“ドイツの雄”は昨シーズン、チャンピオンズリーグベスト4まで駒を進めたが、今季もそれを達成できるかは分からない。
夏は移籍のシーズンだ。今夏も多くの選手に関して移籍の噂が出ては消え、どこのクラブも騒がしい日々を過ごしている。
バイエルンの英語版公式サイトは、Twitter上では最大の規模で、更新頻度は非常に高い。しかし、他クラブより一歩抜きんでようとする願望はあっても、今夏移籍情報を更新する機会には恵まれていない。
ここまで3名の新加入選手が発表されたが、そのいずれもすでに昨シーズンから移籍が決定していた選手たちである。
レオン・ゴレツカは1月にシャルケと合意に達し、セルジュ・ニャブリはホッフェンハイムからのレンタルバック。一番のビッグネームは、現役の選手ではなく、クラブOBであるニコ・コバチが新監督として就任したことだろう。偉大な前監督ユップ・ハインケスの後任として迎え入れられた。
■W杯は苦難のときに

だが、控えめな補強に終わった2018年の夏は、バイエルンにとっては一刻も早く忘れたいときの一つだ。多くがバイエルンの選手で構成されたドイツ代表は、W杯で無残にも打ちのめされた。そして、9番を背負うロベルト・レヴァントフスキは、ポーランド代表のエースでもあるが、無得点でロシアを後にしている。
スペイン代表のチアゴはロシアの地でわずかしか出場せず、世界王者となったフランス代表MFコランタン・トリッソにしても、2試合で17分しか出場していない。
さらに言えば、多くのバイエルンに所属する選手がW杯に参加してもいない。
ラフィーニャ、キングスレイ・コマン、レナト・サンチェス、そしてハビ・マルティネスは代表に選出されなかった。ダビド・アラバは母国代表チームがW杯予選で敗退し、サンドロ・ヴァーグナーはW杯メンバーから落選した。後に代表引退も発表している。
フランク・リベリ、アリエン・ロッベンにしても、すでに代表キャリアを終えている。
■騒がしい夏が意味すること


こういったネガティブな状況以外のトピックでも、バイエルンは7月と8月の新聞の見出しを賑わせていた。しかし、それらの文字がバイエルンに何かをもたらしたわけではない。
ジェローム・ボアテングの実現しそうにない移籍希望、心変わりしたレヴァンドフスキの残留。アルトゥーロ・ビダルはバルセロナに行き、セバスティアン・ルディはコバチ監督に余剰戦力とみなされた。
一方で、来夏には悲願のビッグイヤー獲得のため、パウロ・ディバラやアントワーヌ・グリーズマンといったスーパースター獲得に乗り出すとの噂も流れた。ただ、今夏の消極的な動きから、世界を代表するような選手を引き入れるとは想像しがたい。
■連覇は確実もCLは…
Gettyもちろん、それでもバイエルンの7連覇は現実的な線だ。ライバルであるドルトムントは、ブンデスリーガで経験豊富なリュシアン・ファーヴルを招へいしたが、1年目でバイエルンの優勝を阻害することは難しい。ただし、成功の味を知り尽くすファンは、ハインケスの下で達成した2012-13シーズンの3冠を毎年成し遂げることを要求している。
無論言うまでもなく、バイエルンにとって3冠は最大の目標である。同時に最も難しいテーマであると、コバチ監督は説明する。
「世間はすぐに“トレブル”のことを出すが、まず私は歴史上一体どれほどのチームがそれを成し遂げたか調べたい。世間は少々せっかちだと思う。みんなにも調べてみてほしい、私はすでにした。もし調べ終わったら、私と同じことを言うだろう、“信じられないほど、難しいな”と」
ゴレツカとニャブリの加入はシャルケとホッフェンハイムの弱体化につながり、ブンデスリーガ開幕前に行われたドイツ・スーパーカップでフランクフルト相手に何一つ苦戦することはなかった(5-0)。しかし、国外の強豪と戦うには心許ないのはわかりきったことだ。クリスティアーノ・ロナウドが加入したユヴェントスや、昨季王者のレアル・マドリー。マンチェスター・シティ、バルセロナ、リヴァプールも忘れてはいけない。
昨季、すでにバイエルンを上回る強豪クラブは今夏も派手な補強を続けている。だからこそ、ヨーロッパ最高の称号を手にするのは簡単なことではない。にもかかわらず、強化を先送りにした挙句、バイエルンはすべきことを何もしていない。
メディア戦略チームは、新加入選手を祝うプロモーション・ビデオを作るチャンスすら与えられなかった。恐らく今は、来年4月に発表する声明の台本の準備をしているだろう。そのときはバイエルンがCL準決勝で敗退しているだろうときだ。
文=ロナン・マーフィー/Ronan Murphy
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