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リヴァプールは偉業を成し遂げられるか。CL、プレミアリーグ、FA&カラバオ杯の4冠達成なら南野拓実の功績も伝説に。

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    プレミアリーグ(首位争い中)

    【残り試合】

    • 第36節:vsトッテナム(5月7日/H)
    • 第33節:vsアストン・ヴィラ(5月10日/A)
    • 第37節:vsサウサンプトン(5月17日/A)
    • 第38節:vsウォルヴァーハンプトン(5月22日/H)

    昨シーズンはDFフィルジル・ファン・ダイクの離脱もあって3位に留まったリヴァプールだが、今季は開幕から万全の体制だった。レギュラーに定着したFWディオゴ・ジョタが2戦連続ゴールの好スタートを切れば、エースのFWモハメド・サラーは開幕から公式戦12試合で15ゴールと大爆発。チームも順調に白星を重ねると、チェルシーが年末に失速したことで、優勝争いは下馬評通りマン・Cとの一騎打ちとなった。

    リヴァプールも年末年始に勝ち切れない試合が続き、1月中旬には消化試合の差はあったものの、首位シティに一時は「14ポイント」のリードを許した。しかし、絶対に諦めないリヴァプールはそこから快進撃を見せ、直近のニューカッスル戦までリーグ戦14試合で「13勝1分0敗」と完璧に近い結果を残してシティとの差を一気に縮めた。

    シーズン後半は、サラーの得点こそ減ったが、日替わりでヒーローが誕生してチームを勝利に導いた。1月にポルトから加入したルイス・ディアスが即座にチームに馴染めば、2月のバーンリー戦ではMFファビーニョが、4月末のニューカッスル戦ではMFナビ・ケイタがそれぞれ試合唯一のゴールを奪って1-0の勝利に貢献した。

    さらに過密日程が続く中で迎えた第34節のマージーサイド・ダービーでは、途中出場のFWディヴォック・オリギが大活躍。先制ゴールに絡むと、85分には勝負を決める追加点。それまでリーグ戦6試合(うち4試合はベンチ外)も出番がなかったベルギー代表のストライカーが、腐ることなく期待に応えて見せたのだ。同選手は、今季プレミアで出場6試合(全て途中出場!)にして3ゴール。実に「33.7分毎に1ゴール」という圧巻の決定力を見せている。

    こうしてシティに肉薄するも、4月10日のシティとの“天王山”に引き分けて首位浮上のチャンスを逃し、1ポイント差のまま残り4試合に突入する。他力本願のリヴァプールに対し、シティは4連勝で優勝だ。さらに対戦カードを見ても、シティに分があるように思う。しかし今後2試合はリヴァプールが1日早く試合を行えるため、勝ってプレッシャーをかけ続ければ、逆転優勝の可能性は十分にある。

    ちなみに、万が一にも最終的に「勝ち点」「得失点差」「得点数」で並んだ場合には、直接対決もイーブンなので史上初の優勝決定プレーオフが開かれるぞ!

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    カラバオカップ(優勝)

    まさに南野拓実の大会だった。大会序盤戦は、スタメン起用された南野がゴールを量産。初戦となった3回戦のノリッジ戦で2得点すると、4回戦のプレストン戦でも1ゴール。そして準々決勝のレスター戦では、敗色濃厚となった後半追加タイムに胸トラップから落ち着いて流し込んで同点弾。敗退の危機を救うとともに、4冠の夢を繋ぐゴールを決めた。

    PK戦の末にレスターを下したリヴァプールは、ホーム&アウェー制の準決勝でアーセナルを撃破。そして2月末のチェルシーとの決勝戦では、ゴールレスのまま突入したPK戦で両軍合わせて22名が蹴った末、リヴァプールが11-10で今季1冠目を手中に収めた。

    その決勝戦、同大会で4ゴール1アシストの活躍を見せていた南野には出番がなかった。試合後、同選手がトロフィーを掲げると、チームメートが観客を煽って声援を求めた。南野がいなければ優勝はなかったし、こうして4冠の夢を見ることさえできなかったのだ。

    そういえば6年前の3月、“ミラクル・レスター”の岡崎慎司がニューカッスル戦でオーバーヘッドキックを決めたとき「いつも黒子役の彼のゴールが、シーズンのハイライトになったのが嬉しい」と綴られた現地記事があったのを思い出す…。

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    FAカップ(決勝進出)

    【残り試合】

    • 決勝:vsチェルシー(5月14日/N)

    リヴァプールが、ここまで勝ち上がれたのはやはり選手層の賜物だ。そして、カラバオカップに続いてFA杯でもチームに貴重なゴールをもたらしたのは南野拓実だった。4回戦のカーディフ戦での1得点に続き、5回戦ではノリッジを相手に再び2得点。思えば香川真司がマンチェスター・ユナイテッド時代にハットトリックを決めた相手もノリッジだったので、日本人にとって相性の良い彼らが今季プレミアから降格するのは少し寂しい気がする…。

    リヴァプールは8強で2部のノッティンガム・フォレストを退けると、準決勝ではマン・Cと激突。直前のCL準々決勝で主力を温存できたリヴァプールに対し、シティは怪我でプレイメイカーのケヴィン・デ・ブライネを欠くなど苦しい台所事情となり、前半のうちに3得点したリヴァプールが決勝の切符を手にした。

    5月14日のファイナルは、カラバオカップ決勝の再現となるチェルシー戦だ。決勝に専念できるチェルシーに対し、リヴァプールは前後のリーグ戦でも気が抜けないため、苦しい戦いが予想される。今季両者の対戦はPK決着を含めて3回ともドローゲーム。クロップは、彼を誰よりもライバル視するトーマス・トゥヘルに対し、最近5試合連続で勝てていないので少し不安が付きまとう…。

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    チャンピオンズリーグ(決勝進出に王手)

    【残り試合】

    • 準決勝:vsビジャレアル(4月27日/A)
    • 決勝:vsレアル・マドリーorマン・C(5月28日/N)

    ベスト8からは“クジ運”に助けられたのも事実だが、それまでは“チャンピオン”をなぎ倒してきた。グループステージは、CL歴代王者のミラン、ポルト、そして昨季のラ・リーガ覇者であるアトレティコ・マドリーと同居する厳しい組み合わせとなった。

    第1節のミラン戦ではサラーのPK失敗もあって一時は逆転を許したが、最終的に3-2で競り勝つと、そこからは連勝街道まっしぐら。続くポルト戦に大勝すると、アトレティコにも連勝して無傷の4連勝で早々に1位通過を決めてみせた。そしてメンバーを落として臨んだ残り2試合も勝利し、イングランド勢として初のグループステージ全勝突破の快挙を達成した。

    ベスト16では昨季のセリエA覇者であるインテルとぶつかった。敵地でのファーストレグに2-0で快勝すると、第2戦はゲームを支配しながらも0-1の惜敗。「サッカーの芸術とはタイミングよく負けること」とクロップ監督が試合後に語ったように、約1年ぶりにホームでの黒星を喫しながらも勝ち上がりを決めた。

    その後はクジ運も味方し、準々決勝でベンフィカを引き当てると、敵地での第1戦を3-1で制して勝負あり。第2戦では、今季新加入のDFイブラヒマ・コナテが2戦連続でコーナーからヘディングを決めるなど、主力を温存しながら3-3の引き分け。ここでメンバーを落とせたことで、直後のFAカップ準決勝のシティ戦を万全の状態で迎えられたのだ。そして、ビジャレアルとの準決勝ファーストレグは、相手に枠内シュートを1本も許さない完璧な内容で2-0と勝利し、5年間で3度目となる決勝進出に王手をかけた。

    アクシデントさえなければ決勝進出はほぼ間違いない。勝ち上がることができれば、5月28日のファイナルではシティとの同国対決か、レアル・マドリーとの4年前の再戦が待っている。対戦相手を選べるのならレアルの方が与し易いと思うが、今のリヴァプールの実力を考えれば選り好みする必要はない。どちらと当たっても、若干リヴァプールに分があるはずだ。

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    伝説のシーズンとなるか

    欧州5大リーグのクラブとして史上初の4冠を目指すリヴァプールだが、プレミアリーグの栄冠が他力本願になってしまったことで、残り試合を全勝しても4冠を逃す可能性がある。それどころか、1つのミスで1冠に終わることだって考えうる。だからこそ、世界最高と呼ばれる選手層を存分に活かし、総力戦で残り7試合を勝ち切るしかない。

    幸い、怪我人はほとんどいない。膠着した試合を勝ち切れるだけの前線のタレントも揃っている。だから、仮にプレミアリーグでシティを追い抜くことができたなら、それは運命がリヴァプールを望んでいることになる。そうなれば4冠以外の結末は想像できない。

    そして実際に偉業を成し遂げたとき、立役者として称えられるのは主力組だけではない。今季23戦9ゴールの日本代表のエースを含め、全選手がチームを栄光へと導いたことになるのだ。

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