2018-06-28-lewandowski(C)Getty Images

臨機応変さと対応力。ひるまず今の力を出せばいい【ポーランド戦直前プレビュー】

■前回王者の敗退を目の当たりにした選手たち

ポーランド戦を翌日に控えた27日、ヴォルゴグラードアリーナのメディアセンターに大きなどよめきが起こった。開幕2連敗中だった韓国が、ドイツから終了間際にゴールを奪ったのだ。

ノックアウトステージ進出に勝利が必須だった前回王者の夢を打ち砕く一撃。VAR判定の末にゴールが認められ、さらに追加点をマーク。日本代表がベースキャンプを張るカザンで、世紀の大番狂わせが巻き起こった。

ちょうど日本代表がポーランド戦に向けた公式練習を終えたタイミングだったこともあり、選手たちはロッカールームでこの試合を見ていたという。そして韓国の奮闘とドイツの敗退を目の当たりにし、直後のミックスゾーンでは改めて気持ちを引き締めるコメントが多く聞かれた。

28日にヴォルゴグラードでポーランドと対戦する日本代表は、引き分け以上で2大会ぶり3回目の決勝トーナメント進出が決まる。もし負けても他会場の結果次第で勝ち抜ける可能性はあるが、まずはこの試合で自力突破を決めたいところである。

日本がここまで1勝1分けの無敗でグループH首位に立つ一方、対戦相手のポーランドは2連敗で早々に敗退が決定。FIFAランキング8位のシード国が、自国民の期待を裏切る結果に終わってしまった。

大事な第3戦が敗退チームとの対戦になり、日本が恵まれた状況に置かれたように思われるかもしれない。だが、ここは決して簡単な試合にはならないと考えるべき。対戦相手もワールドカップの舞台で最終戦にプライドを懸けてくるからだ

スペインと2-2で引き分けたモロッコは大国に二度のリードを奪うなど最後の最後まで強豪を苦しめた。ペルーはわずかに決勝トーナメント進出の可能性を残していたオーストラリアから白星を手にした。コスタリカは終盤の失点を乗り越え、終了間際に追いついてスイスとドローに持ち込んでいる。今大会でも敗退国がこれだけの奮闘を見せている事実。第1シードで国民の大きな期待を裏切る形となってしまったポーランドが日本相手に意地を見せてくることは想像に難くない。

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■負けないためのリスクマネジメント

ドイツの敗退シーンをロッカールームで見たという植田直通は「ドイツを見て、明日は我が身だと思いました。自分たちも決勝トーナメント進出が決まってるわけじゃない。油断したらいけない」と自戒の念を込めた。そして香川真司は「これがワールドカップの難しさ」と発して、ポーランドを警戒する言葉を続けた。

「逆に彼らは失うものがないので、よりアグレッシブに自分たちのサッカーを仕掛けてくると思う。これを最後に引退する選手も数名いると聞いてるので、いろいろなモチベーションを作り出して戦ってくると思う」

そんな相手に対して、日本代表はどう戦うべきのか。

今の日本代表がベースにしているのは、臨機応変さと対応力。事前の分析をベースにしつつ、ピッチ内で相手の出方を見ながら戦える強みがある。そして機を見た積極的なプレスも大きな武器だ。敗退が決まっている相手だけに、メンバー編成は予想しにくい。この状況を理解した上で、長友佑都は「どういうシステムで来るのか分からないけど、まず相手の陣形を見た上で、自分たちがどういうサッカーをするのか。そこは試合の中で判断したい」と話す。

普段と変わらない戦いの重要性について、柴崎岳も口を開く。

「ある種、危険な雰囲気も感じている。しっかりこれまでと同じような集中力、同じような入り方をしなければ。チームとして決して引き分け狙いではなく、勝利を目指してやっていくことが大事になる。そういう戦い方が引き分ける可能性を高めることにもなると思うし、引きの姿勢で迎えるわけにはいかない」

引き分けを狙って、受け身になったらやられる。これまで同様に負けないためのリスクマネジメントをしながら、勝利を求めた延長線上に引き分けがある――。日本代表にはそんな戦い方が求められる。

試合中には他会場の途中経過が気になるところだが、長友は「正直、相手の状況はどうでもいい。自分たちが勝って、1位通過で決勝トーナメントへ行きたい」と目の前のゲームに集中する意向を示した。臨機応変な対応力を見せるためには、邪念を振り払うことも必要になるからだろう。

ポーランド戦当日は気温が40度近くまで上昇すると予想され、実際に現地は朝から強い日差しを受けて早くも高温になっている。キックオフ時間にはピッチ全体が日陰になる見込みだが、巧みな試合運びが求められるゲームになることは間違いない。スタジアム横を流れるヴォルガ川で大量発生している虫の影響も懸念されている。この試合では、目の前の相手以外にも困難な条件と戦うことが必要となりそうだ。

日本代表は連戦の疲労蓄積でメンバーの入れ替えが想定されている。誰が出ても同じ戦いができるようなチームづくりを進めてきただけに、そういった部分でも西野ジャパンの真価が問われるゲームとなる。

決して怖がらず、絶対にひるまず。ピッチで起こるすべてのことをまっすぐに受け止め、日本代表が歴史を変えるべく次の一歩を踏み出す。

文=青山知雄

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