■どんな時も冷静に、冷徹に

GKティボー・クルトワ(ベルギー代表/レアル・マドリー)
まずGKは、やはり今夏にレアル・マドリーに加入したばかりのティボー・クルトワを挙げないわけにはいかないでしょう。個人的に、ロシアW杯における大会NO.1のGKだったと思います。黒い手袋で、蜘蛛のように何でも止めてしまう感じに、衝撃を受けました。
ラ・リーガは2度目になりますけど、アトレティコ・マドリーにいた時から良いGKだと思っていましたし、チェルシーで様々な経験をしたことで箔がついたように思います。とにかくGKというのは、「止めることが仕事なんだ」と思わせてくれる選手ですね。ビルドアップに関わってボールをつなぐことももちろん必要ですけど、それ以上に止めることの大事さを感じさせてくれる。当たり前なことですけど、GKは失点を防いでチームを勝たせられるものなのだと、彼を見て改めて思わされました。
そんな彼がロシアW杯を経て、移籍した先がレアル・マドリーというのは非常に楽しみです。と言うのも、チャンピオンズリーグ3連覇を果たしたレアルにはコスタリカ代表のケイロル・ナバスがいるんです。これまでの試合を見ていてもナバスが非常に優秀なGKなのは間違いない。ナバスは心中穏やかではないと思いますが、それでも獲得したくなる凄さがクルトワにはあると思います。
特に彼のゴール前での振る舞いはGKとして素晴らしいですね。メンタリティと言いますか、どんな時も冷静に、冷徹に守ってくる。個人的にはシュートを止めた時に感情を表に出すGKは、人間味があって次は入りそうだなと思えることがある。だけど、クルトワの場合は、止めても「それが当たり前」のような姿勢を前面に出してくる。あれは選手にとって非常に嫌なんです。日本代表は、そんなGKからロシアW杯で2点を取ったんですからすごいなと思いますけど、それは長くなるのでまた別の話で(笑)。GKとして経験を積み、選手としてのバックボーンも分厚くなって、レアルで新しいシーズンを迎える。開幕戦のGKはナバスが担っていましたけど、今季は彼のプレーに注目したいですね。
■高い、速い、強い、うまい。“レ・ブルー”のCB陣
(C)Getty ImagesDFラファエル・ヴァラン(フランス代表/レアル・マドリー)
DFサミュエル・ユムティティ(フランス代表/バルセロナ)
次にDFは、一人と言わず、二人挙げさせてもらいました。レアルのラファエル・ヴァランと、バルセロナのサミュエル・ユムティティです。ロシアW杯でフランス代表が優勝した要因は強固なディフェンスにあったと思いますが、そのディフェンスをまとめていたのがこの二人です。
W杯に出場した彼らから感じたのは、「ビッグクラブの看板を背負って出ている」というプライドでした。クラブの“格”を考えても「ここで中途半端なプレーはできない」、そういった責任感を感じました。やはりクラブですと、ヴァランならセルヒオ・ラモス、ユムティティならジェラール・ピケと隣に重鎮がいて、自分により集中できる環境にいるわけです。だけど、代表に行くと自分がリーダーシップをとって守って勝たせないといけない。そういう責任感やプライドがバシバシ伝わってきました。
プレー面では後ろからのビルドアップや対人の強さも素晴らしいですし、大事なところでセットプレーから点も取れる。高い、速い、強い、うまい。現代的なCBと言いますか、守備だけできていればいいわけではなく、ビルドアップの起点としてパスも出せるし、技術もある。彼らを崩すのは簡単ではないですね。そう考えると、フランスの未来は明るいな(笑)。
あとはクラブでどう過ごしていくかだと思います。クラブや代表で経験を積みW杯を獲って、選手としての格、質が上がった。若くして充実した日々を過ごしている彼らが、今季どんなプレーを見せてくれるのかは興味深いですし、彼らのさらなる成長に注目してもらいたいです。
■一緒にやりたい…(笑)
(C)Getty ImagesMFセルヒオ・ブスケッツ(スペイン代表/バルセロナ)
中盤の選手は、ロシアW杯で大会MVPに輝いたクロアチア代表のルカ・モドリッチ(レアル・マドリー)や、同じくクロアチア代表のイヴァン・ラキティッチ(バルセロナ)を挙げたいところなんですが、個人的にはアンドレス・イニエスタが抜けた後のバルセロナでセルヒオ・ブスケッツにどういった変化が見られるかに注目しています。
まず今季のバルセロナは変革の年になると考えています。その理由に、バルサがバルサたらしめる選手たちがいなくなっていることが挙げられます。シャビがいなくなり、イニエスタがチームを離れたことで、ブスケッツの周りに“バルセロナのサッカー”の理解者が減ってしまった。こういった状況が訪れたことで、バルサの源流を保つには彼が今までより先頭に立ってやっていくことが求められると思います。
やはりパスワークの源になるのはブスケッツです。技術力があって、頭が非常に良く、サッカーをよく理解している。自分が同じチームなら斜め前に立っていればパスが出てくると思うし、自分が降りて行ってもうまく対処してくれると思います。本当にブスケッツと一緒にやりたいなと思いますけどね(笑)。
話を戻しますと、先ほど言った通り今季はイニエスタがいないわけですから、ブスケッツがよりリーダーシップをとらなければいけない立ち位置になる。今季は、彼とメッシが「バルセロナのサッカーはこうなんだ」と、新たに入ってきた選手たちに教えながら進んでいくシーズンになると思います。クラブとしてどうなっていくかがすごく興味深いシーズンになる気がしますし、彼がどう変化していくのかにも興味があります。彼がリーダーシップをより発揮して、さらにバージョンアップする姿を見てほしいですし、個人的にも注視したいです。
■立場は人を変える――。
(C)Getty ImagesFWアントワーヌ・グリーズマン(フランス代表/アトレティコ・マドリー)
FWは、アトレティコのアントワーヌ・グリーズマンを推したいですね。個人的にはロシアW杯でのフランス代表のMVPは、チェルシーのエンゴロ・カンテやマンチェスター・ユナイテッドのポール・ボグバではなく、グリーズマンだと思っています。
今回のW杯では献身性がすごく目立っていて、チームのためにという思いの強さを感じることができた。チームの中の立ち位置でも年齢含め自分が上の方にいることを自覚していたと思うんですよね。FWと言うよりも、どっちかというとトップ下でゲームを作ったり、時間を作る仕事をしてセットプレーでアシストしました。様々な仕事をこなすことで、一皮も二皮も剥けた感じがしました。もう少しわがままなプレーのイメージがアトレティコの時はありましたけど、立場が人を変えるんだなと思った選手の一人です。
グリーズマンの凄みは何でもできるところにあります。W杯でも泥臭い仕事と言いますか、守備のところでスイッチを入れたり、球際で戦うこともやっていました。もちろん守備だけでなく、つなぎの起点になり、フィニッシャーまでやるなど、仕事はすごく多岐にわたっていたし、その仕事の質がすごく高かった。全てやっていたと言っても過言ではないですよ。
ただ、W杯が充実した大会になったからこそ、今シーズンは少し不安なところがあるなと。「もっとタイトルを獲りたい」となると思いますけど、その入り方はすごくポイントになる。これはグリーズマンだけではないですが、W杯に出場した選手たちの使い方はポイントになると思います。長いシーズンを戦って、休む間も無くW杯を行い、ほとんど休む間も無く新たなシーズンに入る。そうするとどこかで怪我や気持ちのブレが出てくる。グリーズマンがどのような思いで新シーズンに臨むかはわかりませんが、そういったところも気にして見てみてはいかがでしょうか。
■驚異のポテンシャル
(C)Getty ImagesFWマルコ・アセンシオ(スペイン代表/レアル・マドリー)
若手で注目したい選手は、レアルのスペイン代表FWマルコ・アセンシオです。なかなか若い選手が活躍できないレアルの中で、新鋭として期待される22歳のFWです。
ロシアW杯ではいい結果を残すことができませんでしたけど、レアルでは途中から出ていい仕事をするなど、経験を積んでいました。プレッシャーに押しつぶされなければという話にはなりますが、ロナウドの穴を埋めるという意味でも飛躍の年になる可能性は高いのかなと思っています。
ただ、比較対象が今夏に退団したクリスティアーノ・ロナウドになってしまいますから、そこは一つのポイントです。新監督のジュレン・ロペテギは代表で一緒にやっていた監督ですし、やりやすさがあると思います。だからこそ、あとは自覚でしょうか。自分がやらなければと思うと、選手は時に一気に変わる可能性がある。それがいい方向に行けば、レアルとしては新しいニュースターが出てくるわけです。ほとんど変化のないチームですから、むしろ彼の成長が、今シーズンのレアルがどこまで高いところに行けるかを暗示する立ち位置になるのではないかなと思っています。
彼の左足は柔も剛も兼ね備えていますし、パンチ力があって思い切りもある。あとは若さ故かもしれないですけど、ちょっとした波をどう抑えていくか。22歳でこれだけやれている時点で十分に称賛に値するんですけど、ここを乗り越えられれば一気にスターダムに上がれるポテンシャルを持っていると思いますね。
■ネイマール似の超逸材

FWヴィニシウス・ジュニオール(U-20ブラジル代表/レアル・マドリー)
それともう1人、今季からレアルに加入したヴィニシウス・ジュニオールも注目してほしいです。ネイマールに似ているというか、ブラジル人ぽさはタッチを見ていても感じる。ちょっと線は細いけど、まだ18歳。ICCで少し見ましたけど、すごく面白そうな選手だなと。カットインしてからのアイディア、一瞬の切れは、やっぱりネイマールに似ているところがある。彼がレアルというビッグクラブ独特のプレッシャーがある中で、どれだけやれるかというのは楽しみです。皆さんも、よかったら注目してみてください。
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