今季ブレイクも？ ヌワネリ、F・カルヴァーリョ…プレシーズンで印象的だったプレミアリーグの若手10人

アレハンドロ・ガルナチョやコビー・メイヌーがシニアへの道を切り開いていったように、この夏アメリカ・ツアーに参加したマンチェスター・ユナイテッドの若手たちには、トップチームへ躍進するのを阻む年齢の壁は存在しなかった。すでに素晴らしいパフォーマンスをする選手たちが何人もおり、ウィル・フィッシュは大けがをする前は将来有望とみられていたし、さらに若いDFハリー・アマスも称賛に値する。

2023年にワトフォードから加入したアマスは前にも後ろにも力強い走りが特徴で、レアル・ベティス戦ではエクトル・ベジェリン相手に見事な走力競争を繰り広げたのみならず、アシストまで記録して勝利に貢献した。テン・ハーグ監督がアマスに興奮したのは明らかで、体調に懸念のあるルーク・ショーやタイレル・マラシアに代わって、今シーズン中にアマスをトップチームに昇格させるのではないかと思われる。

「今はまだ、彼はマンチェスター・ユナイテッドでプレーするのに必要なスキルを身に着け、成長していく必要がある。我々はリーグ優勝を果たすために戦わなければならないのだから」とオランダ人監督は最近、17歳のアマスについて語った。

「だが、才能があればすぐにでもできるだろうし、彼にその才能があるかどうかを見るのは非常に楽しみだ」

2024年2月、バルセロナとの競争に勝ってベリヴァルと契約したスパーズはこのプレシーズン、ついにルーカス・ベリヴァルの実力の一端を見ることができた。今のところ誰も不平をもらす者はなく、昨シーズンはジェームズ・マディソンが担った動きまわる司令塔の役割を心地よく果たしているようだった。

ベリヴァルはトッテナムでのデビュー戦となったハーツとの試合でアシストを記録し、QPR戦で負ったケガが回復した後、アジア・ツアーでより多くの時間プレーした。ファンの中にはシーズンが進めばマディソンよりもベリヴァルのほうが先発に起用されるようになるのではないかという者すらいるが、ポステコグルー監督は、この若きスウェーデン代表が監督の求める練習メニューに慣れるにはもっと時間が必要だと警告している。

昨シーズン、マンチェスター・シティで何度もサブとして出場したオスカー・ボブを新人とは呼べない。だが、このプレシーズンはエティハド・スタジアムでの序列をあげるのに重要だったと思われる。

国際大会のためトップチームの均衡が大きく崩れていた中、ボブはマンチェスター・Cのアメリカ・ツアーで活躍し、2得点3アシストを記録した。セルティック戦でのチームの3得点すべてに関与し、グアルディオラ監督はこのノルウェー代表選手の「信じられないほどのポテンシャル」を絶賛した。土曜のコミュニティ・シールドには右ウイングでポジションを争うライバルたちが間に合わない可能性が高く、ボブがウェンブリーで大いに活躍することは間違いない。

昨シーズン終盤、ファビオ・カルヴァーリョのリヴァプールでのキャリアは終わったように思われた。2022年夏に加入して以来、トップチームへの昇格に苦しんだカルヴァーリョは、当時の監督ユルゲン・クロップに楽しんでプレーしていないと判断され、2023年7月、RBライプツィヒにレンタル移籍に出されたのだった。

それもうまくいかなかったが今年1月、ハル・シティに所属が代わって彼の才能はまだ衰えていないことが示された。それでも、素行の悪さをめぐる報道につきまとわれ、この夏には別のチームに移籍するのではないかと思われていた。ところが、アルネ・スロット監督の考えは違った。

最初に感激したのはカルヴァーリョのほうで、スロット監督の信頼に応え、アーセナル戦とマンチェスター・ユナイテッド戦で得点してみせた。つい最近レッズはサウサンプトンからのオファーを断っており、カルヴァーリョのアンフィールドでの物語はまだ終わっていないようだ。

今後数年間、スパーズのプレミアリーグのライバルたちの中には、この夏もっと頑張ってアーチー・グレイと契約しておけばよかったと後悔するチームもあるかもしれない。結局のところ、リーズから昨シーズンのチャンピオンシップ年間最優秀新人賞受賞者を獲得することに、トッテナム以外に関心を示したのはブレントフォードだけだった。

まだ18歳にもかかわらず、グレイはあっという間に新しい環境に慣れ、冷静でエネルギーに満ちているように見える。彼のデビューに衝撃を受けたポステコグルー監督はこう言った。

「今日のアーチ―は本当によかったと思う。彼ならうまくやれると思っていたことをやってのけた。彼は我々のすべてのプレーの激しさやテンポに適応している」

スパーズの監督は、今季のローテーションでグレイが中心的な役割を担うだろうとほのめかした。グレイとベリヴァルの名をあげ、「彼らはのんびりするためにここにいるのではない。プレーしたいと思っているのだ」と言っている。

憐れむべき2023-24シーズンを過ごしたシェフィールド・ユナイテッドでほとんど輝けなかったジェームズ・マカティーは、ユース時代を過ごしたクラブに戻り、トップチームでのプレーを目指して躍進している。プレシーズンはややスロー・スタートだったがミラン戦で得点し、チェルシー戦での勝利にも貢献。チャンスがあればチームの役に立つ能力があることを証明したのだった。

夏の初めの頃には注目されていたにもかかわらず、マカティーは試合に出ることを熱望していると言われ、それに対してグアルディオラ監督は、今シーズンのトップチームの一員とすることを確約した。コール・パーマーの獲得に失敗したため、今シーズンのマンチェスター・Cはマカティーを活用することが優先事項となるだろう。

ニューカッスルがプレミアリーグの『収益性と持続可能性に関する規則』に従わなければならなかったことの犠牲となったのがミンテだが、彼をセント・ジェームズ・パークから出ていかせたことをニューカッスルは後悔しているかもしれない。ほんの数カ月前、デンマークのオーデンセBKから引き抜かれたミンテは昨シーズン、フェイエノールトでリーグ戦10得点を挙げ、エディ・ハウ監督とニューカッスルはすでに自分たちが失ったものの大きさを見せつけられている。

ブライトンに来て早々、鹿島アントラーズ戦で素晴らしい1得点を挙げてファンの話題となり、ファビアン・ヒュルツェラー新監督は最近のインタビューで、3,000万ポンド（約56億円）のウイングは指導のしがいがあると語った。

「攻撃的なスキルだけでなく、ボールを奪う方法や、ボールを失った時にどうすればよいかについても、そうだ」と、ドイツ人監督は言った。

「我がチームに彼がいてくれて本当によかったのは、そういうところだ。彼は良い生徒だ。話に耳を傾け、それからすぐにピッチに立って、教えられたことをやってみようとする」

ベリヴァルとグレイだけがスパーズが興奮する若手選手ではない。16歳のマイキー・ムーアはすでにハリー・ケインの精神を受け継ぐ者だとささやかれており、トッテナムはマンチェスター・ユナイテッドが関心を寄せるこの10代選手を確保し続けるのに苦労している。

プレシーズンでのパフォーマンスも高評価をさらに高めるばかりだった。ハーツ戦ではベリヴァルから正確無比なパスを受けた後、相手DFを翻弄してゴールを決めた。Jリーグワールドチャレンジの決勝でも試合を決める得点を決め、ポステコグルー監督から絶賛された

。「マイキーはこのチームに来てからずっと素晴らしい。彼はもうチームに馴染んでいる」

今シーズン本格的にトップチーム入りを目指すには少し若すぎるかもしれないが、その将来性は早々と見せつけられており、ムーアには輝かしい未来が約束されているようだ。

2022年9月、ミケル・アルテタ監督によりブレントフォード戦で起用され、プレミアリーグの最年少出場記録を塗り替えて以来、イーサン・ヌワネリは再びトップチームでプレーするにはハードルが高く、我慢を強いられてきた。だが、それも終わろうとしているかもしれない。

マンチェスター・ユナイテッド戦の前半だけでヌワネリを交代させたアルテタ監督は、彼に挑戦を促して、こう言った。

「どこまで起用されるかは選手次第だ。何ができるかを示さなければならない。野心や決意を示し、能力を示せば、自然と状況は整う。明日また彼は我々とともにトレーニングをする。今日のようなプレーが続けられれば、水曜の試合に何分かは必ず出られるだろう」

それ以降、ヌワネリは何度も注目を浴びており、今後数カ月間、アルテタ監督にとって中盤の面白いオプションとなるかもしれない。得点取り屋のチド・オビ＝マルティンが去った今、アーセナルはヌワネリがその後に続くことのないよう全力を尽くすことだろう。記憶に新しい2人の最高に将来性豊かな選手が立て続けにチームを去るというのはあんまりだ。

昨シーズン、何人もの選手のケガのおかげで、リヴァプールのファンは予想していたよりも少し早く、輝かしい未来のある選手の何人かを見ることができた。3月、ユルゲン・クロップの若き大砲たちが、カラバオ・カップ決勝でチェルシーを破り、名をあげたのである。トレイ・ナイオニも2023-24シーズンにプレー時間を与えられ、FAカップ5回戦でサウサンプトンに勝利した試合で後半の終盤に交代出場したが、ジェイデン・ダンズ、コナー・ブラッドリー、ボビー・クラークのほうが、はるかに大きな注目を集めた。

だが、プレシーズンでは違った。元レスターのナイオニが話題をさらったのだ。かつてウイングとして起用されていたナイオニは多才なMFへと生まれ変わり、最近のレアル・ベティス戦では遠藤航の隣でそのスキルを披露した。恐れ知らずのドリブラーであり、無限にも思えるパスレンジの広さを持つナイオニは、今後数カ月、注意深く追跡すべき選手である。