Cole Palmer poor form GFXGetty/GOAL

コール・パーマー勝負の4カ月:自身の将来のためにも…低迷するチェルシーを救えるか

プレミアリーグでのチェルシーの不振は、彼らのエースの調子と関連していることは驚くべきことではないだろう。加入から常にハイパフォーマンスを見せていたコール・パーマーだが、現在はキャリアで最も苦しい時期だろう。そして、彼がいかにチェルシーにとって重要であるかも同時に露呈することとなった。

直近のブライトンとの連戦では徹底的に抑え込まれ、どちらの試合でも持ち味は発揮できず。チームは1-2、0-3と敗れ、FAカップで敗退、リーグ戦では6位に転落している。直近の11試合でわずか3勝、パーマーが勝敗を左右していると言っても過言ではない。

確かに、パーマー自身は他の低調なチームメイトよりは輝きを放っている。しかし、エースにはそうしたチームメイトを引っ張り上げる力と自信が必要だ。チームを救うためにも、一刻も早く最高のパフォーマンスを取り戻さなければならない。

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    不調でも際立つ存在

    まず最初に言っておかなければいけないのは、もちろんパーマーだけの問題ではないということ。むしろ、彼はチームが苦戦する中でも活躍していた。敗れたフラム戦でも彼の得点は圧巻だったし、クリスタル・パレス戦でも冷静に先制点を決めている。ボーンマス戦でも、やはりネットを揺らしていた。

    しかしそれから1カ月後、背番号20の影響力は衰えていったことも事実だ。ウェストハム戦やブライトン戦の失点のキッカケは彼であり、相手に抑え込まれてチーム全体の創造性と得点力は著しく低下している。

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    フラストレーション

    昨季の圧倒的な活躍から、パーマーは一貫して活躍し続けてきた。しかし、直近はチームを勝利に導けていない。古巣マンチェスター・シティ戦も決定機を外し、チームは勝てたはずの試合で1-3の逆転負け。そして、ブライトンには2試合連続で存在感を放てていない。

    『The Athletic』によると、敵地でのブライトン戦では後半だけで12回のボールロストを記録。加入後最低のパフォーマンスだったかもしれない。そして、そのボディランゲージから明らかにフラストレーションを溜めていた。

  • Chelsea FC v AFC Bournemouth - Premier LeagueGetty Images Sport

    パーマー“依存”

    そして問題の本質は、チェルシーがパーマーに依存しすぎていること。現在起用可能なウイング3人、ジェイドン・サンチョ、ペドロ・ネト、ノニ・マドゥエケが今季プレミアリーグで挙げたゴール&アシストの合計は「20」。これはパーマー1人が記録した数字と同じだ。

    さらにニコラス・ジャクソンがハムストリングを痛めたことで、この2試合はさらにチームの攻撃が悪化した。相手守備陣を引っ掻き回すセネガル代表FWがいなくなったことで、相手チームはパーマーへのマークに集中できるようになったからだ。クリストファー・エンクンクが代わりを務めているが、パーマーとの連携は機能不全。プレーエリアが被ってしまい、チームに必要ないわゆる「9番」のプレーもできていない。

    エンツォ・マレスカ監督は他のアタッカーにも奮起を求めているが、過去18カ月の間頼り切っていたパーマーへの“依存”は簡単に抜けるものではないようだ。

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    ロッカールームでの不安

    そして、不安はピッチ上だけではない。ブライトン戦の試合終了のホイッスルが鳴ると、パーマーはロッカールームへ直行。後にピッチに戻り不満を爆発させたサポーターへ挨拶に行ったものの、この行動は物議を醸した。

    この件について、マレスカは「フットボールはチームスポーツであり、テニスではない。イライラしているのはコールだけではないんだ」とし、以下のように続けた。

    「これはある意味で、コールが状況を改善したいという気持ちの表れだ。しかし彼だけの問題ではなく、すべての選手に関わることでもある。そして、それはファンも同じだ。試合に勝てなければ、ファンが喜ばないのは当然だ。試合に勝てば、誰もが喜ぶ。選手もまったく同じだ。勝てなければ、ファンはフラストレーションを感じる」

    「ファンも含めて、全員がもっとポジティブになる必要がある。今こそ団結して、最高の形でシーズンを終えなければならないよ」

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    移籍の可能性も?

    この不振で6位に転落したことにより、今季もチャンピオンズリーグ出場権を逃す可能性が高まっている。そしてパーマーは、自分の野心と合わないと判断すれば躊躇なく移籍を決断するかもしれない。ブライトン戦後、ジェイミー・キャラガーは『スカイスポーツ』でこう語っている。

    「この試合から感じたのは、チームの低迷だけではない。パーマーの苛立ちだ。『2年後にはチャンピオンズリーグにも出られるな』とは思ってくれないだろう。このプロジェクトを2~3年周期で考えてはいけないはずだ。最高の選手は、そんなに待ってくれない。パーマーはプレミアリーグ最高の選手の1人であり、リーグ優勝やビッグイヤーを争うべき選手である。フラストレーションが溜まっていることは明らかだ。

    彼の本来のプレーを見れば、他の欧州クラブが放ってはおかないだろう。そしてチームがチャンピオンズリーグ出場権を逃した場合、引き止める手段はないように思える。

  • Chelsea FC v West Ham United FC - Premier LeagueGetty Images Sport

    勝負の4カ月

    とはいえ、一番最初にやらなければいけないことは、やはりパーマーが最高のパフォーマンスを取り戻すことである。それがエースとして背負わなければいけない責任だ。仮に今後他のクラブへ行くとしても、今の状況を改善できなければ最高のタイトルには手が届かない。

    昨季~今季途中まで見せていたあの輝きは、間違いなく世界最高レベルのものだった。そして、チームをトップ4に導く能力があることも確かである。今季は残り4カ月、パーマーの未来にとって非常に重要な4か月となることは間違いない。