アヤックスは敗戦に頭を掻きむしったが、この手のことはレアル・マドリーのここ数年の得意技だ。
誰をも魅了するチャンピオンズリーグ(CL)のベスト16がついにスタートした。13日、ヨハン・クライフ・アレーナでのファーストレグで、試合を支配していたのはアヤックスだったが、2-1と試合を制したのはアウェーチームである。
今考えてみると、2月までにチームを包んでいた不振や不安は彼らにとってはプレシーズンの延長とさえ捉えていたのかもしれない。つまり、本格的なプレーは春から始めればいいというレアル・マドリーのいつもどおりの計画である。
チャンピオンズリーグの決勝トーナメントが始まり、王者の瞳は輝き始めたようだ。この大会へのそうした意欲こそが、彼らを3年連続の優勝へ導いてきたのだ。
■蘇るレアル
GETTY IMAGESジュレン・ロペテギ前監督の下、散々なスタートを切ったことは記憶に新しい。当然、その頃からレアルのCL4連覇は難しいだろうという論調は始まっていた。そうでなくとも連覇への道は険しいのである。
しかし、まるで時計仕掛けのように正確に、サンティアゴ・ソラーリが監督に就任したレアルは息を吹き返し、気づけば再び優勝候補の一角に数えられる。特に、アムステルダムでの今回の試合を見た後では、「今季ももしかすると…」という思いに駆られても不思議ではない。
アヤックスの名誉にかけて言うと、アヤックスはレアル・マドリーの状態について、微塵も気にかけていなかった。ベスト16に残った中で最も若く、そしてエキサイティングなチームは、ティボー・クルトワが守るゴールに向かって、何度も鋭いシュートを放っていた。
唯一レアルが一息つけたのは、ソラーリ監督の復活の象徴であるヴィニシウス・ジュニオールが鞭のようにしなやかなシュートを放ち、GKアンドレ・オナナに弾かれた時だけだった。
そして、来シーズンよりバルセロナへの加入が決まっている、フレンキー・デ・ヨングは苦い薬を飲むこととなる。それはレアル・マドリーについて学ぶべき最も重要なことの一つを経験したとも言い換えることができた。試合後には「ああいったことはビッグクラブに有利に働くものだ」とどこか達観した様子で話している。
■勝負を分けたVAR
Gettyアヤックスは推進力を増して突き進み、ハーフタイム直前にクルトワのミスのおかげで先制点を挙げた。ところがVARが、この決定的なミスを取り消した。ドゥシャン・タディッチがオフサイドポジションであり、クルトワのすぐ前でプレーを妨げたと判定されたのである。
レアルは今シーズン、国内での導入に反対していた技術に救われたのだ。スペインのメディアで導入反対のキャンペーンまで立ち上げていたのに。これまでに、フロレンティーノ・ペレス会長はスペインサッカー協会の理事会で、VARの使用が決定されれば退任するという脅しすらかけていた。
おそらく今は、正反対のことを考えているだろう。実際、セルヒオ・ラモスはそうだ。自分はずっと前から現代のテクノロジーを支持していたと言い張ってすらいる。
3分もの長い中断の後、多くの人たちがVARの決定に激怒することになる。後に、VARは「ビデオ・アシスタント・レアル・マドリー」かと揶揄する人たちも現れた。
だが、誤解を恐れずに言えば、あれは正しい判定だった。たとえ、シュートを11本も浴びせたアヤックスのほうが、前半をリードして終えるのにふさわしいプレーをしていたとしてもだ。
ただ、手も足も出ない状態に置かれることは、チャンピオンズリーグで快挙を成し遂げているレアルにとっても、不慣れなことではない。我々は、これまでも何度となくそういうシーンを見てきた。いつも、最後に笑ってきたのがレアルなのだ。
■運を作り出せるのがレアル
GETTY IMAGES相手の一瞬の気のゆるみを逃さず、レアル・マドリーは即座に急襲した。ピッチを駆け回っていたヴィニシウスがボックス内へ走りこみ、最終的にはベンゼマがゴールにシュートを突き刺したのである。
ただ、ソラーリ監督率いるレアルは、リードを長く保持することはできなかった。ツィエクの見事なフィニッシュで、アヤックスが値千金の同点ゴールを手にしたのだ。
それでも、レアルが引き分けを狙う必要はなかった。ダニエル・カルバハルのスーパークロスがオナナを惑わせ、ポジションを外してしまったところで、アセンシオが簡単なフィニッシュを沈めた時、試合時間は3分しか残っていなかった。
長く厳しいプレッシャーにさらされようとも、レアルは間違いなく、この夜のプレーに喜ぶことだろう。批評家は、またしても運が彼らに味方したというだろう。だが、レアルはチャンピオンズリーグで自ら運を作りだせるチームだ。13回に及ぶ優勝記録がそれを証明している。
文=リク・シャルマ/Rik Sharma
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