■過去のデータではドイツ勢か

トッテナム対ドルトムント、リヴァプール対バイエルン、シャルケ対マンチェスター・シティ。いよいよ再開するチャンピオンズリーグのラウンド16では、イングランド・プレミアリーグとドイツ・ブンデスリーガのクラブが対戦するカードが実に3つを数える。
CL本戦での両国のクラブによる対戦は09-10シーズンから今季まで10年連続で実現しているが、決勝ラウンドで同時に3カードが行われるのは今回が史上初である。なお、その最近10シーズンの通算対戦成績は55試合でイングランド28勝、ドイツ17勝、10分けとプレミアが勝ち越しているが、ことノックアウトステージでの対戦に限ればドイツの勝ち抜けが5回に対してイングランドは2回のみ(11-12にバイエルンを破って優勝したチェルシー、10-11にシャルケを破ったマンチェスター・ユナイテッド)と、ドイツ伝統の勝負強さが際立つ。今回の3カードもおそらく激戦は必至だろう。
上述したノックアウトステージ勝ち抜け「5回」は、いずれもバイエルンの記録だ。イングランド勢にとって、バイエルンはいわば“目の上のたんこぶ”である。15-16と16-17には、ラウンド16でアーセナルが2年連続で敗れ去った(うち3試合は1-5の大敗だった!)。また13-14にはグループステージでシティの首位通過を阻み(1勝1敗)、決勝ラウンドではアーセナル、マンチェスター・Uを連破して4強入り。欧州カップ戦におけるホーム&アウェーの2レグマッチでの対イングランド勢は10勝5敗、04-05にチェルシーに敗れてからは5連勝中と、バイエルンは常にプレミア勢の壁となって立ちはだかってきた。
■リヴァプールにバイエルン・コンプレックスなし
Getty Imagesただ、今回対戦するリヴァプールは“バイエルン・コンプレックス”がないチームだ。そもそも、ともに5度の欧州制覇を誇る両名門の歴史と伝統を考えれば意外だが、このカードの実現は01年のUEFAスーパーカップ(3-2でリヴァプールが勝利)以来18年ぶりで、その前はチャンピオンズカップ時代の1980-81準決勝の一度だけ(2試合トータル1-1、アウェーゴール差でリヴァプールが勝ち抜け)と、CLでの対決は初めてなのである。
さらにリヴァプールはヨーロッパリーグも含め欧州カップ戦での対ドイツ勢3連勝中、8戦無敗(6勝2分け)と、近年は相性がすこぶるいい。最後の対戦は昨季のCLプレーオフで、ホッフェンハイムを2試合トータル6-3で撃破。その前には準優勝した15-16のELでアウクスブルクとドルトムントを破っており、とりわけアンフィールドでのセカンドレグでユルゲン・クロップ監督の古巣に奇跡の大逆転勝利を飾った準々決勝はクラブ史に残る輝かしい出来事だった。
CL本戦に限ると04-05のラウンド16でレヴァークーゼンと当たって以来だが、この時は2試合とも3-1で勝利して勝ち進み、最終的にイスタンブールでの決勝でミランに大逆転勝利を収めて優勝している。欧州カップ戦での2レグマッチではドイツ勢相手に過去16対戦で14勝2敗と無類の強さを誇っており、もちろん今回も「ドイツ勢を破って決勝進出」の絵が見えているはずで、バイエルンは強敵だが縁起は決して悪くない。
■ドイツに強いシティとスパーズのドルトムント・キラー
Getty Images同様に、シャルケと当たるシティもまた見通しは明るい。まず、イングランド勢はCLでシャルケ相手にここ5戦負けなし(3勝2分け)、ここ10試合でわずか1敗(7勝3分け)。そして今季GSでもホッフェンハイムに2戦2勝しているシティは、CL初出場だった11-12から今季までの8シーズン中7度もGSでドイツ勢と戦っているが戦績は8勝2分け4敗で、4つの黒星のうち3つはバイエルンだったことを考えると、対ドイツ王者を除けば苦手意識はまったくない。
最も読みにくいのはドルトムントと当たるトッテナムの行方か。両クラブは15-16のELラウンド16(ドルトムントが2連勝で勝ち抜け)、昨季CLグループステージ(トッテナムが2戦2勝)に続いて最近4季で3度目の対戦となるが、戦績は2勝ずつのイーブンだ。欧州カップ戦において、トッテナムの対ドイツ勢戦績は22試合で11勝3分け8敗。ドルトムントの対イングランド勢は25試合で11勝5分け9敗と過去の成績もほぼ同等で、今回も実力伯仲の戦いになりそうだ。
そんなスパーズの希望の星は、目下プレミアで絶好調のソン・フンミンか。彼はハンブルガーSV、レヴァークーゼン、トッテナムの3クラブで対ドルトムントは9戦8発。昨季の対戦でも2試合いずれもゴールを挙げており、今回もドルトムント・キラーぶりを発揮するはずだ。
■ドイツ→イングランドの潮流とプレミアの優位性

そのソン・フンミンを含め、プレミアのクラブにはブンデスリーガからステップアップした選手が少なくない。リヴァプールにはロベルト・フィルミーノ、ナビ・ケイタらがいて、シティにもケヴィン・デ・ブライネ、イルカイ・ギュンドアン、そしてシャルケとは古巣対決になるレロイ・サネがいる。
ドイツで名を上げて、より高い競争力やサラリー、ステータスを求めてイングランドへと羽ばたく彼らのようなキャリアは欧州フットボールのスタンダードだ。例外として、期待されながら出場機会を求めてシティを飛び出したジェイドン・サンチョがドルトムントでブレークしたような新しい流れもあるが、ドイツ→イングランドがスターダムのお手本であることは変わらない。
そしてスター選手の流入と同様に、プレミアで流行している現在の戦術もまた“ドイツ発”だ。「ゲーゲンプレッシング」やトランジションの高速化といったトレンドはブンデスリーガで発祥し、ユルゲン・クロップやペップ・グアルディオラの渡英によってイングランドでもスタンダードになった。彼らが率いるリヴァプールとシティに加え、ドイツでの指導歴はないもののスパーズのマウリシオ・ポチェッティーノもプレッシング戦術の信奉者であり、この3チームは今や世界的なプレスゲーム・ブームの最先端を行く存在となっている。
誤解を恐れずに言えば、世界一の放映権料に裏打ちされた潤沢な資金力を持つこれらのプレミア上位クラブは、ブンデスリーガのクラブの“アップデート版”ということになる。ドイツをはじめとした周辺他国から引き抜いてきたスター選手の質的優位性も含め、チームの戦力で言えば、リヴァプール、シティ、トッテナムは対戦するバイエルン、シャルケ、ドルトムントよりも間違いなく前を走っている。もちろん何が起こるかわからないのが勝負の世界だが、費やしているお金に比例するその優位性は揺るがない。
■プレミア1位、2位、3位はいずれも好調維持
(C)Getty Images最後に3チームの状態についても触れておくと、シティは先週の1週間でアーセナル、エヴァートン、チェルシーと強敵を“3タテ”しており、セルヒオ・アグエロがうち2試合でハットトリックと絶好調だ。
1試合消化が少ない状態でシティと同勝ち点のリヴァプールも、1月末のレスター戦(1-1)、2月4日のウェストハム戦(1-1)の連続ドローで疲労が心配されたが、直近のボーンマス戦では鮮やかに復調を印象付けて3-0の完勝。モハメド・サラー、サディオ・マネ、フィルミーノの3トップは言わずもがな、今季の好調の原動力となっているフィルジル・ファン・ダイクを中心とした堅守にも綻びは見られない。
最も心配なのはハリー・ケイン、デレ・アリが負傷中のトッテナムで、この攻撃の2枚看板はファーストレグ欠場が確実だが、それでもチームはリーグで4連勝中と勝ち続けており、ソン・フンミンが懸命に彼らの穴を埋めている。アジアカップから戻ってきて以降は3戦連続ゴール中と、とにかく彼の調子がいい。前述したようにドルトムントにも強い彼がCLでもチームのキーマンだろう。
シティ、リヴァプール、トッテナムは現在、プレミアの1位、2位、3位といずれもトップフォームだ。CLも決勝ラウンドとなれば決して簡単な試合にはならないだろうが、ドイツとの全面対決を3強そろって突破できるだけの実力と好調さは、十分にある。
文=寺沢 薫
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