Goal.com
ライブ
inter(C)Getty Images

絶体絶命のインテル、CLリヴァプール戦の逆転プランは…アンフィールドで奇跡を起こせるか

極めて困難なミッションに

inter2(C)Getty Images

 0-2で敗れたとはいえ、サン・シーロでのファーストレグは、試合内容だけに目を向けるならば予想以上の善戦だったと評価できる。格上リヴァプールに対して受けに回るどころか真っ向勝負を挑み、相手が思ったよりも慎重な戦い方を選んだことに助けられた面はあったにせよ、互角に近い押し合いを演じて膠着した展開に持ち込むことに成功した。決定機らしい決定機は、前半にチャルハノールが難しい角度からクロスバーを叩いた1回だけにとどまったものの、リヴァプールに与えた決定機も数えるほどで、その大半はセットプレー絡み。試合を決めた2得点が生まれたのはそのセットプレーからだったわけだが……。

 ただ、どのような形からにせよ2点を奪われ、他方では1点も挙げることができずにファーストレグを落とした以上、インテルがきわめて困難な状況に陥ったことは否定のしようがない。しかも次なる戦いの場は、どんな敵にとっても世界で最も怖れるべき難易度最高スタジアムのひとつ、アンフィールドである。幸か不幸か、UEFAは今シーズンからアウェーゴールルールを廃止しており、ホームで喫した2ゴールが数字以上に重くのしかかることはない。とはいえ、客観的に見て勝ち目はかなり薄いと言わざるを得ないだろう。

 それは過去のデータから見ても明らかだ。3月7日付『ガゼッタ・デッロ・スポルト』によれば、CL決勝トーナメントにおいて、ホームでのファーストレグを0-2かそれ以上の点差で落としたケースは、過去29年で41回。そのうちファーストレグに負けたチームが逆転で勝ち上がったのはたった一度、18-19シーズンにPSGを下したマンチェスター・ユナイテッドだけなのだ。しかもこの時は、ホームで0-2を喫した後、敵地パルク・ド・プランスでのセカンドレグに3-1で勝利し、2試合合計3-3ながら(今はなき)アウェーゴールルールで勝ち上がるという展開だった。しかし、もし今回インテルが3-1で90分を終えれば、待っているのは勝ち上がりではなく延長戦である。90分で勝ち上がるには、2試合合計スコアで上回れる3点差勝利(3-0、4-1など)が必要だ。

 インテルに残されているのは、可能性がいかに小さくとも、2点差以上で90分を終えるという唯一の目標に向かって突き進むことだけである。では、このきわめて困難な戦いの中に勝機を見出すとすれば、それはどのようなものであり得るだろうか。

必須となる先制点

inter3(C)Getty Images

 まずは基本的な戦略となるチームとしての振る舞いから検討していこう。2-0というスコアから試合がスタートする以上、主導権を相手に委ねて守勢に回り逆襲からの得点を狙うという選択肢は、インテルにとって最初から存在していないも同然だ。だとすればファーストレグと同様、攻守両局面で積極的に主導権を取りにいく姿勢を強く打ち出し、正面から渡り合う以外にはないということになる。

 そうは言っても、ファーストレグの内容(結果ではなく)を「予想以上の善戦」と評価するならば、セカンドレグでそれを大きく上回るパフォーマンスを期待することは難しい。したがって、戦力的にも戦術的にも、ファーストレグからの「伸びしろ」はあまり残っていないと考えざるを得ない。

 だとすれば、ファーストレグと同じように何とか互角に近い押し合いを演じつつ、その中で生まれた小さな優位を最大限に活かして何とか先制点を奪い、それを足場に少しずつ試合の流れを手元に引き寄せていく以外に、現実的な道はないように思われる。偶然を味方につけられるかどうかも小さくない要因になるだろう。

 そしていずれにしても先制点は必須。アンフィールドで3-0になったら、もはや勝ち目はほとんどないと考えるべきだ。ファーストレグでの戦いぶりを踏まえれば、その先制点を奪うための戦術的な選択は自ずと定まってくるように思われる。

 守備の局面では、最終ラインで3バックが敵の3トップと3対3の数的均衡になることを敢えて受け容れ、前線からアグレッシブにマンツーマンのハイプレスを仕掛ける。その狙いは、リヴァプールのビルドアップを分断すること以上に、相手のミスを誘って敵陣でボールを奪い、素早く逆襲を仕掛けてゴールを奪うことにある。これは、攻撃時に敵陣でボールを失った時も同様。簡単にリトリートせず即時奪回を狙ってゲーゲンプレッシングを仕掛け、相手に簡単なポゼッション確立を許さない。これを90分を通して続けるのは不可能だが、少なくとも先制点を奪うまでその手を緩めるべきではないだろう。

 攻撃の局面では、ファーストレグでそうしたように、自陣からのビルドアップで相手のプレスを誘った上で、そのプレスをかわして背後にボールを運び、一気にゴールに迫ることを第一の狙いとしたい。ファーストレグで作り出した危険な状況の多くは、後方からのビルドアップで一旦中央ルートから中盤に持ち出したところで左サイドのペリシッチに展開し、そのペリシッチがアレクサンダー・アーノルドとのマッチアップで優位に立って裏に抜け出すという形から生まれていた。実質的には、これが唯一の突破口だったと言っても過言ではない。

 インテルのビルドアップは、シュクリニアル、ビダル、ドゥムフリースという右サイドのチェーンと比べて、バストーニ、チャルハノール、ペリシッチという左サイドのチェーンの方が明らかにクオリティが高い。下がってきたアンカーのブロゾヴィッチと入れ替わる形でバストーニがポジションを上げ、ペリシッチと共にアレクサンダー・アーノルドに対して2対1の数的優位を作れれば、それによってCBやインサイドハーフを外に釣り出し、そのスペースにチャルハノールや2トップが入り込んでパスを引き出すという展開に持ち込むことができる。

セットプレーも大きなカギに

inter4(C)Getty Images

 敵陣でのボール奪取からの速攻、ビルドアップで左サイドのペリシッチを効果的に使っての崩しという2つの形に加えて、もうひとつインテルの武器となり得るのはセットプレーだ。コーナーキックやサイドからのFKをめぐる空中戦に競り勝ってのフィニッシュ、あるいは好位置からの直接FKをチャルハノールが決めるというのも、期待できる得点の形だ。

 試合展開としては、前半の半ばあたりまでに先制点を挙げて主導権を握り、そこで攻め手を緩めずに少なくともリードを保って前半を終えることができればかなり上出来。もし2-0になるのなら、前半よりもむしろ後半に入ってからの方が、相手にハーフタイムでの修正や切り替えを許さない分ベターかもしれない。

 しかし、すべてが嘘のように上手く運んで2-0(や3-1)で試合終盤にこぎ着けることができたとしても、本当の難関はそこからだ。CLでもプレミアリーグでもタイトルを勝ち取ってきた経験値と成熟度を持つリヴァプールに対し、インテルはビダル、ペリシッチを除き、チームの大半がCL決勝トーナメントの舞台すらこれが初体験。こうした修羅場を乗り切るメンタリティ、ゲームマネジメント能力では明らかに相手が上だ。アンフィールドの圧力の下で、冷静さ、明晰さを最後まで保ち続けること自体、インテルにとっては至難の業だろう。

 さらに言えば、ファーストレグでもそうだったように、試合終盤の流れを左右する戦力的な厚みという点でも、リヴァプールははっきりとインテルを上回っている。インテルのベンチには、途中交代で流れを変えたり守り切ったりするための戦力が欠けている。スタメンの顔ぶれがファーストレグと同じと仮定しても、途中出場で投入する駒はFWサンチェス、FWコレアくらい。ベンチからフィルミーノが出てきて先制ゴールを決め、ヘンダーソンとナビ・ケイタが途中出場で運動量とインテンシティを最後まで保証するリヴァプールとは選手層の厚みが違う。

 つまり、たとえ2-0で終盤を迎えたとしても、そこからさらに1点を奪ってジャイアントキリングを完遂するのは、ほとんど奇跡に近いということ。2試合合計2-2や3-3で延長戦に入れば、上で触れたベンチの戦力を含む総力戦でインテルがさらなる劣勢に立たされることは避けられない。PK戦にたどり着くことすら難しいだろう。それよりはむしろ、90分で3-0という展開の方が、同じ奇跡でもまだ可能性は多少なりとも高いような気がする。敵陣からのボール奪取からの速攻で1点、セットプレーで1点、そして偶然も味方につけたサプライズでもう1点――。もし本当にそんなことが起これば、42回中わずか2度しか起こらなかったCL史上たぐい稀な大逆転劇として、長く記憶されることは間違いない。

▶欧州CLはWOWOWが独占ライブ配信!初回無料トライアル加入はここから

欧州CL|関連情報

広告
0