イタリア王者インテルとの対戦でチャンピオンズリーグのノックアウトラウンドをスタートさせるリヴァプール。3年ぶりの欧州制覇に向けては、彼らの“勝負強さ”と“ベンチワーク”に注目したい。バイエルンやアヤックスと並びグループステージを無傷の6連勝で突破した彼らは、さらに逞しくなって決勝トーナメントを迎えている。
勝負強さ
ヨーロッパの舞台でのリヴァプールの勝負強さは際立っている。それは宿敵マンチェスター・ユナイテッドの成績と比較すれば一目瞭然だ。国内リーグの優勝回数ではユナイテッドに後れを取っているリヴァプールだが、チャンピオンズリーグ(チャンピオンズカップ時代を含め)ではユナイテッドの倍となる6度の優勝を誇る。
それ以上に驚くべきはファイナルの座をかけた「準決勝」の戦績である。実は、準決勝の進出回数だけを見ればリヴァプール(11回)よりもユナイテッド(12回)の方が多いのだが、ユナイテッドが「5度」しか決勝に進めていないのに対し、リヴァプールは「9度」もファイナルの舞台に立っている。11回進出した準決勝で2度しか敗退していないのである!
前回頂点に立った2018-19シーズンも、彼らの勝負強さが顕著に表れた。準決勝のバルセロナ戦では、敵地でのファーストレグを0-3で落として絶体絶命の窮地に立たされた。第2戦では、FWモハメド・サラーとFWロベルト・フィルミーノという攻撃の二枚看板を怪我で欠き、逆転は不可能に思えた。そんな中で結果を残したのが伏兵のFWディヴォク・オリギだった。そのシーズンわずか6度目のスタメン出場となったオリギの2ゴールの活躍で4-0と大勝し、奇跡の大逆転劇を演じたのだ。
2005年に“イスタンブールの奇跡”を起こして頂点に登り詰めたときも、ハーフタイムの選手交代が反撃のきっかけを作ったし、チームの2点目を決めたのは途中出場のヴラディミール・シュミツェルだった。そう考えると、リヴァプールの成功の陰には、必ずと言っていいほど「伏兵」や「控え選手」の大仕事が隠れているのだ。そして、今シーズンもそれが彼らの強みとなる。
多彩な攻撃陣
(C)Getty Images優勝候補の一角に挙げられるリヴァプールは、3トップの選手層が際立っているのだ。絶対的エースのサラーは得意の高速カウンターからゴールを量産しており、今季プレミアリーグでは得点ランク1位の16ゴールを叩き出しているほか、CLグループステージも6試合で7ゴールを奪った。
今季はサラーのほかに、加入2年目のポルトガル代表FWディオゴ・ジョタの活躍も目覚ましい。リーグ戦ではサラーに次いで2位の12ゴール。身長178cmと決して大柄な選手ではないが、3トップの中央を任されればクロスに頭で合わせるなど研ぎ澄まされた得点感覚を発揮し、リーグ最多タイとなるヘディングゴールを決めている。
さらに、一時はゴールから遠ざかったFWサディオ・マネも、シーズン後半戦は大いに期待できる。今月、セネガル代表のエースとしてアフリカネイションズカップに出場して3得点2アシストの活躍で大会MVPに輝き、決勝戦ではサラー擁するエジプトをPK戦の末に退けて、母国を初優勝に導いたのだ。その功績が称えられ、セネガルのセディウ州に建設中のスタジアムには彼の名前が付くことになったという。
もちろん、この強力な3トップだけではない。1月にはポルトからコロンビア代表のルイス・ディアスが加わった。移籍金55億円で加入した左ウイングは、デビュー戦となった今月6日のFAカップでいきなり南野拓実のゴールを演出すると、初スタメンとなったプレミアリーグのレスター戦では何度も攻撃に絡んでチーム最多4本のシュートを放ってみせた。ポルトの選手として出場した今季CLグループステージでも、ミラン戦で2試合連続ゴールをマークしている。
さらに、今季は控えに回ることも増えたフィルミーノだが、ゼロからチャンスを生み出す創造力は健在で、先月のリーグカップ準決勝のアーセナル戦では、最前線から降りてきて味方からのパスをヒールで流して先制ゴールの起点となった。ルイス・ディアスの加入もあって、FA杯のカーディフ戦では一時的にインサイドハーフを任される時間帯があり、いざとなれば3トップの背後で起用できるかもしれない。
そして、勝負強いと言えば前述のオリギだ。今季ここまで公式戦10試合の出場にとどまっているが、それでいて5ゴールと高い決定力を誇っている。12月に膝の怪我を負って離脱したが既に練習に復帰しており、彼のフィジカルと大舞台での強さは頼もしい。もちろん、日本代表FW南野拓実だって負けていない。出番は限られているが、今季公式戦7ゴールは先発3トップの3選手に次いで多い。一列下でもプレーできるため、陣形を崩さずに攻撃の枚数を増やしたときには心強い。
そして18歳のハーヴィー・エリオットもいる。開幕から4試合連続で出場して大ブレークを予感させた小兵だが、9月のリーズ戦で足首の脱臼骨折という大怪我を負って長期離脱。それでも今月復帰を果たしており、圧巻の足技で局面を打開できるレフティにもチャンスメーカーとして期待できる。
選択肢は大きな武器に
(C)Getty Imagesこのように、リヴァプールは3トップの定位置を8名で争っており、前線の選手層は欧州No.1と言っても過言ではない。他のポジションも層は厚いが、とりわけ「コロナ禍のチャンピオンズリーグ」では前線の選択肢がカギを握るのだ。なぜなら、普段よりも起用するチャンスが多いのである。
プレミアリーグが交代枠「3名」を貫くなか、チャンピオンズリーグを含めた欧州の大半のリーグはコロナ禍の影響を鑑みて今シーズンも交代枠を「5」に増やしている。そして延長戦に入れば6人目の交代も認められる。また、ベンチ入りできる控え選手の数も、プレミアリーグの9名に対し、チャンピオンズリーグは12名。だから通常ならば持て余すような選手層でも、今のチャンピオンズリーグでは最大限に有効利用できるのだ。
さらに、今季から撤廃された「アウェイゴール・ルール」がどう影響するかも注視したい。失点を恐れずに今まで以上に攻撃的に戦えるのなら、やはり前線の豊富な選択肢が功を奏するはず。
3年ぶりの頂点を目指し、欧州随一の攻撃陣を擁するリヴァプールが決勝トーナメントの戦いに挑む。




