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一度はヨーロッパから離れた。戻ってきたのは31歳となった2018年。それほど大きな期待をかけられていなかったが、周囲の評価を覆し続けている。
ジェルヴィーニョは2016年、3シーズンを過ごしたローマを後にし、中国スーパーリーグの河北華夏へ。この時点で多くの人々は、「ジェルヴィーニョのキャリアは終わりを告げる」、そう考えた。しかし、中国で3季を過ごし、イタリアの舞台へと戻ってくると、皆はすぐにジェルヴィーニョを思い出すことになったのだ。前半戦を終えてここまで5得点。11月にはセリエAの月間最優秀選手にも輝き、まだまだ健在であることを示し続けている。
そんなジェルヴィーニョが『Goal』の独占インタビューに応じ、ここまでの戦いぶり、そしてなぜパルマを選んだのか、といったことについて語ってくれた。
■「終わった選手」から月間最優秀選手に
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――11月のセリエA月間最優秀選手に選出されました。この賞が意味するものは何でしょう？
個人賞を受賞するというのはいつだって素晴らしいことだね。それにいつも簡単に受賞できるようなものではない。だから幸せに思うよ。この仕事に多くを捧げてきた結果だからね。僕はこのままで、期待に応えられるように取り組み続けるよ。これはリベンジじゃない。でも僕のレベルは常に変わらないということを示したいんだ。
――中国からイタリアへ復帰したとき、「もう終わった選手」という声もありました。それにどう対応してきたのでしょう？
正直に言って、何が語られていたか見ていないんだ。自分のパフォーマンスに集中し続けてきた。一番大切なのはピッチ上での出来事で、僕に言わせればそれこそが最良の回答になると思う。自分を信じる人間に理由をくれるのはピッチ上でのことだからね。
――いずれにせよ、移籍前も自分はセリエAで再びプレーできる力があると確信していたんですね。
僕は自分の能力に疑いを持ったことはないよ。自分自身を信じているし、そのクオリティを知っているからね。チームと一緒に何ができるかわかっている。それこそが最も大切なことだ。
――中国を離れ、再びヨーロッパに戻るという選択は意外なものでした。なぜこの選択をしたのですか？
戻ってくるべき時が来たんだ、僕はそう思っている。2年半を中国で過ごしたけど、もっとプレーする喜びを感じたい、もっとこの雰囲気の中でプレーしたいって思ったんだ。カルチョの雰囲気が大好きなんだ。それに僕はまだここでやるべきことがある。この先どれくらいかはわからないけど、あと数年はこのレベルでプレーしたいよ。
■なぜパルマを選んだのか？
――では、中国での経験ではどんな思い出がありますか？ また中国のフットボール界についてどのように感じましたか？
中国では良い思い出ばかりさ。美しい経験だったね。多くのことを学んだし、中国サッカーは進化を続けているよ。様々な選手がいて、より発展させるチャンスがある。僕たちのような欧州での経験がある選手は仕事のひとつとして、中国サッカーに色んなことを持ち込んできた。その他のことも気に入っていたし、これからも発展していくことを願っているよ。
――詳しく聞くまでもないことですが、パルマでの給与は中国での時より低いと想像しています。つまりこれは経済的な選択ではないということですね。
これはまさにスポーツとしての選択さ。お金のために戻ってきたわけじゃない。喜びを感じること、楽しく、自由にプレーすること、そういうことが大切だったんだ。不満があったと言いたいわけじゃない。僕は元気だし、僕が必要とするすべてのものがある。パルマはイタリアでも歴史あるクラブだしね。
――パルマはどのようにあなたを誘ったのですか？
たしかにここは歴史あるクラブだけど、この挑戦は簡単ではなかったよ。パルマは長い時間、長い距離を戻ってきたんだ。つまり時間の問題じゃない。昨夏の補強は難しかったね、多額の借金があったからだ。目標はセリエA残留だよ。でも僕はこのクラブを、静かに自分自身を表現できる場所だと思っている。クラブが僕のことを信じてくれているし、クラブも僕を復活させようと、計画の最前線に置いてくれているんだ。
――あまり知られていない中国のリーグへと旅立ったあなたですが、確かにプレーを見て私たちはあなたのことをすぐに思い出すことができました。
だからこそ僕はパルマを選んだんだ。彼らは僕がASローマでも通用すると思っていたみたいで、チームをけん引できると信じていたんだ。僕にしてみれば、同じことをローマでやるのは難しいよ。でも経験をもとに何かをもたらすことについては自信があった。この仕事はまだ終わっていない。シーズン終了時もパルマにいられたら、成功したと言えるんじゃないかな。
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――個人的な視点ですが、あなたは以前よりもチームの主軸としてのプレーが増えたように思います。どのようにしてプレースタイルを進化させたのでしょうか？
どのチームも固有のプレーがある。経験もまたプレーによって得られるものだね。たしかに最近僕はチームの軸となるようなプレーを心掛けているんだ。コーチはもっとゴール前にいるように、自分のターンになったときにもっと危険な存在になれるようにと僕に期待している。彼が全力を尽くしてくれているからこそ、僕は自由に動いて、自分が目指すプレーができているんだ。
――セリエAではここまで5ゴールを決めています。将来の目標は決めていますか？
シーズン終了後に見るゴール数は、重要ではないよ。もし3,4アシストした一方で1,2ゴールしか決められなくても、僕は幸せだよ。僕の目標はパルマができるだけ多くの勝ち点を得ることだ。チームは常に個人より重要なんだよ。
――パルマのようなクラブは長期的にセリエAで最前線に立てると思いますか？
現時点では難しいね。まずここでは大仕事があって、数年セリエAにとどまり続ける必要がある。僕はこのプロジェクトの一員としてここにいるわけだから、ぜひ達成したいね。セリエAには多くのビッグクラブがある。ここでの戦いは難しく、また時間が必要だろう。
――現時点ではユヴェントスが独走しています。シーズンが終わるころ、彼らがタイトルを取りこぼすことはあるでしょうか。
ユヴェントスは移籍ウィンドウで一人か二人の選手を獲得しただけで、継続性がある。リーダーや指揮官はそのままだ。僕たちにはないような結束力がある。たとえばローマを見てみなよ、多くの新加入選手がいるよね。そういった場合、彼らの適応には時間がかかるし、クラブには問題が起きがちだ。ユーヴェはそういった問題とは無縁なんだ。
■ドログバ以上の特別な選手は？
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――2019年にはアフリカ・ネイションズカップ（CAN）があります。この大会でプレーする気持ちはありますか？ それとも代表からは退くつもりでしょうか？
まだだよ（笑）。まだ代表引退を考えてはいないんだ。新しいクラブに慣れるために時間が必要だった。まずはパルマでの適応を優先したんだ。僕自身はまだ代表チームでプレーできると考えている。いつだってユニフォームを着る時は誇りを感じているしね。僕にとってコートジボワール代表としてプレーすることは本当に重要なことなんだ。代表チームがCAN本戦進出を決めて嬉しいよ。良い仕事ができるといいね。
――最近、コートジボワールの英雄ディディエ・ドログバが引退しました。彼はフットボールの世界にどんな遺産を残したでしょうか？
ディディエは独自のプレースタイルを持っていた。とてもユニークだったよ。彼はフランスとイングランドで素晴らしい印象を残したよね。コートジボワールではそれについて話すことはなかった。彼は僕たちに多くをもたらしてくれた存在だった。多くの若者にとってのお手本だったんだ。彼が僕たちの国のフットボールに残してくれたことが嬉しかったよ。彼が多くの大会で代表を導いてくれたことも本当に幸せだった。ヨーロッパ、アフリカだけでなく世界中のフットボールファンが彼の引退を寂しがるだろうね。彼のキャリアには敬意を払いたいんだ。
――あなたの中の“レジェンドランキング”で、ドログバはどこに入るのでしょう？
多くの偉大な選手たちと共にプレーするチャンスがあった。彼はその中でも上位にいるよ。でも僕にとってのナンバーワンはフランチェスコ・トッティだ。彼は本当に特別な選手だった。誰よりも際立っていたよ。彼のことを理解するには共に過ごす必要があるね。僕に言わせれば、彼こそがレジェンドだよ。
――ヤヤ・トゥーレも代表引退を決め、今後はどんどん若いチームになります。これまで同様のパフォーマンスを披露できるでしょうか？
コートジボワールがいつまでも彼らのような美しい世代の選手たちを揃えられるとは思わないよ。だって彼らは、僕に言わせれば“黄金世代”だ。もう一度彼らのような素晴らしいチームが築ければ、最高だよね。それは奇跡ではないだろうし、今だって素晴らしい若手が出てきているけど、すぐにかなうものだとは思えないね。彼らが受け継いでいって、この国のカラーを守ることの大切さに気付いてくれたらいいね。
――あなたの国のフットボールにはフォンシーニョという希望がいますよね。あなたの実の弟ですが、あなたと似たような道を歩みつつあります。彼は新たなジェルヴィーニョとなるでしょうか？
ジェルヴィーニョは世界に一人だけさ（笑）。それに彼は真似することも、彼自身のスタイルを進むこともできる。時々考えすぎていることもあるから、僕はいくつかアドバイスするんだ。自分のスタイルに集中するようにってね。もし兄がいるなら、多少はその真似をしたがるものなんだ、普通のことだ。いま彼はラッキーなことに、周りにアドバイスをくれる人たちがいる、それは貴重なことなんだ。
■キャリア最高の瞬間は…
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――またまだ引退は遠いと言いますが、これまでのキャリアを振り返ると何を思い返しますか？
僕は自分が過ごしたすべてを誇りに思うし、過ごしたすべての国、育ててくれたクラブも誇りに思っているんだ。どこでプレーしていても、キープレイヤーの一人として過ごすことができた。僕は常に何かをもたらせる存在だった。これまでを振り返って、自分のキャリアを心から幸せに思うんだ。まだ終わりじゃないけどね。だからいま僕は静かにいられるんだ。僕は偉大な選手やその他のことから、多くのことを学んできた。神様のおかげだよ。
――たとえば、アーセナルでプレーしたことはあなたにとって大きな瞬間でした。この夢がかなった時、どんな気持ちでしたか？
多くの選手がきっとマンチェスターやアーセナルでプレーしたいと言うだろう。僕の夢はアーセナルでプレーしすること、そしてそれがかなった。クラブに到着した時、“ワオ、ついに来たんだな”って思ったよ。どのクラブでも得点を挙げてきたけど、アーセナルからの電話を切ったときの満足感といったら、きっと想像できないだろうね。
――なぜアーセナルを夢見ていたんですか？
アーセナルは歴史あるクラブだ。そして多くの若手の夢のクラブなんだ。クラブそのもののスタイル、そしてアーセン・ヴェンゲルがイングランド全土にもたらしたものもね。見ていた選手は一人じゃないよ、ティエリ・アンリ、パトリック・ヴィエラ、他にもたくさんさ。
――それから時は経ち、ヴェンゲルがクラブを去りました。彼についてはどんな思い出がありますか？
彼は僕がキャリアの中で出会った人の中でも、最高の紳士の一人だね。たくさんのことを教えてくれた。心から尊敬する一人だ。僕の夢を実現させてくれた人だし、指揮官としての全てを僕に示してくれた。彼が今日のアーセナルを作ったんだ。
――もう一人、いまリーグ・アンにいるフランス人指揮官もあなたにとっては大切な監督ですよね？リュディ・ガルシアです。あなたがローマを去ったのは、彼がクラブを離れ、ルチアーノ・スパレッティがやってきたからなのでは？
その通りだ。彼が去ったとき、自分自身の移籍を予感したよ。ローマに行けたのは彼のおかげなんだ。彼が僕の移籍を後押ししてくれた。僕は彼が獲得を希望した唯一の選手だったんだ。彼なしでは同じようにはいかなかった。彼もまた多くを僕にくれたよ。彼が去ったとき、ちょうど中国から打診が来ていた。だから彼と同じタイミングでクラブを離れることを選んだんだ。
――リュディ・ガルシアとの関係はどのようなものだったのでしょう？
僕は3つのクラブ（ル・マン、リール、ローマ）で彼と共に過ごしたんだ。僕らは互いをよく知っていた。強い信頼関係があるんだ、仕事中でも、ピッチの外でもね。父と息子みたいな関係なんだ。家族同然さ。
――現在はマルセイユを率いています。彼から誘いはあったのですか？
彼がマルセイユに到着してすぐにその話は来たよ。でもその時僕は中国に行ってまだ6か月しか経っていなかった。だからそのタイミングで彼のクラブに加入することは不可能だっただろう。僕もそこで中国を離れるのは正しいとは思えなかったしね。いまも彼が僕を欲してくれているか…それは知らないよ（笑）。
――いつかフランスでジェルヴィーニョを見ることは、あり得ますか？
僕はよくフランスに戻っているよ、家族が住んでいるからね（笑）。
――リーグ・アン復帰の可能性は？
わからないよ。フットボールの世界では何が起こるかわからない。だから僕はイタリアに帰ってきた。でもよくフランスにも帰ってる。僕の家はいまもリールにあるし、家族もそこに住んでるんだ。リールはフランスにおける僕の心のクラブだよ。いまも北部にいる、リールの少年なんだ。
インタビュー・文＝ベンジャミン・クアレス／Benjamin Quarez
構成＝Goal編集部
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