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Japan(C)Getty Images

「8.5枠」は楽勝ではない。2026年W杯に向けてアジア最終予選スタート!日本代表にとって「9月が危ない」理由

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 2026年北中米W杯では、出場枠が32から48へ拡大した。これに伴い、アジアの出場枠も「4.5」から「8.5」に拡大。予選のハードルが下がったとも言えるが、事はそんなに単純ではない。

 このアジア予選を何位で突破するかが「世界の頂点」を目指す日本代表にとって、重要なファクターとなるのだ。試合開催月は、2024年が9・10・11月、2025年は3・6月。ここでは、オーストラリア、サウジアラビア、バーレーン、中国、インドネシアと同居するC組のなかで、スタートとなるこの9月シリーズ2連戦をどう戦うかを考察する。(文=川端暁彦)

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  • 20240902-japan-trainingHiroto Taniyama

    「1位抜け」と「8位抜け」は全く違う

     「8.5枠になったんだから予選は楽勝でしょう?」

     2026年に北米圏で広域開催されるワールドカップについてよく聞くようになった言葉である。

     一面の事実としては「そのとおり」なのだが、「8位でいいじゃん」と言えるかというと、そうではあるまい。

     もちろん、これがインドネシアの立場なら違う。まだ“オランダ領インド”だった遥か遠くの時代に1度出ただけの国であれば、ギリギリであっても出られればいいというヴィジョンを持つのは自然だろう。現実的な目標を設定しているという言い方もできる。ただ、日本は違う。

     こういうと、こんな言葉も返ってくる。

    「1位で抜けるのも、8位で抜けるのも同じでしょう?」

     いや、それがまるで違うのだ。

     あえて言うと、「6位ならダメと言うほどじゃないが、8位はダメだ」ということは言えるのかもしれない。まずはその話をしておこう。

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  •  20240611-asiancup-japan-minaminoGetty Images

    最終になるかもしれない予選

     9月から始まるアジア予選の新ステージは、一般に過去の例から“最終予選”と呼称される。ただ、日本サッカー協会の表記は「最終予選(3次予選)」であり、英語表記は「3rd round」(つまり3次予選)である。

     イメージ含めて現実的な言い方をすると、「最終になるかもしれない予選」と言うべきだろうか。

     ここまで残った18チームを6チームずつ3ブロックに分けてホーム&アウェイでの2回戦総当たり戦方式で対戦。各グループの上位2チームがワールドカップへの切符を手に入れられる。その意味で、“最終”の場となる“可能性がある”ステージである。

     ただし、3位と4位のチームはアジア内のプレーオフステージとなる4次予選へと進むことになり、そこからさらに5次予選、そして“0.5枠”の行方をかけた大陸間プレーオフと続く形になる。

     正直な話、ここには行きたくないのだ。ここまでいくと心理的なプレッシャーも相当あるので、かなりリスキーな戦いを強いられるからというのも当然ある。ただ、そこに加えて“世界大会への準備時間を削り取られる”ことのほうが重い。

     ワールドカップで過去4度16強を経験した日本代表の現実的目標は8強以上にある。たまたまではなく、実力で8強に入れるチームは頂点を狙う可能性を持ったチームである。

     だから森保一監督や選手たちから「世界一」という目標設定が出てくるわけだが、アジア予選に絡め取られる時間が長くなればなるほど、この目標のリアリティは失われていく。

     現実的にアジアと世界の“差”は大きいのだから、予選を抜けるための戦いと、世界大会の高い壁をぶち抜くための戦いはまるで違ってくるのだから当然だ。

     中国、バーレーン、サウジアラビア、オーストラリア、そしてインドネシアとの対戦が続くこの3次予選を“最終”にして、直接ワールドカップへ行くのはマストと言える。

     その上で、できればギリギリ突破も避けたい。

     赤道近くもあれば、季節反転の南半球もあり、中東気候もあるアジアを転戦するこの予選はコンディションの負荷も大きい。できれば早めに突破を決めて、新しい戦術や選手を試すくらいの余力を持って世界大会への準備を予選のうちに始められれば理想的だ。

     6位でもなく、やっぱり1位で抜けたい。いま開幕前に目標を定めるなら、そのラインだろう。

  • 20240903-yuta-nakayamaGetty Images

    この中国戦、バーレーン戦の重要度

     そうした観点で見ると、9月シリーズの重要度は高い。森保監督、山本昌邦ナショナルチームダイレクターが口を揃えて危険性を指摘したように、「9月は危ない」のだ。

     森保監督にとっても苦い記憶がある。2021年のカタールW杯最終予選ではホームの初戦でオマーンに0-1と苦杯。中国との第2戦も1-0の辛勝だった。

     2016年のロシアW杯最終予選でも、9月のUAE戦で苦杯。翌年9月のサウジアラビア戦も敗れ、やはり同様に厳しい戦いを強いられている。

     欧州組はシーズン開幕直後で状態が整わず、Jリーグ組は真夏の連戦を経て消耗が激しいこの時期は日本代表のコンディションが全体に悪くなっているタイミングである。

     欧州からの移動負荷も大きく、今回も全員揃って練習できるのは試合前日の1日だけ。対して中国は時差もほぼない国からの移動で、万全の準備を整えてこの試合に臨んでくる。コンディション面では明らかに相手のほうが良いという状態で迎える試合だ。苦戦を強いられる可能性は十分にある。

     森保監督はこの2試合である程度選手を使い分けるはず。初戦はギリギリの来日になる欧州組の選手はベンチに切り札として残しつつ、コンディションの良い選手を軸に戦う形になるだろう。逆に言うと、キーマンは国内組とも言えるかもしれない。

     伊藤洋輝(バイエルン)、冨安健洋(アーセナル)が揃って負傷中であることを考えれば、中山雄太(町田)は久々の復帰ながら先発で考えられているはず。それに初招集ながらパリ五輪含めて国際大会の場数を踏んできている4日に20歳になる長身CB高井幸大(川崎F)にも期待しておきたい。

     いずれにしても、この初戦での勝利、できれば連勝は“6位”や“8位”を避けるための最善手だ。

     そんな甘く勝てるような場でないことは重々承知しつつも、「8.5枠だから引き分けでもいいだろう」などと言っていい試合ではまったくない。

  • dmm dazn hodai new plan

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