Nicolo Barella ItalyGetty Images

ニコロ・バレッラとは何者か?現代MFに必要なものをすべて持つイタリアの未来

セリエA残留を目指すカリアリの戦いはまだ続くが、ここまでの成績には満足しても良いはずだ。ロッソブルー(赤青の意)ことカリアリにおいて際立つニコロ・バレッラの計り知れない才能は、クラブにとって好材料であろう。すでにトップレベルに肩を並べ、イタリアやヨーロッパのビッグクラブへと大きく羽ばたく準備は整った。

22歳のMFは、指揮官ロランド・マランにとって大きな武器となっている。サルデーニャ出身の彼の存在は、チームにとって大きな付加価値であると言えよう。バレッラはサルデーニャ最大の都市で生まれ、まさにこの場所でキャリアをスタートすると、常にクラブやファンのために全力を尽くし、徐々に信頼を勝ち取っていった。

■17歳で老将に認められた才能

Nicolò Barella ComoInstagram (fede_schievenin)

遡ること4シーズン前、カリアリは2014-15シーズンに暗黒期を迎えていた。数度にわたった監督交代劇による指揮系統の混乱の末、シーズン終了後には降格という苦い思いを味わった。この時、シーズン開幕からチームを束ねていたのはズデネク・ゼーマンだった。バレッラはまだ17歳という年齢であったが、超攻撃的サッカーにこだわり続ける老将は、この才能を見抜いていた。プリマヴェーラ(下部組織)から引き抜いてトップチームへと呼び寄せると、後を継いだジャンフランコ・ゾラの下でコッパ・イタリアのパルマ戦に出場し、公式戦デビューを果たした。

チームが困難に直面していたこともあり若きMFは十分な出場機会をつかむことができずにいたが、2015年5月4日、再びパルマとの対戦において、セリエAデビューを飾る。続いてゼーマン2度目の降板後、後任のジャンルカ・フェスタは、シーズン終盤のチェゼーナ戦およびウディネーゼ戦において彼をピッチに送り込んだ。

翌シーズンはカリアリとともにセリエBで迎えたが、前半戦は5試合の出場に留まった。すると2016年1月、バレッラは新天地を求めてレンタル移籍を決断する。加入したのは同じくセリエBを戦うコモ。リーグ残留を目標に戦う小さなクラブには、当時シモーネ・スクフェットやシモーネ・アンドレア・ガンツが所属していた。

結果的に目標は果たせず。セリエCへと降格することにはなったが、そこでバレッラの才能が開花する。得点こそなかったがチームの中心として活躍し、16試合に出場。ほぼ全試合で先発を飾り、ロンバルディア州において彼の才能は認められたのだ。

多くの経験を積んで自信を得たバレッラは2016年夏、カリアリへ復帰することになる。指揮官のマッシモ・ラステッリによって不動のレギュラーに抜擢されると、セリエAでの1シーズンにおいて自身最多となる28試合に出場した。

だがこれは単なるアンティパスト(前菜)に過ぎない。2017-18シーズン、バレッラのパフォーマンスは最高潮に達する。以降、カリアリの中盤の支配者として君臨すると、20歳の若者には類を見ないパーソナリティを披露して見せた。このシーズンにおいて、最終的に6ゴールを記録したことで、ついにイタリアだけでなく、ヨーロッパのビッグクラブが彼の存在に気づき、動向を追い始めることとなった。

■イタリアを背負う未来

Nicolo Barella ItalyGetty Images

バレッラは、戦術的にはインサイドハーフしての適性を見せている。豊富な運動量に加えてスペースを見つけるアタッキングセンス、強烈なミドルシュートも持ち味だ。さらに守備面でも穴になることはない。鋭い出足から繰り出されるタックルは、脆弱なカリアリディフェンスを支える大きな武器だ。攻守両面において効果的な活躍を見せ、現代フットボールにおける中盤の選手に求められる能力をすべて下合わせている。

さらに、深い位置でゲームを組み立てる「レジスタ」の役割もそつなくこなす。セットプレーも得意としており、昨シーズンはラツィオ、ベネヴェント、ジェノア戦においてPKキッカーを務め、見事にすべてを決めてみせた。中でも最も重要だったのは、決勝点となったベネヴェント戦でのPKであろう。拮抗した試合において96分という試合結果を大きく左右する重要な局面であるにも関わらず、プレッシャーに苦しむことなく、まるでベテランのように冷静さを保っていた。今季は第3節のアタランタ戦においてFKを直接叩き込み、チームを1-0の勝利に導いている。

素晴らしい才能を芽吹かせているバレッラは、これまでアッズーリの年代別カテゴリーをU-15からすべて経験してきた。A代表への初招集は、ジャンピエロ・ヴェントゥーラ指揮下の2017年10月に遡るが、このときは出場チャンスを得ることができなかった。続いて、将来を期待される若手に常に敏感で注意深いロベルト・マンチーニが指揮官に就任すると、2018年9月に彼を再び代表に呼び寄せた。

アッズーリ(イタリア代表の愛称)でのデビューは、2018年10月10日の親善試合ウクライナ戦(1-1)。スタメンに名を連ねると78分までプレーした。バレッラは、イタリア代表のユニフォームに袖を通した8人目のサルデーニャ出身選手となり、カリアリ生まれの選手の中では、アンドレア・コッスに続く2人目となった。

衝撃のロシア・ワールドカップ予選敗退から、大きく舵をきったアッズーリのプロジェクトにおいて、バレッラは中心メンバーの1人となっている。流行に敏感な指揮官の下でデビュー戦以降5試合連続で先発出場を果たし、マルコ・ヴェッラッティやジョルジーニョらとともに中盤を形成。先月のEURO2020予選・フィンランド戦では、セットプレーのこぼれ球をダイレクトで合わせ、ボックス外から強烈なミドルシュートを叩き込んでいる。失意のイタリア国民にとって、新たに輝き出した希望の星なのだ。

この22歳のとてつもない才能には、国内からはナポリやインテル、イングランドからはマンチェスター・ユナイテッドやチェルシーからの関心が伝えられ、アーセナルはすでにスカウトを何度も送り込んでいる。移籍は時間の問題であり、来季はビッグくクラブでプレーすることが確実だ。カリアリは5000万ユーロ(約63億円)のプライスタグを付けている。

確かな技術とユーティリティ性、それに加え強靭なメンタリティ……。立ちはだかる問題は何もない。サルディーニャ出身の若者には、明るい未来が待っている。

文=『Goal』イタリア編集部

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