさすがの成績だ。しかしバロンドール7度受賞の「世界のメッシ」であるがゆえに、「あれ?この程度?」というガッカリ感が漂ってしまっている。

    実際、フランスで「メッシフィーバー」の火が消えるのは非常に早かった。

    ゴール前に飛び込んできたボールを百舌鳥のような鋭さで仕留めに行く、そんな動きにはさすがワールドクラス、と思わされるが、「あ、そういえばメッシいたんだ」と、忘れてしまうくらいに存在感が薄い試合も少なくない。このセカンドレグのタイミングで、スペインからは『夏にバルセロナに電撃復帰でラポルタ会長と合意』などというニュースまで飛び出している。PSGでの初ゴールはCLで、現在までの7得点のうち5点はCLでのもの、というのを見ても、リーグ・アンは彼が輝ける舞台ではないという印象もある。サンティアゴ・ベルナベウのピッチに立ったことで、メッシがラ・リーガへの郷愁を蘇らせてしまうことは、ありうるかもしれない。

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    2. ジョルジニオ・ワイナルドゥム

    完全に、「来る場所を間違えた」といった印象。彼の能力はリヴァプールで十分に証明されているし、実際多くのクラブで活躍できるはずだが、リーグ・アンのテンポに合っていない感じがあるのと、攻撃も守備も器用にこなすところが、逆にチームにフィットできない要因になっている。

    先発出場した直近のニース戦では、90分に交代するまでの間のボールタッチ数が「28」と、GKケイラー・ナバスの「34」を下回り、ボールが最も多く通過する中盤のポジションにおいて、いかにゲームに絡んでいなかったが数字で証明されてしまった。CLグループステージではライプツィヒ戦で2得点を挙げるなど、CL優勝経験者の本領も発揮しているが、ファーストレグでも出番がなかったマドリー戦では、セカンドレグもベンチを温めることになりそうだ。

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    1. セルヒオ・ラモス

    期待があまりに大きかったゆえにがっかりも大きいという点で、まさに「期待外れ」なのがラモス。昨夏、レアル・マドリーからフリーで移籍した彼は、ふくらはぎに抱えていたケガの回復が予想以上に長引き、11月下旬に待望のデビューを飾ったものの、またすぐにインジュリーリストに逆戻り。今季はこれまで、カップ戦1試合とリーグ戦4試合の計283分しかピッチに立っていない。

    デビュー戦のサンテティエンヌ戦では、圧倒的な支配力を見せつける別格のパフォーマンスを披露し、スタッド・ランス戦でも得点を挙げるなど、出場した試合での存在感は絶大なだけに、余計に惜しい。セカンドレグもメンバー外となる見込みで、シーズン終了後に離脱というシナリオも現実味を増している。

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