Worst referee decisions GFXGetty/GOAL

2023-24シーズンのプレミアリーグの最悪ジャッジ・ランキング

「マジか」。日曜のエティハド・スタジアムでのトッテナム戦、後半アディショナルタイム終了寸前に、アーリング・ハーランドはサイモン・フーパー主審に噛みついた。ジャック・グリーリッシュにパスをつないだ後、アドバンテージでのプレー続行を主審に取り消されてしまったのだ。

そもそも、ハーランドがマンチェスター・Cのサイドを越えたばかりの場所でエメルソン・ロイヤルからファウルを受けた時、フーバー主審はプレー続行のジェスチャーをしたように見えた。ところが、グリーリッシュがゴールに向かって走りだした途端に笛を吹いたため、マンチェスター・Cの選手たちが激怒し、その様子がネットに拡散されたのである。

ハーランドはこの判定に不満の声をあげてXに投稿し、この記事の執筆時点で約50万もの「いいね!」がついている。このノルウェー代表の怒りがこれほど受け入れられたことは、最近のプレミアリーグの審判をめぐる感情を示している。

Erling Haaland wtf tweetX (@ErlingHaaland)

今シーズン、オフィシャルに対する批判は前代未聞のレベルに達しており、矢面に立たされたPGMOLのハワード・ウェブ会長は、何度も謝罪を強いられている。VARの導入は依然として、特に現地で観戦しているファンを激怒させる問題であるが、ハーランドの例が示したとおり、VARだけが現在の審判団が今まさに直面している問題ではない。

2023-24シーズンのこれまでに最も議論を呼んだ判定について、ランキングしてみよう。

  • Callum Wilson Newcastle 2023-24Getty Images

    12023年10月28日:ウルブス 2対2 ニューカッスル

    10月、ニューカッスルは幸運な勝ち点1を獲得してモリニュー・スタジアムから帰ってきた。ハーフタイム突入直前、ウルブスのペナルティーエリア内でファン・ヒチャンがカラム・ウィルソンを蹴ったように見えた時、アンソニー・テイラー主審はペナルティ・スポットを指さしたのである。

    すべてのペナルティ判定がそうであるように、このシーンもVARで検証されており、リプレイでは本当にごくわずかな接触だけだったように見えた。それにもかかわらず、テイラー主審はVARを求めるジェスチャーをせず、ウィルソンが12ヤード(約10.97メートル)離れたペナルティ・スポットからPKを決めた。最終的にウルブスは同点に追いついたが、勝てたはずだと感じながらスタジアムを後にしたのだった。

    「あの判定はスキャンダルだ」と、試合後にガリー・オニール監督は言った。「ピッチ上で間違った判定がなされ、VARを入れなかったことも間違いだった。審判団は二重に間違っていたと思う」

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  • Man City Newcastle 2023-24Getty Images

    22023年9月2日:マンチェスター・C 5対1 フラム

    この事件は勝敗に無関係だと無視することは簡単だろう。あの得点が取り消されたとしても、フラムはエティハドへの遠征から特に何も得るものがなかったことは変わりないかもしれない。だが、だからと言って不条理が減るわけではない。

    1対1の同点だった時、ナタン・アケの力のないヘディングがオフサイド・ポジションにいたマヌエル・アカンジの方に向かった。スイス代表のアカンジは素早く足を動かしてボールの軌道を変え、そのシュートはフラムのGKベルント・レノの脇を通りすぎていった。

    レノはオフサイド・フラッグが上がらなかったことに怒ったが、驚いたことにVARの検証でも判定が覆ることはなく、それ以降マンチェスター・Cのゴールラッシュで一方的な試合となったのだった。

  • 20230819 Alexis Mac Allister (C)Getty Images

    32023年8月19日:リヴァプール 3対1 ボーンマス

    アレクシス・マクアリスターは顔をあげて、目の前でトム・ブラモール主審がレッドカードを示したのを見た。その顔はすべてを物語っていた。アルゼンチン代表のマクアリスターは、自分の目を信じられなかったのだ。ライアン・クリスティーへのスパイクの裏を見せてのタックルは、褒められたものではない。だが、一発退場となるほどのものだったのかどうかには疑問がある。

    結局のところ、この事件は勝敗には関係なかった。だが、FAの第三者機関は退場宣告に対するマクアリスターの抗議を正当と認め、数日後に出場停止措置を解除した。

  • O-Neil-Wolves-2023-24Getty

    42023年11月28日:フラム 3対2 ウルブス

    「花を送ってくれてもいいし、明日、電話をくれてもいい。何でもしたいことをすればいい。だが、我々の勝ち点は15ではなく22であるべきだ」と、疑惑の判定でフラムに3対2で敗れたウルブスのオニール監督は言った。

    これは、ペナルティーエリア内でネルソン・セメドがトム・ケアニーをタックルした後、フラムにPKを与えたことは間違っていたとマイケル・ソールズベリー主審が認めたことに対するオニール監督の反応である。今シーズンのウルブスはずっと不条理に見舞われており、その最新の事件がこれだ。これだけがクレイヴン・コテージで物議をかもした判定でないのである。

    ティム・リームが、ファン・ヒチャンを倒したのに2枚目のイエローカードを免れたことも、幸運のように思える。同じくカルロス・ヴィニシウスがマックス・キルマンと激突したことも、暴力的行為として退場させられてもおかしくなかった。

  • Sean Dyche Everton 2023-24Getty

    52023年10月21日:リヴァプール 2対0 エヴァートン

    マージーサイド・ダービーは何年も前からレッドカードが飛び交う試合である。今シーズンのアンフィールドで行なわれた宿命の対決も同様で、電光石火のルイス・ディアスへの2度のファウルでアシュリー・ヤングが退場となった。

    だが、リヴァプールも10人に減らされるべきではなかったか。あの時、ショーン・ダイシ監督はきっとそう思っただろう。イブラヒマ・コナテは幸運だった。エヴァートンがカウンターを発動した時、ベトを引っ張るシニカル・ファウルを犯したにもかかわらず、2度目の警告を免れたのである。

    「どうして(レッドカードに)ならなかったのか。ありえないことだ」と、試合後ダイシ監督は言った。

  • Michael Oliver Mateo Kovacic Man CityGetty Images

    62023年10月8日:アーセナル 1対0 マンチェスター・シティ

    マテオ・コヴァチッチがスリル好きなのは明らかだ。そうでなければ今シーズン当初、マンチェスター・シティがエミレーツにやってきた試合の前半で、あんなプレーはしなかっただろう。まずはマルティン・ウーデゴールに背後からぶち当たったが、幸運にも入念なVAR検証の結果、イエローカードがレッドカードになることは免れた。

    奇妙なことに、こんなヒヤヒヤなシーンがあったにもかかわらず、彼は冷静さを取り戻せなかったようである。わずか数分後、デクラン・ライスに突進していったが、マイケル・オリヴァー主審はまたしても寛大さを示し、今回は警告すら与えなかった。

    コヴァチッチはその後交代でピッチを去り、試合に勝ったのはアーセナルだった。

  • Mikel Arteta Arsenal Newcastle 2023Getty Images

    72023年11月4日:ニューカッスル 1対0 アーセナル

    この試合で問題となる時間はあまりに長く、試合後のインタビューでのミケル・アルテタ監督は今にも自然発火しそうだった。さらにその後、メディアで論争が沸騰し、大騒ぎとなった。

    主な引火点が発生する以前に、いくつもの物議をかもす判定がなされていた。危険な突進をしたカイ・ハヴァーツにはレッドカードが出ず、ジョルジーニョに肘鉄を食らわせたブルーノ・ギマランイスがお咎めなしだったりした。だが、論争の主な原因は、アンソニー・ゴードンの得点をめぐってのものだった。

    この場面、主審とその後のVARは、異なる3つの場面について判定を下した。ボールがすでに外に出ていたかどうか、ジョエリントンがガブリエウ・マガリャンイスに対してファウルを犯したかどうか、ゴードンがオフサイドだったのではないかという3点である。最後のオフサイド疑惑だけでも十分なのに、最初の2つもかなりグレーで、アルテタ監督は大いに苛立っていた。

    「とんでもない、完全なる屈辱だ。そう、まさに屈辱だ」と、アルテタ監督はタイムアップの瞬間に怒鳴りちらした。「問題は山ほどある。我々は、最高レベルのプレーをするために、何時間も準備をしてきた。このままではやってられないというメッセージがどれだけ多く我々のもとに届いているか、想像できないだろう。とんでもない」

  • Onana-Man-Utd-WolvesGetty

    82023年8月14日:マンチェスター・ユナイテッド 1対0 ウルブス

    プレミアリーグの審判たちは今シーズン開幕早々からその判定が論争を呼んでいた。オールド・トラッフォードでの開幕戦で、サイモン・フーパー主審がやらかしていたのである。

    ウルブスが健闘していたこの試合、同点に追いつく最後のチャンスが、フーバー主審によって奪われたのだ。GKアンドレ・オナナがどう見てもサーシャ・カライジッチを倒したにもかかわらず、PKの判定をしなかったのである。VAR担当のマイケル・ソールズベリーもそのシーンを振り返ることをせず、マンチェスター・ユナイテッドが1対0の僅差で勝利した。試合後、PGMOLは今シーズン初めての謝罪を発表したのだった。

  • Liverpool VARGetty Images

    92023年9月30日:トッテナム 2対1 リヴァプール

    これこそ最悪の事件だった。完璧に素晴らしくきわめて重要なゴールが、人間のミスによって取り消されたのである。リヴァプールのルイス・ディアスのシュートをVAR担当者たちが認めなかったのである。ピッチ上の判定をチェックする役目を担う彼らは、副審がオフサイドの旗をあげていないという間違った判断をしたのだ。

    その時リヴァプールは退場者を出して10人でプレーしており、さらにもうひとり退場させられたにもかかわらずスパーズが決勝点をあげたため、レッズは傷口に塩を塗られたのであった。

    事件後、PGMOLは問題のシーンの音声と映像を公開した。それは見るも悲惨なもので、緊張感をあおるホラー映画のように、ダレン・イングランド主審とダン・コック線審が重大なミスを犯したことを認識させるものであったが、彼らにはそれを正すことは何もできなかった。

    プレミアリーグ史上、これほどVAR反対の議論を強めた事件はない。