Man Utd beat anyone GFXGetty/GOAL

アモリム監督は正しい:大幅に強化されたマンチェスター・ユナイテッドは誰にも負けない。今後の移籍状況がどうあれ目標はトップ4入り

「我々は今日、プレミアリーグのどの試合にも勝つことができることを証明した。特にアーセナルのような強豪チーム相手に」と、マンチェスター・ユナイテッドがオールド・トラッフォードでアーセナルに惜敗を喫した後、ルベン・アモリム監督は記者団に語った。「我々のほうがより良いチームだった。自分たちの方がより良いプレーをしたと感じている。結果的に試合には負けたが、選手たちが見せてくれた努力を心から誇りに思う」。

これは、思いこみの激しいエリック・テン・ハーグ前監督が、バラバラのチームが毎試合ひどく退化しているにもかかわらず進歩していると主張し続けたのとは全く違う。日曜のマンチェスター・ユナイテッドは本当に大きく改善されており、昨シーズンを2位で終えた非常に強いアーセナルを完全に上回っていたのだ。

統計データもアモリム監督の言葉を裏付けている。ホームのマンチェスター・Uはポゼッション率が61%で、22本のシュートを放ったのに対し、アーセナルは9本だった。マン・オブ・ザ・マッチに選ばれたアーセナルのGKダビド・ラヤは7本のファインセーブを披露したが、そのうちの1本は、マンチェスター・Uの新たな背番号10マテウス・クーニャのシュートに見事に反応し、指先だけで阻止したものだった。マンチェスター・Uはダイナミックかつダイレクトで規律正しく、試合序盤にGKアルタイ・バユンドゥルの不可解なミスでリッカルド・カラフィオーリに得点を献上していなければ、最終結果は肯定的なものになっていた可能性が高いだろう。

「選手たちはボールを持っている時だけでなく、持っていない時でも何かができると常に感じさせてくれる。勝利は必要だが、昨シーズンとは全く違うパフォーマンスだった」とアモリム監督は言ったが、それは事実だった。

昨シーズンの悲惨な15位フィニッシュが繰り返されることはない。マンチェスター・Uはついに結束したチームとなった。同じレベルのパフォーマンスを維持できれば、得点と勝利は自然についてくるだろう。最終目標はチャンピオンズリーグ出場権獲得であり、夏の移籍市場が閉まる前に共同オーナーのINEOSが追加の補強を承認するかどうかは関係ない。

  • Manchester United v Arsenal - Premier LeagueGetty Images Sport

    ついに強力な攻撃力が加わった

    昨シーズン、マンチェスター・ユナイテッドはリーグ戦で合計44得点しか挙げられず、そのうち主力FWのラスムス・ホイルンドとジョシュア・ザークツィーの2人が決めたのは7得点のみだった。そのため、アモリム監督は攻撃陣の刷新を今夏の最優先課題とし、プレミアリーグで実績のあるクーニャとブライアン・エンベウモに合わせて1億3,300万ポンド(約264億円)を投資したが、この投資はすでに成果を挙げつつある。

    クーニャはアーセナルに対して最大の脅威となり、日曜の試合では6回のドリブル中4回を成功させ、ピッチにいた誰よりも多かった。特に目立ったシーンでは、自陣中央でボールを拾った後、アーセナルの5人のDFを抜き去り、GKラヤの隙をついて早めのシュートを放ったが、結果的にラヤが簡単にキャッチして得点にはならなかった。

    クーニャは4本のシュートを放ち、空中以外のデュエル14回のうち7回に勝ち、情熱に満ちた活躍を見せた。右サイドでクーニャよりも厳重にマークされていたエンベウモも、スピードと賢い動きを組み合わせ、頻繁に相手の背後を突いていた。

    より深いポジションでプレーしたブルーノ・フェルナンデスは、ついにパスを出すべき走り込む選手を見出だすことができるようになったし、7,400万ポンド(約147億円)のFWベンヤミン・シェシュコが完全にチームに馴染めば、マンチェスター・Uはどんな相手でも圧倒できる攻撃力を備えることになるだろう。メイソン・マウントも、慣れない偽の背番号9の役割でエネルギーと優れたテクニックを存分に見せた。オールド・トラフォードでは、まだ四角い釘を丸い穴に無理やり押し込もうとしているような状態に見えるが、マウントはシーズンが進むにつれ、アモリム監督にとって少なくともアタッキングサードで有用なオプションとなるだろう。

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  • Manchester United v Arsenal - Premier LeagueGetty Images Sport

    中盤のバランス

    「今年は僕個人が話題になることが少なくなって、代わりにチームについて多く語られるようになることを望んでいる。それが私の主な目標だ。なぜなら、僕の名前が、例えば漠然と話題になるだけでは、誇らしく思ったりするようなことはないからだ」と、フェルナンデスは、アーセナル戦のプレビューで語った。「チームが話題になり、ポジティブなことが語られることが最も重要なことであり、今シーズンの望みだ。個人の得点数やアシストが少なくなって、その以外の試合に必要な役割を果たすことになったとしても、とても幸せだ」。

    日曜の試合では、マンチェスター・Uのキャプテンが再びサッカーを楽しんでいることが感じられた。フェルナンデスは背番号8のポジションでいつもどおり影響力を発揮し、絶好のチャンスを生みだした数でトップ(5)を記録。守備面でも96分の出場時間で10.9キロメートルを走り回り、役割を果たした。相変わらずラインを突破する場面は多かったが、本人の言葉どおり、決定的な得点のチャンスをクーニャとエンベウモに任せることに満足していた。

    カゼミーロも中盤の底で印象的なパフォーマンスを見せ、円熟味を増した33歳という年齢で、レアル・マドリーのレジェンドだった頃の脚力は衰えていると主張し続ける批評家たちを黙らせた。パス成功率は83%、デュエルでの勝率75%は記録し、ボールを失ったのは3回のみだった。フェルナンデスとカゼミーロは、デクラン・ライス、マルティン・ウーデゴール、マルティン・スビメンディに対して、人数では劣勢でも中盤での戦いを制していたし、ウイングバックのディオゴ・ダロトとパトリック・ドルグが前線に上がり、アーセナルにまったくリズムをつかませなかった。つまり、アモリム監督の3-5-2システムは現在、最適な状態で機能しているのである。

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    デ・リフトの進化

    マンチェスター・Uは守備面でも洗練されたプレーを見せた。レニー・ヨロ、マタイス・デ・リフト、ルーク・ショーの3バックはアーセナルに脅かされることがほとんどなく、スポルティングCPで得点を量産したヴィクトル・ギェケレシュは、ミケル・アルテタ監督のチームでのプレミアリーグのデビュー戦で完全に消えていた。

    ショーはブカヨ・サカもマークし、ボール奪取5回と、アタッキングサードへのパスを6本成功させるなど、完全に試合用のコンディションに戻ったことを示した。このイングランド代表選手はマンチェスター・Uにとって攻撃と守備の両面で大きな戦力であり、アモリム監督は彼のケガの悩みがとにかく過去のものとなることを願っている。

    一方、10代の将来有望なヨロは右サイドで、リオ・ファーディナンドを髣髴とさせる安定したパフォーマンスを披露したが、最も輝いたのはデ・リフトだった。この元バイエルン・ミュンヘンのセンターバックは、オールド・トラッフォードでの初めてのシーズンは物足りないものだったが、アヤックスで名を上げ始めた頃の状態を取り戻し、アーセナルの攻撃を封じたのだった。

    デ・リフトは8回のデュエルを制し、50本のパスと6回のクリアを記録。力強さと完璧な判断力でチームを牽引した。この試合は間違いなく彼がオールド・トラフォードで赤いユニフォームを着るようになってから最高の試合であり、ハリー・マグワイアを凌ぐ先発としての地位を確固たるものにした。マグワイアとエイデン・ヘヴンがベンチに控え、ヌサイル・マズラウィとリサンドロ・マルティネスが数週間以内に負傷から復帰するとなれば、マンチェスター・Uの守備は層が厚くなり、シーズンの成功への基盤は盤石となる。

  • Manchester United v ACF Fiorentina - Pre-Season FriendlyGetty Images Sport

    ヒートンをGKとして出場させる

    だが残念ながら、アモリム監督が移籍市場と練習場で築いてきた成果を台無しにする可能性のある欠点がひとつ存在する。それは信頼できるGKがいないことだ。バユンドゥルがアーセナル戦に出場したのは、アンドレ・オナナがプレシーズン中のケガから回復途中だったためだが、このトルコ代表GKは正GKの座を獲得するチャンスを完全に逃してしまった。

    ウィリアン・サリバのアシストからカラフィオーリが得点するシーンで、いとも簡単にバユンドゥルが翻弄されてしまったのは問題だ。さらに、デクラン・ライスが蹴ったインスイングのCKを、ポジション取りが悪く下手くそな動きでクリアしたのも、バユンドゥルの課題である。「GKに関しては何度も言ってきた。もっと攻撃的に、アグレッシブでなければならない」と、マンチェスター・Uのレジェンド、ロイ・キーンは『スカイスポーツ』のスタジオで激怒していた。「自分のエリアなのだから、支配しなければならない。アーセナルはそれが非常に上手い。だがマンチェスター・ユナイテッドはどうだ。弱すぎてヘナヘナだ」。

    同じ批判が、過去2シーズンにわたってオナナに対して繰り返し向けられてきた。だからこそ、マンチェスター・Uは今夏、アストン・ヴィラにエミリアーノ・マルティネスのレンタル移籍を打診したのだ。そのオファーが拒否された後、クラブは新しいGK獲得計画を棚上げしたようだ。アモリム監督は、バユンドゥルではなく39歳のトム・ヒートンを起用する可能性について問われた際、怒って「なぜ?」と返答し、その後、VARを入れてアーセナルの得点を無効にすべきだったと主張した。

    アモリム監督がバユンドゥルを批判しなかったことは称賛に値するが、内心では疑念を抱いているに違いない。ヒートンは2023年2月以来、マンチェスター・Uで公式戦に出場していないが、バーンリーやイングランド代表での経験が豊富なGKであり、今のチーム内で最も信頼できる選択肢のひとつである。移籍市場での動きがない場合、ヒートンを連続出場させるのは理にかなっている。オナナやバユンドゥルより悪いはずはないし、期待を超えるパフォーマンスを見せれば、アモリム監督は計算ずくでリスクを取ったと称賛されるだろう。

  • Brighton & Hove Albion FC v Leicester City FC - Premier LeagueGetty Images Sport

    バレバの移籍は必須ではない

    マンチェスター・UはブライトンのMFカルロス・バレバとの話が強く取りざたされている、ブライトンはバレバの移籍金を9桁に見積もっており、彼を獲得するためには、まず自らのチームの選手の売却を成立させなければ不可能だろう。不要な3人、アレハンドロ・ガルナチョ、ジェイドン・サンチョ、アントニーの適切な買い手を見つけることは、赤い悪魔にとってますます困難になっており、バレバの移籍を成立させるための時間切れが迫っている。

    だが、アモリム監督は、アーセナル戦でのチームのパフォーマンスを見て、その状況を受け入れられるようになるだろう。中盤は完全に機能し、交代出場のマヌエル・ウガルテも良い働きを見せ、アカデミー出身の有望株コビー・メイヌーも、数週間から数カ月後には重要な役割を果たすようになるだろう。

    夏中かけてアモリム監督はシステムの調整を続け、その結果、今やロッカールームの全員が同じ方向を向いており、進むべき道は明確だ。GKの問題が解決されなくても、マンチェスター・Uにはトップ4争いに加わるだけの力があり、国内タイトルを獲得する可能性もあるだろう。ヨーロッパリーグの決勝でトッテナムに惨敗した後の暗黒の3カ月間を考えれば、驚くべきことである。

  • Manchester United v Arsenal - Premier LeagueGetty Images Sport

    もう「退屈」ではない

    「最も重要なことは、我々の試合が退屈ではなかったことだ。選手たちは試合中、あらゆる面で本当に勇敢だった」と、アーセナル戦の敗北の後、アモリム監督は『スカイスポーツ』のインタビューで述べた。「昨年よりも攻撃的だった。スプリントも多く、試合全体を通して1対1の局面を仕掛け、高い位置でプレスを続けた」。

    これはアモリム監督がオールド・トラッフォードで指揮を執ったプレミアリーグの28試合のうちで15敗目であり、昇格組ではないチームの監督がこの負け数に到達するのに必要な試合数としては最少だが、アモリム監督がサポーターを楽しませる重要性を強調するのは正しい。それは、クラブ史上最悪のシーズンを経て、2025-26シーズンに最低限必要なことなのだ。マンチェスター・Uのサポーターは、今、再び試合に臨む際に楽観的な気分でいられるようになっている。

    マンチェスター・Uは爆発的な新しい攻撃陣とアクセルべた踏みのプレースタイルで「退屈」なチームではなくなるだろう。そうすれば負け続けることもなくなるはずだ。なぜなら、アーセナルのように、押し寄せる激しい攻撃に耐えられるチームはほとんどないからである。

    ヨーロッパの大会に出場しないことも、赤い悪魔にとって大きな幸運となる可能性がある。トップ6を争うライバルたちよりも試合間隔があくため、チームは余裕を持って準備を進めることができるのだ。まずは来週末のアラム戦で確実に勝利をつかみ、勢いを築くことが重要だろう。何年かぶりに、マンチェスター・Uはエリートチームの風格を取り戻した。厳格な指導者アモリム監督を迎え、クラブはついに、チームの基準を貶めない監督を手に入れたのである。