欧州の日本人コーチが語る…プレミアリーグで見てほしいポイントとは?【林舞輝氏が見る欧州リーグvol.1】

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指導者養成の名門・ポルト大学大学院で学ぶ23歳のサッカーコーチ・林舞輝氏。欧州サッカーの第一線で学んでいる同氏が語る各国欧州リーグの見るべき点、日本に成長の余地が残されている部分とはどこにあるのだろうか?

ついに欧州サッカーのシーズンが幕を開けた。日本のサッカーファンにとって熱い週末が続く。

『Goal』では、ポルト大学大学院でサッカー指導者として学び、実際にポルトガル1部リーグ、ボアヴィスタFC・U-22でコーチを務める林舞輝氏に独占インタビューを実施。かの有名なジョゼ・モウリーニョ監督も講師を務める養成講座も受講する、“プロ”の眼から見て、各国リーグの魅力、日本と比較して興味深いポイントを語ってもらった。

第1弾はプレミアリーグ。Jリーグとの最大の違い、優勝予想、イングランド初挑戦となる武藤嘉紀など、様々な話題に言及。「プレミアは話すのが一番難しいですね」と笑顔を見せながら、語り始めてくれた。

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■プレミアリーグで見るべきはパワープレー

僕が日本に帰って来てJリーグの試合を見て思ったことは、攻撃も守備もパワープレーに欧州とは違いを感じたということです。

パワープレーに対して、日本代表はどうしても後手に回ってしまいます。結局、ワールドカップのような大きな大会でヨーロッパのチームと対戦すると、終盤に(マルアン)フェライニを投入され、(ロメル)ルカクのような大柄な選手とも競り合わなければならないシーンを多く作られます。それに耐える力がなかなか…。その理由として、Jリーグにパワープレーをうまくできるチームがないので、耐性が作られないということが挙げられるのではないでしょうか。

ロシア・ワールドカップではVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)が出てきましたよね。その影響で、セットプレーがより大きな得点源になりました(W杯総得点の43%がセットプレーから)。ちょっと引っ張るとファウルになってPKや危険な位置でのFKを与えてしまいます。だからこそ、パワープレーも有効な戦術になります。日本にもパワープレーの質を高めてもらって、防ぐ側のレベルも上げてもらえると、W杯に行った時に戸惑いがなくなると思うんですよね。

一方で、プレミアリーグはJリーグとは全く異なります。少し極端な言い方になりますが、“サッカー”をするのは75分までのチームが非常に多いです。残りの15分は本当に違うスポーツのようですよ。

一連の流れを把握したうえで、最後の15分のパワープレーを見るのは非常に面白いです。パワープレーをどういうふうにやるのか、という部分ですね。パワープレーというのはロングボールを蹴って、競り合う選手が直接ゴールに入れるわけではなくて、そこからセカンドボールを拾うことから始まることも多いですよね。セカンドボールを拾うために、誰がどういうポジションを取るかとか、そういった部分を中心に見ていくと、良い勉強になりますね。

■見るべき選手は?

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フェライニなどパワープレーで上がってくる選手だけを見てもいいかなと思います。その選手がどういうポジショニングを取っているか、どういう駆け引きをしているか、どういう競り合い方をしているか、というのを見ると面白いんじゃないかなと。

競り合いの前段階とか、そのフェライニの周りの選手はどういうポジショニングを取っているかとか、どういう走り込み方をしているか、その選手自身が競り勝つためにどういう工夫をしているか、ですよね。フェライニは背も高いですが(身長194cm)、手の使い方や体の広げ方がうまく、落下地点を予測するのも早いんです。だからこそ、ゴールシーンを見るとわかるのですが、ヘディングシュートでもそれほどハイジャンプを必要としていません。そういった工夫が隠れています。

工夫次第で空中戦は勝てるんです。それほど上背のない大迫(勇也)選手もワールドカップで勝っていますし、Jリーグでプレーする昌子(源)選手もどこのチーム相手にもヘディング勝っていましたよね。フェライニだけでなく、プレミアリーグの中でも空中戦に強い選手たちの工夫を見るのは面白いかなと思います。

また、先程も言いましたが、パワープレーでセカンドボールを拾う選手の動きも注目ですね。例えば、同じくマンチェスター・ユナイテッドのジェシー・リンガード。スピードもあり、シュートも上手い選手ですが、それだけでモウリーニョに気に入られ、イングランド代表でスタメンになることはできません。彼の動きを見ていると、精力的に動き続け、セカンドボールを拾ったり、味方にスペースを提供したりしています。そういった動きも注目してほしいですね。

■プレミア優勝予想は…

Liverpool

優勝予想はリヴァプールです。

第一に、メンバーが揃っています。それに、リヴァプールのサッカーって、まずは走ってプレスをかけて戦うことですよね。そして、前線の選手の個とスピードという大きな武器があります。ですから、適応に多くの時間がかかるわけではないと思うんです。新加入の選手も、きちんと強い意志とメンタルとフィジカルがある選手を取ってきた(笑)。一朝一夕ではできないような緻密なサッカーではないと思いますし、チームのキャラクターも明確なので、溶け込みやすいはずです。その点で大きな違いがありますよね。

ブラジル代表の正守護神であるGKアリソンとか良い選手も獲得して、ウィークポイントは埋められました。唯一、センターバックはもう一人欲しかったですね。(ビルヒル)ファン・ダイクと(ジョエル)マティプともう一人、頼れるセンターバックを補強できれば、なお良かったと思います。

また、他のチームと大きく異なるのは、ワールドカップで最後まで残っている選手がいないこと。これはすごく大きいです。最も大会を長く戦った選手も、準決勝までは進んでいないですよね。アリソンはキーパーなので、フィジカル的な疲労度が小さいですし、(モハメド)サラーも(サディオ)マネもグループリーグで敗退しています。(ナビ)ケイタは出場していなくて、左右両サイドバックもともに出場していない。唯一、(デヤン)ロブレンはクロアチア代表なので、決勝まで行きましたけど、いてもいなくても使わない方がいいと思っています。だから、あまり関係ないですよね(笑)。

■ニューカッスル加入の武藤に立ちはだかる問題は?

2018-08-19 Muto Yoshinori Newcastle United

タイプ的には、ニューカッスルは岡崎慎司選手のイメージで武藤嘉紀選手を連れてきたんだと思います。エースというより、あくまでも「チームプレイヤー」の一人ということですね。

よく走って、守備もして、体も張って、という岡崎選手のイメージがニューカッスルにはあると思うのですが、そういった点ではまだ岡崎選手に分があると思いますね。ただ、その差はニューカッスルに入ったことで埋められるかもしれないですね。フィジカルトレーニングなど、プレミアリーグは他国より力を入れているので、期待できると思います。岡崎選手もプレミアに行き、選手として一皮むけたと思うので、武藤選手にもそういう覚醒が起きれば、日本代表にとっても良いですよね。

ただ、生活面では少し大変だと思います。ニューカッスルは何にもないですし、ジョーディ(ニューカッスル出身の人々)はきつい訛りの英語を話します。ニューカッスルの人がしゃべると下に字幕が出てくるくらいで…(笑)。それが武藤選手にとって障害になるかもしれませんね。それでも、海外で戦う同じ日本人として活躍を期待したいです。

インタビュー・文=Goal編集部

【プロフィール】

林 舞輝 Maiki Hayashi

1994年12月11日生まれ、23歳。イギリスの大学でスポーツ科学を専攻。在学中にチャールトンのアカデミー(U-10)とスクールでコーチ。2017年よりポルト大学スポーツ学部大学院に進学。同時にポルトガル1部ボアヴィスタのBチーム(U-22)のアシスタントコーチを務め、主に対戦相手の分析・対策を担当。モウリーニョが責任者・講師を務めるリスボン大学とポルトガルサッカー協会主催の指導者養成コースに合格。

Twitterアカウントは@Hayashi_BFC

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