Obi1_20210223©Y.F.M.

いざ、川崎フロンターレとの開幕戦へ。GKオビ・パウエル・オビンナが強く意識する“アタッキングフットボール”/インタビュー後編

 流通経済大から横浜F・マリノスに昨季加入したGKオビ・パウエル・オビンナ。栃木SCへの育成型期限付き移籍を経てトリコロールに戻った逸材は、開幕戦先発を見据えトレーニングに励む。26日に迫った金J・明治安田生命J1リーグ第1節の相手は昨季アウェイで敗れた川崎フロンターレだ。

【前編】「どんな状況でも絶対に守り切る」追い求める勝者のメンタリティー

■ヒーローとは? 支柱であり大きな存在

――開幕直前です。ここまでの仕上がりはいかがですか?

 キャンプでは、横浜にいる時より練習を多くこなして、すごく濃い時間が過ごせている分、良い面も悪い面もたくさん見えてきました。もちろん完璧ではないですし、まだまだ問題もあります。だけど、そこの問題点を一つずつ潰していって、今シーズンに向けてチーム全体、個人としても自信を持って臨めるような状態にするつもりです。

――今年の明治安田生命Jリーグ開幕キャッチコピーは「#2021のヒーローになれ」です。オビ選手にとってのヒーローとは?

 自分にとってのヒーローは、F・マリノスのGKコーチのシゲさん(松永成立)ですね。

――松永さんに受けた影響は?

 やはり「GKとは何なのか」を日頃から教えていただけますし、僕が考えていることをすごくリスペクトして聞いてくれます。シゲさんが思うGK像と僕の持っているGK像をすり合わせて、より良いものを作ろうと日頃から考えてくれるんです。本当に、存在がもうヒーロー。そういう言い方が合ってるのかはわからないですけど、僕の中での支柱と言いますか、大きな存在です。

――では、自分がヒーローになるためにはどうなっていかなければいけないと思いますか?

 自分がヒーローになっていくためには、やはり他の人からもヒーローと思われる必要があります。自分の中で納得することも大事なんですけど、周りからの評価がすべてだと思っているので、そういうところをシビアに突き詰めていきたいです。

 あとは存在感を出していくことですね。失点をゼロにすることは、もちろんGKとして目標でもあるんですけど、失点をゼロにするための声掛けや味方とのコミュニケーションを上げていって、それに加えてセービングなどでも存在感を出していきたいです。

――GKがヒーローになることを待っている子供たちもいると思います。

 かつて自分が思ったように、誰かを見て「GKってカッコいいな」と思ってほしい。サッカーはフィールドの選手がフォーカスされがちですが、GKのポジションを少しでも知ってもらって、その上で僕を見てGKを始めるきっかけになってくれたらすごく嬉しいです。そういう子どもが一人でも増えるように、GKの素晴らしさや楽しさをプレーで表現したいと思っています。

■金J開幕戦、警戒すべきは三笘選手

20210106_Mitoma(C)J.LEAGUE

――26日、ついに開幕を迎えます。開幕戦の相手、川崎Fにはどんな印象を持っていますか?

 昨年のチャンピオンですし、すごくいいサッカーをしていて、相手は自分たちのサッカーにすごく自信を持っていることが伝わってきます。ましてや僕らは昨年アウェイで負けているので、あの敗戦のリベンジをしたいというのもあります。チャンピオンであろうと初戦で自分たちのほうが強いぞというところを見せたいです。

――警戒すべき選手はいますか?

 うーん…(三笘)薫選手でしょうか。やはり彼は同年代でもありますしユニバーシアードの代表でもずっと一緒でした。昨年すごく活躍していましたしね。前回は負けて僕が悔しがってる中、勝って気分が良かったと思うんですけど、笑顔で「良かったね」と言われたのがすごく悔しかったんです。今回は逆に言ってやりたいなと思っています。何とか止めて、勢いを失わせたいと思います。

――では横浜FMのキーマンは?

 攻撃陣にはすごく期待しています。練習の中でもすごく脅威を感じていますし、F・マリノスのアタッキングフットボールを体現してくれる攻撃陣には期待したいです。

――開幕戦は難しい試合になると思います。勝敗を分けるポイントは?

 勝敗を分けるポイントは、局面局面の強さかなと。局面をしっかり一個、一個勝っていけば試合にも勝てると思います。攻撃がうまくいっている、チャンスを作れている、そういう試合は昨シーズンもたくさんありました。でも、支配率や攻撃のチャンスの回数が上回っていても負ける試合も多かった。そういう意味では、局面、局面を勝っていく、決めていくことが大事。守備でも守り抜く、失点をしない。そういう一つひとつのバトルを勝つかどうかが、開幕戦を含めて今シーズンは大事になってくると思っています。

――開幕戦、ピッチに立ったらどんな役割を果たしていきたいですか?

 開幕戦を経験したことはありませんが、今までの試合同様その試合が最後だと思ってピッチに立ちますし、相手がどこであれ絶対に勝つという気持ちを持って戦わなければなりません。慌てずに後ろからしっかり繋いで相手のスキを伺う。そういう冷静さを持ちつつ、F・マリノスのアタッキングフットボールをしたいと思っています。

――最後になりますが、今年をどんな一年にしたいと考えていますか?

 毎年、勝ったり負けたりいろいろな試合経験を積んで成長していくと思うんですけど、昨年経験したすべての悔しさを意味あるものにするためには、今シーズンの自分のプレーやチームの成績が本当に大事になってくると思います。自分を含め、ファン・サポーターの皆さんの昨年の悔しさを晴らすシーズンにしたいです。

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