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【原博実の超現場日記2018/第11回】おめでとう!湘南ベルマーレ。チーム一丸、涙の初優勝/ルヴァンカップ決勝

■湘南が見せた怒涛の運動量と集中力

2018年10月27日、埼玉スタジアム2002。予想されていた雨が嘘のよう。キックオフ時には晴れ。きっとみなさんの思いが通じたんだと思う。

湘南ベルマーレのゴール裏。

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そして横浜F・マリノスのゴール裏。

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やはりルヴァンカップ決勝の舞台は特別だ。

「打ち合いになる」。そう予想した。まずはハイライトをどうぞ。

キックオフから積極的な姿勢を見せたのは湘南だ。前線からプレスをかけ、最初のプレーでシュートまで持っていった。そのプレーで湘南の選手たちは「いける!」と感じたはず。36分、杉岡大暉の豪快なシュートがゴールネットを揺らす。勢いそのままに湘南が先制した。

湘南はリーグ戦、リーグカップ戦のタイトルがまだない。緊張から硬くなる。チームとしての経験値は横浜FMのほうが高い。そう思っていた。しかし、激しい湘南のプレスを受けた横浜FMは、いつものようにボールを回せない。リズムが出ない。

今年のニューヒーロー賞を受賞した遠藤渓太が負傷でこの試合はベンチ外。ここまで遠藤を含めた左サイドのMF天野純、SB山中亮輔の3人が好調だっただけに、彼の離脱は悔やまれる。遠藤の代わりに出場したのはFWユン・イルロク。しかし、前半ほとんど絡めなかった。

埼玉スタジアム2002の芝は長めなため、日産スタジアムやニッパツ三ツ沢球技場に比べてパススピードが上がらない。それもリズムが出なかった一つの理由だろう。しかしそれ以上に湘南のプレス、運動量が落ちない。前半は完全に湘南のペースで終わった。

後半に入ると少しずつ横浜FMもリズムを作り出す。

ユン・イルロクに代わって出場したイッペイ・シノヅカのドリブルによる推進力。78分、伊藤翔が投入されると、ウーゴ・ヴィエイラと2トップを組む。後半のチャンスは横浜FMのほうが多かった。何度も決定機を迎える横浜FM。

この中で79分、イッペイ・シノヅカのドリブルに対する岡本拓也のプレーは際どかった。PKかどうかはJリーグジャッジ「リプレイ」(※)でも取り上げたい。スタンドからは、判定が難しいプレーに見えた

(※)2018シーズンJリーグの気になったあのジャッジをJリーグ副理事長の原博実、JFAトップレフェリーグループシニアマネジャーの上川徹が詳しく、よりわかりやすく解説する動画

湘南は最後まで運動量と集中力が途切れない。まるでドラマの脚本でそう決められているかのようだ。横浜FMの怒涛の攻撃をチーム全員で食い止め、アディショナルタイムの4分が過ぎた。そして――。

湘南優勝!

選手、コーチングスタッフ、チームスタッフ、サポーターがまさに一丸となった勝利だった。

表彰式で、選手たちを後ろ側から撮影。

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■30人を超える選手を使いながらの優勝

グループステージから簡単な道のりではなかった。

グループステージ全6節のうち4節を終えて1勝1分2敗。特に4月18日に行われた第4節アウェイのサガン鳥栖戦は、先発メンバーにプロA契約選手を4名しか起用せず、Jリーグ規約第 42 条に定められている「最強のチームによる試合参加」の補足基準を満たしていなかった。この試合湘南は21歳以下の選手3名を先発に起用していた。

これは曺貴裁監督の「選手たちを競争させながら、強くする」という姿勢の表れでもあった。決勝で大活躍したDF坂圭祐は、シーズン序盤リーグ戦での出場機会を得られなかったが、この試合を含めたルヴァンカップで結果を残し、リーグ戦でもスタメンを勝ち取っていった選手の1人だ。曺貴裁監督はルヴァンカップをうまく活用してチーム力を上げてきた。

グループステージ第5節のアウェイ・ヴィッセル神戸戦を4-3で勝利。最終6節のV・ファーレン長崎戦で2-0の勝利。グループステージを2位で突破した。

迎えたプレーオフステージでは、Aグループ1位のベガルタ仙台とホーム&アウェイで対戦。1勝1敗得失点差でプライムステージに進出。プライムステージでは、準々決勝でC大阪、準決勝はPK戦で柏を下した。そして迎えた決勝。30人を超える選手を使いながらの優勝となった。

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【写真提供:Jリーグ】

泣き虫の曹監督。

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熱い男。でも、少年のような純粋さがある。憎めない後輩だ。本当におめでとう!

梅崎司の笑顔。

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シーズン後半戦にきてコンディションが良くなっている。昨年までプレーしていた埼玉スタジアム2002での優勝は格別だろう。

そして決勝ゴール。見事な左足のシュートだった。市立船橋高から加入2年目、20歳の杉岡大暉。

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昨年の『タグ・ホイヤー ヤングガン アワード』での取材以来、気になって見ていた若手だ。さらに成長できる。

そして湘南の守護神、秋元陽太。

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プレー中の顔とはまるで別人。やっぱり湘南が似合う。秋元の存在は湘南にとって大きい。

最後に真壁潔会長と。

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「優勝トロフィー持って来てって言われてね〜」と、冷静を装いながらもうれしさを隠し切れない表情だ。クラブが苦しい時代からのいろんな思いが駆け巡っていることだろう…。

週明け30日火曜日には、延期されている明治安田生命J1リーグ第28節・ジュビロ磐田戦がヤマハスタジアムで行われる。そして11月2日の金曜日には「金J」第31節・清水エスパルス戦が控える。この勢いで湘南サッカーを続けていってほしい。

天気も晴れて、素晴らしいルヴァンカップ決勝になった。毎年思う。ルヴァンカップの決勝は本当に良い雰囲気だ。また監督がやりたくなった。

皆さん本当にありがとう。

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文=原 博実

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