■プレミア優位は否めず
(C)Getty Imagesバイエルンとドルトムントがウェンブリーの舞台で欧州ナンバーワンをかけて戦ったのは2013年のことだった。チャンピオンズリーグ(CL)決勝でドイツクラブが直接対決をするのを見て、ドイツの時代が来ると予見した識者も少なくなかった。だがあれから5年の時が過ぎたが、決勝進出を果たしたドイツチームはそれ以来現れていない。
特に昨シーズンのドイツ勢は散々の出来だった。ホッフェンハイムはプレーオフでリヴァプールに敗れ、ドルトムントとライプツィヒはグループリーグで敗退。唯一バイエルンが準決勝まで駒を進めたが、優勝を狙えるほどの力がなかったのは否めない。それだけにドイツのサッカーファンにとって今季にかける思いは強い。
そんなブンデスリーガ勢から今季は3クラブが無事決勝トーナメント進出を果たした。リーグを見てもバイエルン一強ではなく、リュシアン・ファーヴル監督を迎え入れたドルトムントが開幕から首位をキープ。白熱した優勝争いが行われており、いい意味での緊張感がある。
とはいえ、ドルトムントはトットナム、シャルケはマンチェスター・シティ、バイエルンはリヴァプールと対戦するという抽選結果は喜べるものではない。抱える選手の質、ここ数年のCLでの戦績、指揮官の経験を鑑みても明らかで、下馬評だとどれもプレミアクラブ優勢とみられている。
■各対戦のカギは…

ブンデスリーガ3クラブに共通する点は、どこも守備に難を抱えているところだろう。バイエルンはここ数年カウンターに対する脆さを解消できていないし、シャルケはリーグで大苦戦中。唯一、ドルトムントの守備は安定し、前線からの連動した守備からカウンターはグループステージではアトレティコ・マドリー相手にも機能した(4-0で勝利)。だが、CLは決勝トーナメントに入るとレベルが一回りも二回りも上がるだけに、前線からのプレスも諸刃の剣になりうる。強力な個の力を揃え、それぞれ組織としても素晴らしい動きを見せるプレミア勢の攻撃に耐えきるだけの頑強さはまだないのが現状だ。
だからこそ攻撃でイニシアティブをどれだけ握れるかがカギになる。ファーヴル監督の下で欠かせない戦力に成長したジェイドン・サンチョと、ポルトガル代表ラファエル・ゲレイロを両翼に配備したドルトムントは、その点で大きな可能性を感じさせる。中盤の柱にアクセル・ヴィツェルとトーマス・ディレイニーが加わったことで昨年とは見違えるほどの安定感を誇っている。不振続きだったマリオ・ゲッツェも復調しており、「トットナムはここ数年安定した力を見せているし、非常に強力なチーム」と警戒しながらも、突破への自信が揺らいでいるわけではない。
ただ、今季絶好調のマルコ・ロイスが筋肉系のケガで大事な第一戦を欠場しなければならないのは大打撃だ。他にもウカシュ・ピシュチェク、ユリアン・ヴァイグル、パコ・アルカセルの3人も負傷や風邪で帯同メンバーから外れている。一方のトットナムも大エースのハリー・ケインが負傷離脱中だが、CBに負傷者続出で本職ボランチのヴァイグルが最終ラインに定着していたドルトムントの方が台所事情は明らかに苦しい。
絶好調のシティが相手となり、最も厳しい戦いとなることが予想されるシャルケは、どれだけ我慢強く守り続けることができるかがカギになる。だが、昨シーズンは強みであった秩序だった守備が、今季はいまだにベストの組み合わせを見つけることができず弱みに(リーグ戦21試合で32失点)。アーセナルやチェルシーを次々と粉砕するシティを止めることは、ただでさえ容易ではないだけに苦戦は必至だ。スペースを埋めて耐えようにも、両サイドには突破力の誇る選手が配備され、アウトサイドに気がいけばすぐにその裏にケヴィン・デ・ブライネやダビド・シルバが流れ込んでくる。2010-11シーズン以来の躍進を狙うシャルケとしては難しい挑戦となりそうだ。
■不安定なバイエルンの行末は
Gettyリーグでは2位に甘んじているバイエルンは少なからず調子を上げてきており、攻撃陣の若返りにも成功している。キングスレー・コマンとセルジュ・ニャブリの両ウィングが違いを生み出し、前線ではロベルト・レヴァンドフスキが絶対的エースとして構える。出場機会があまりなく、フラストレーションをためていたハメス・ロドリゲスがここにきて好プレーを披露しているのも嬉しいニュースだ。
しかし、長年の悩みの種であるカウンター対策が遅々として進んでいないのは気にかかるところ。リヴァプールのプレスからの素早い攻撃の餌食になる可能性は否定できない。昨シーズンのユップ・ハインケス監督は中盤における安定感を何よりも求め、ハビ・マルティネスを重用した。当時は絶大な効果を発揮したが、今季はそのマルティネスがどうにも機能していない。それは彼個人だけの問題ではなく、あまりにも簡単に中盤までボールを運ばれてしまうという構造上の問題もある。ここ最近はチアゴ・アルカンタラとレオン・ゴレツカのダブルボランチとすることで自分たちのプレーを取り戻しつつあるものの、守備面で絶対的な安定感をもたらせているとは言いがたい。攻撃から守備へのトランジションにおけるポジショニング、カバーへのコース取りなど、主に自陣での課題が多く、攻撃時の不用意なボールロストを避けるといった当たり前のことが勝利への必須条件となる。
嫌なデータはブンデス勢がリヴァプールのホーム、アンフィールドで勝利したことが過去一度もないということ。ブンデスリーガでもプレーした、マンチェスター・Cのドイツ人MFギュンドアンも「アンフィールドでプレーするのはとても難しい。非常にダイナミックで、15分間で3失点することもありうる」と認めている。
言わずもがな、ファーストレグが重要になることは間違いない。とりわけ、相手のホームに乗り込むバイエルン、ドルトムントにとってはミスの許されない、まさに大一番になる。勝てないまでも第一戦を何とか引き分け、あるいは最少得点差での負けに持ち込むことができれば、2戦目をホームで戦える効力が生まれてくるだろう。アウェーで得点できれば試合の行方に大きな影響を及ぼすこともできるし、それだけの攻撃力を彼らは秘めている。可能性を自分たちでどこまで引き上げることができるか。一瞬のほころびを互いがけん制し合う。どの試合も一瞬たりとも見逃せない戦いとなる。
文=中野吉之伴
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