パリ・サンジェルマンは週末、キリアン・エンバペ抜きではいかに厳しい戦いを強いられるかよくわかったことだろう。6日、リーグ・アン第27節でニースに0-1と敗れ去った。
エンバペは出場停止処分のため、アリアンツ・リヴィエラへの遠征を見送ったが、水曜日のベルナベウでのチャンピオンズリーグではフレッシュな状態で試合に臨めるという明るい材料があった。
(C)Getty Imagesしかし、この計画は月曜日に練習場でイドリッサ・ゲイェと衝突したことで、失敗に終わりそうだ。マウリシオ・ポチェッティーノ監督は「彼と話をしたが、彼は良い感じだと言っていた」と前日会見で話しているが、万全の状態で出てこられるかはキックオフまでわからない。
実際、エンバペがいるといないとではPSGは大違いだ。リオネル・メッシがいてもニース守備陣を崩すことはできず、エンバペ不在時に見られる低調なパフォーマンスに終始した。ニースのクリストフ・ガルティエ監督も「キリアンがいるPSGといないPSGがある」と全く別のチームになることを認める。
PSGはエンバペが出場した24試合のうち18試合で勝利したのに対し、彼が欠場したリーグ戦ではわずか1試合にしか勝てていない。さらに、1試合あたりの平均ゴール数もエンバペ不在の場合は1点、エンバペが出場している場合は2.2点と数字の上でも違いは明らかだ。
■レアル・マドリー戦でも必要不可欠
Getty Imagesもちろん、レアル・マドリーはムバッペが引き起こすダメージについて十分すぎるほどわかっている。
パルク・デ・プランスで行われたファーストレグでは、エンバペはスリリングなパフォーマンスを披露し、試合終了最後の数秒で両者を分かつゴールを決めたのだ。
また、そのゴールも平凡なものではなかった。2人のDFの間を難なくすり抜け、わずかにたわんだボールがゴール隅に突き刺したのだ。
12月に23歳になったばかりのエンバペは、すでに輝かしいキャリアを誇る。ワールドカップ優勝を経験し、世界で彼を欲しがらないクラブは存在しない。実際、エンバペは今やPSGにとって絶対に欠かせない選手であり、シーズン開幕当初は彼と同等と考えられていたネイマールやメッシよりもはるかに重要な選手だ。
もし、ムバッペが水曜日にピッチに立つのに十分な健康状態でなければ、その事実は大舞台の一つではっきりと明らかになるかもしれない。
メッシはパリに到着して以来、魔法のような一瞬の閃光を放つことしかできず、ネイマールとアンヘル・ディ・マリアも同様に衰えつつあるように見える。
このチームは、前線3人が攻撃のすべてを担っているように設計されている。しかし、実際には、エンバペが11人全員の負担を背負っていると言ったほうが正しい。
マドリーでタリスマンが不在となれば、精神的にも大きな打撃となる。ラウンド8に進むには彼の力が必要不可欠なのだ。
ある意味、パリでの最後の活躍が、この夏に移籍することが決まっているチームに対する見事な勝利のゴールであったなら、それは両者にとってふさわしい別れの形となるのかもしれない。



