■低いモチベーションで来るとは思えない
すでに敗退が決まっているポーランドがどういう布陣で来るのかは非常に読みにくい。
グループHのもう一つの試合、セネガル対コロンビアの試合結果に関係なく、決勝トーナメント進出を決められる状況は日本にとってアドバンテージではある。しかし、ポーランドが低いモチベーションで来るとは想定しないほうがいいだろう。ただ、日本を徹底的に分析して対策を立ててくるより、本来の特徴を前面に押し出す戦い方をしてくるかもしれない。
第2戦・コロンビア戦でアダム・ナバウカ監督は3バックを採用したが、この日本戦はおそらく本来の4バックで、基本的には4-2-3-1で来るはず。
その中で、エースのロベルト・レバンドフスキ(バイエルン・ミュンヘン)をスタートから出してくるのかフレッシュな布陣にするかは蓋を開けてみないと分からないものの、参加国の中でも屈指の破壊力を誇るサイドアタックと、FWの力強いフィニッシュワークは日本のディフェンスにとっても脅威だ。
(C)Getty Images▲ポーランド予想フォーメーション
■ドリブル、クロス。特長は強烈なサイドアタック
ポーランドは攻撃の大半がサイドから繰り出される。
中央で一度起点を作り、そこからサイドに展開する形を取るため、中盤でいかにプレッシャーを掛けるかがまずは重要になってくる。サイドが危険だからと言って、あまりにディフェンスがワイドに引っ張られると、ボランチのグジェゴシュ・クリホヴィアク(ウェスト・ブロムウィッチ)から前線のレバンドフスキに一発で縦パスが出てくるからだ。そのため、起点にプレッシャーを掛け、サイドに展開されたらそこから良いクロスを上げさせないようにするという2段階のディフェンスが求められる。
サイド攻撃といっても起用する選手によるディテールの違いはある。
例えばサイドハーフにトップ下が本職のピオトル・ジエリンスキ(ナポリ)が起用されれば、サイドバックから攻め上がるウカシュ・ピシュチェク(ドルトムント)やマチエイ・リブス(ロコモティフ・モスクワ)を追い越して使うプレーを展開する。一方、生粋のサイドアタッカーであるカミル・グロシツキ(ハル)が左サイドハーフに入れば、単独のドリブルで勝負してくる傾向が強くなる。
またクロスに対するゴール前の入り方もセカンドトップ(あるいはトップ下)と逆サイドのチョイスで変わる。
例えばトップ下にジエリンスキが入る場合は基本的にゴール前でターゲットになるのはレバンドフスキ1人で、日本はセンターバック2人で挟むこともできる。その代わり一発で決められなくても、手前に落とされたらジエリンスキのミドルシュートや動き直したレバンドフスキに絶好のラストパスが出て来るので要注意だ。
アウカディウシュ・ミリク(ナポリ)がセカンドトップに入る場合は、レバンドフスキを最前線に張らせた状態で、主にミリクがポストプレーをこなし、そこからサイドに展開されるとミリクがゴール前に飛び込んで来る。そうした一連の流れはシンプルだが非常に迫力がある。ただし、ミリクは長期の故障明けのためか本来のプレーができておらず、コロンビア戦も途中で若手FW21歳のダヴィド・コウナツキに代えられた。

▲「レバンドフスキ2世」と言われる21歳のコウナツキ。交代で出てくるか?
このコウナツキという選手はセリエAサンプドリアに所属し、レバンドフスキ2世との呼び声も高い新星だが、ここまでのところ持ち前のゴールセンスと強さを十分に発揮できていない。またベルギーのアンデルレヒトで森岡亮太と縦のホットラインを築くウカシュ・テオドルチクも候補だが、彼がレバンドフスキと同時に起用される場合は縦の2トップではなく、純粋な4-4-2になる可能性が高い。
流れからのシンプルなサイド攻撃に加えて、ポーランドの得点力を高めているのがセットプレーだ。
直接FKはレバンドフスキが強烈なキッカーとして君臨する。CKや間接的なFKはジエリンスキやミリクら何人か候補がいる。ターゲットマンはレバンドフスキ、センターバックの2人、MFながら186cmの長身を誇るクリホヴィアクなど。さらにミドルレンジに2人を配置してセカンドボールからの2次攻撃を狙う構えだ。
もうひとつ危険なのは、ピシュチェクによるロングスロー。
一発でゴールが決まる可能性は高くないが、クリアが小さくなると一気にフィニッシュまで持っていかれるので要注意だ。また遠目のFKでもゴール前に放り込んだセカンドボールから迫力あるセカンドアタックをしてくる。そうした波状攻撃からゴールが決まるケースも少なくない。
■攻略法はある。ポーランドの弱点を突いていきたい
ディフェンスは前からハメる時間と自陣に引く時間をハッキリ分けてくる。
ポーランドが前から来るときの日本は、センターバックとボランチでうまくいなして、前方に空いたスペースを活用していきたい。逆に引かれた場合は高い位置にボールを運んだところから、サイドバックを効果的に使いクロスと見せかけて、ニアからペナルティーエリアを狙うなど、変化を加えるとポーランドのもろさが出ることがある。
また大会前の合宿でディフェンスリーダーのカミル・グリク(モナコ)が肩を負傷し、万全の状態ではない。コロンビア戦は終盤の10分間だけプレーしており、日本戦でスタートから出てくるかも知れない。
ポーランドの強みのひとつであるGKは、ヴォイチェフ・シュチェスニー(ユベントス)にしろウカシュ・ファビアンスキ(ウェスト・ハム)にしろミドルシュートに滅法強い。
日本としては、やや角度のあるところからディフェンスがブラインドになる状況でグラウンダーを狙っていけばゴールにつながりやすい。特にシュチェスニーは高い身体能力とセンスを持つが判断ミスもあるGKなので、そうしたスキを逃さない集中力も大事になる。
ポーランドにとってロシアは歴史的に因縁深い地でもあり、そこに勝利という確かな爪痕を残すために、全力で日本に襲いかかってくるはずだ。敗退が確定していることは、競った展開で終盤を迎えた時に執着心の差になって表れるかもしれない。
西野朗監督の選手交代も含めて日本にアドバンテージが出てくることは想定できる。とはいえ、そこまでに少なくとも「リードを許さない状況」に持って行くことが、引き分け以上で無条件に突破が決まる試合のキーポイントになってきそうだ。
文=河治良幸

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