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アドリアン・ラビオは、一部ではどうやら『問題児』のレッテルを貼られているらしい。
■代表、クラブで難しい状況に
Gettyフランス代表では、昨夏、W杯ロシア大会に参戦する23人の正メンバーから漏れ、けが人が出た場合などに追加招集される『予備メンバー』に指名されると、「ディディエ・デシャン監督は、所属クラブで実質的な活躍をしていることを選考基準とすると言いながら、それを満たしている自分を評価しないのは納得がいかない」と、予備メンバー入りを辞退した。
そして所属するパリ・サンジェルマンでも、現在「戦力外」の扱いになっている。
今シーズン末に契約が切れるのに、クラブとの間で延長の契約交渉が決裂したため、クラブ側が制裁措置として、トーマス・トゥヘル監督に彼をチームから離脱させるよう要請したためだ。
フランス代表での件については、まあ、ずいぶん思い切ったことをしたもんだと驚いた。代表監督を批判した上に、補欠組辞退とは…。
デシャン監督は「代表チームとは、選ばれる23人だけでなくみんなでサポートして作り上げるものだ、という精神を彼は理解できていない」とラビオの態度を非難し、大会が終わった今も彼を呼んでいない。
■問題はラビオではなくPSG?
Getty Imagesただ、クラブとの契約問題については、17歳でプロデビューし、これまで7年間(途中トゥールーズに半年間レンタル)PSGでプレーしてきたのだから、年齢、タイミングからいってもさらなる飛躍を求めて違うクラブへの移籍を願うのは自然なこと。交渉の内容は不明だが、ラビオが「わがまま」なわけではないだろう。
むしろこの件については、PSGの対応のまずさが指摘されている。
スポーツ・ダイレクターのアンテロ・エンリケが、「ラビオは散々クラブを翻弄した挙句、契約延長に応じなかった。この交渉は完全に決裂し、よって今後チームには合流させない」と一方的に発表して、12月中旬からラビオの名前はチームシートから消えた。
Getty Imagesしかし耐えかねて、ラビオの実母でもある彼のエージェントが口を開いたところによると、ラビオ側は昨年夏のメルカートの時点で、クラブに移籍リストに載せてくれるよう要請していた。実際にバルセロナからのオファーもあったというが、これもPSGが突っぱねたという。
昨夏の時点で明確に延長はしない、と移籍の意思を表明していたのに、交渉が長引いた末に決裂したことを「ラビオがクラブを翻弄した」と彼のせいにしてチームから外すのはおかしいと考えるのが普通である。
■PSGが留めたい理由
一方、PSGがラビオを引き止めたいのは事実だ。
戦力として必要なのはもちろんだが、外国人スター集団のPSGにとって、自クラブの育成所で育った生え抜き、しかもパリ近郊出身の正真正銘の『地元プレーヤー』であるラビオは貴重な存在なのだ。ファン、とりわけ、パリの土着のサポーターも、ラビオを息子のように応援している。
また、今でこそチアゴ・シウバやマルキーニョス、マルコ・ヴェッラッティらはフランス語で取材対応しているが、以前はフランスのクラブでありながら、フランス人記者が自国語で取材できない、という状態だったから、2017年夏にユヴェントスに移籍したブレイズ・マテュイディと並んで、ラビオも試合後のミックスゾーンでの取材対応要員を仰せつかっていた。
Getty現在、フランス人選手の代表格はキリアン・ムバッペだが、アカデミー卒業生でスタメンに定着しているラビオは、PSGが育成にも力を注ぐ、優良なフランスのクラブであるというイメージ、体面を保つ上で重要だったのだ。
さらにPSGは、ファイナンシャル・フェアプレー違反を避けるために、選手を手放す際には、莫大な移籍金を手に入れる必要がある。0円で出て行かれては、経営面でも大損失だ。
中には、育ててくれたクラブへの“置き土産”として、その後の移籍が視野にあってもあえて契約を延長し、移籍金を発生させるケースもある。
しかし今から4年前、19歳のときにも、移籍の意思がありながら、制裁措置を恐れて契約延長にサインしていたラビオにとって、今回こそは、何がなんでも自由を手に入れたい、だからみすみす自分に高額の値札をつけるような真似はしないし、クラブに義理立てしたい気持ちもすでにないのだろう。
■ラビオの素顔と移籍先候補
Gettyアドリアン・ラビオには、昨シーズン、インタビューさせてもらったことがある。どちらかというと人見知りで、取材慣れして器用にしゃべる、という感じでないところが、かえって誠実で好印象だった。胸に大きくドクロが書かれたロック小僧のような全身黒のいでたちも、クラシック音楽が似合いそうな風貌とは違っていて新鮮だった。
たまたま一番好きな選手が同じだったので、彼の名前が出ると話が盛り上がった。その選手とは、リヴァプールのレジェンド、スティーブン・ジェラードだ。そしてリヴァプールは、この冬の移籍マーケットでのラビオ争奪戦に躍り出てきた。
前々から名前の挙がっているバルセロナも依然として有力な候補の一つだが、一部の報道によれば、バルセロナへの移籍が実現したとしても入団は夏になるらしく、PSGで干された状態が続くのであれば、ラビオ側は冬のメルカートで動けるクラブにターゲットを絞るつもりだという。
ジェラードのようなミッドフィールダーになるのが夢だと語るラビオにとって、この赤のユニフォームに身を包んでアンフィールドのピッチに立つことは、きっと魅力的に違いない。

つい最近の会見で、トゥヘル監督はラビオとの関係は変わらず良好で、チームに戻す気持ちもある、と話していた。
以前からトゥヘルはプレーヤーとしてラビオを高く買っていて、今季は序盤からほぼ毎試合スタメンで起用していた。戦力外にするのも、「クラブの方針のため止むを得ず」と繰り返し強調している。
ラビオはプロ選手としてさらに成長しようと日々挑戦を続けている、23歳の伸び盛りのフットボーラーだ。
10月のマルセイユ戦のときには、試合前の軽食タイムにムバッペと一緒に数分遅刻して、スタメンから外されるというペナルティをくらったが、テレビでサッカーの試合を見ていてうっかり遅れてしまった、というのが顛末。
素行が悪いわけでも、サッカーに真剣に取り組んでいないわけでもないし、トゥヘル監督からの評価が低いわけでもない。
ルックス以上に気骨ある彼なら、周囲の雑言に惑わされず、自分の目指すところに向かって突き進んでいくことだろう。
文=小川由紀子
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