ネイマールにとって最悪の悪夢?なぜ“管理の虫”トゥヘル就任が悪い知らせになるのか?

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PSG行き目前の前ボルシア・ドルトムント指揮官、だが希代の戦術家はチームの顔を管理できるだろうか?

PSG会長ナセル・アル・ケライフィ会長は全てを手に入れてきた。2011年にPSGを買収したとき、二つ大きな目標を掲げた。一つは“ネクスト・メッシ”との契約、そしてチャンピオンズリーグのタイトルだ。

フットボール界では一夜にして金で成功を買うことはできない。だがアル・ケライフィは彼の野望に近づいている。30歳以下で世界最高の選手であるネイマールと20歳以下で世界最高の選手キリアン・ムバッペを獲得した。

ただ、もう一つの目標はいまだ遠い先にあることがわかったのが今季であった。若く才能あふれる選手をそろえたスカッドとリーグ・アンの支配にもかかわらず、指揮官ウナイ・エメリはレアル・マドリーの前にラウンド16でトータル2-5と敗れ去り、ヨーロッパ最大のトロフィー争奪戦から早々に脱落した。

ネイマールとムバッペがすでにチームにいるのを踏まえ、アル・ケライフィ会長はPSGを真のビッグクラブにするためラストピースを必要としていた。戦術的才能があり、経験あるレアルなど欧州のエリートをピッチ上で打ち負かせる指揮官だ。

ドルトムントを率いていたトーマス・トゥヘルは連日報道されているように、パリの次期監督として白羽の矢が立っている。だが、彼の指揮したチームでの選手・クラブとの衝突を見ると、この希代の戦術家はネイマールを扱うのに適した人物なのかという疑問符も浮かぶ。

トゥヘルの指揮官としての能力に疑いの余地はない。「多くのインスピレーションを受けた」と話すとおり、ペップ・グアルディオラが扱うチームと非常に似ている。ドルトムントでのトゥヘルは対戦相手によって、様々なシステムとアプローチを使いこなしていた。PSGが好む4-2-3-1、4-3-3でも4-1-4-1、必要とあらば3バックも取り入れる柔軟性も持つ。

ポゼッションを高めるスタイルは、国内では他の追随を許さないPSGでは好意的に受け止められるだろう。それは、トゥヘルのフランスでの成功を約束すると言い換えたっていい。

■トゥヘルのドイツ時代

BVBでのトゥヘル政権は、ブンデスリーガでグアルディオラ率いるバイエルン・ミュンヘンの後塵に拝していた。2016年の決勝、バイエルン戦の前に、トゥヘルはグアルディオラと対話していたことを明らかにした。

互いに知り合うため、よりよい関係を築くため、ミュンヘンのシューマンズ・バーで2人は対面した。すぐに会話は戦術とアプローチの話へと変わった。グアルディオラとトゥヘルはソルトセラーとペッパーキャスターを使ってシステムとフォーメーションについて討論していた。あまりにも白熱した話へとなっていたので、ウェイターは熱中して討論している2人に近づくのを恐れていたという。

トゥヘルの強固な意志、頑固さは有能な監督に求められる要素の一つだ。グアルディオラもまた複雑で型破りなキャラクターの持ち主だったが、ドイツでは目に見える結果を残し続けた。他方、トゥヘルはペップ・バイエルンの背中を見て続け、ドルトムントでのハンス・ヨアヒム・ヴェツケCEOとの関係性は冷え切っていたため、もう1シーズントゥヘルを留めておくのは“致命的”だと判断して解任した。

職務を解かれたのは2017年のDFBポカールを制してから3日後。アーセナルへの就任報道も含め、ヴァツケは独善的な監督はもういいと判断したのだ。ヴァツケは解任の際の通達を明らかにし、「全ては、信頼、尊敬、チームそしてコミュニケーション能力、実践性と個性に集約される。信頼と忠誠にもだ」と選手たち、そして首脳陣との関係性が“壊れて”いたことを示唆している。

Thomas Tuchel Borussia Dortmund 100514

■選手とはときに激しい衝突も…

トゥヘルの“管理癖”は選手の生活の分単位までに及ぶ。摂取する食材、ダイエットプラン、ましてや首脳陣の管轄である選手獲得においても首を突っ込んでいた。だからこそ、チーフスカウトのスヴェン・ミスリンタートはアーセナルへと旅立って行った。最終的にはこの悩ましい指揮官によってトレーニング場への出入りを禁止されていたのだ。主力DFであったマッツ・フンメルスは2016年にトゥヘルとの冷え切った関係により退団、そして2018年3月まで和解することはなかった。

アイントラハト・フランクフルトとのDFBポカール決勝でヌリ・シャヒンを招集外にしたときは、優勝の喜びを最初に味わったはずのキャプテン、マルセル・シュメルツァーは彼の監督を公然と批判した。

「衝撃的なことだった。全く理解できない。監督は理由を説明すべきだ。僕たちは全面的にヌリをサポートする」

ドルトムントでの最期のように、マインツでも仲違いのように最期を迎えた。当時、会長を務めていたハラルド・シュトゥルツは無許可で他クラブとの交渉に応じたトゥヘルを“卑怯者”と激しく批判。FWアントニー・ウジャーは彼のコミュニケーション能力に疑問を投じ、同じくストライカーのイヴァン・クラスニッチはさらに前指揮官をこうも激しく批判している。

「俺だけでなく他の人も彼を難しい人間だと言うだろうね。11人の選手がいる。彼は意見する選手も質問する選手も嫌いなんだよ。従う奴だけ気に入るんだ。それが俺の印象だったよ」

トゥヘルと対立しそうなPSGの選手と言えば222億円の男・ネイマール。世界最高額の男は昨夏バルサを去ったが、パリでの初シーズンは批判されてばかりだった。彼のチームメイトであるエディンソン・カバーニとのPKでの衝突は世間に広く認知されている。

また、今季は度々欠場したことも話題に上がる。もちろん、負傷によるメンバー外もあったものの、はたから見れば、エメリの下で出る試合を自由に選んでいるようだと指摘されている。大事な試合のための温存と、リオネル・メッシとクリスティアーノ・ロナウドを抜いてバロンドールを取るためにゴールとアシストを記録したいように。

これらがパリでトゥヘルが直面するであろう問題だ。疑いなく、彼の持つフットボール脳により攻撃はさらに活性化されるだろうが、何もかも管理しようとする癖はネイマールにとってもPSGにとっても最良の手となるのだろうか。

文=ロナン・マーフィー/Ronan Murphy

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