Real Madrid season preview GFXGetty/GOAL

レアル・マドリー 2025-26シーズンプレビュー:シャビ・アロンソ新監督に立ちはだかる難題とは?

レアル・マドリーは毎シーズン優勝するのが当然とされている。しかし、2024-25シーズンは、みずから掲げる高い基準からすると平凡な成績に終わり、タイトルを獲得できなかった(UEFAスーパーカップとFIFAインターコンチネンタルカップを除く)。この失望はカルロ・アンチェロッティの解任につながり、後任としてシャビ・アロンソが監督になったが、ロス・ブランコスはクラブワールドカップでも期待外れの結果に終わった。

それでもサンティアゴ・ベルナベウ周辺では状況が好転するとの期待がある。アロンソ監督はサッカー界屈指の有望な若手監督で、ドイツで優勝経験があり、レアル・マドリーというスター揃いのチームを指揮できるだけの戦術的センスを持っている。

ヨーロッパで最も成功したクラブに栄光を取り戻すことは、決して簡単な任務ではない。レアル・マドリーをどう操るかという通常のプレッシャーに加え、ハンジ・フリック監督の下で再び強さを増すスペイン王者バルセロナとの対決も控えている。それでは、レアル・マドリーは2025-25シーズンをどう戦うのか? GOALが、火曜のオサスナとのラ・リーガ開幕戦を前に、すべての大きな疑問に答えよう。

  • Real Madrid CF v Borussia Dortmund: Quarter-final - FIFA Club World Cup 2025Getty Images Sport

    ベルナベウ周辺の雰囲気

    レアル・マドリーは昨シーズンの後半、自分たちの基準からすれば混乱状態に陥っていた。バルセロナが飛躍を遂げる中、ロス・ブランコスは著しく足踏み状態となり、アロンソが新監督になって、かなり大規模なチーム改革が行われた。

    その後、レアル・マドリーはクラブワールドカップに全力を注いだ。リヴァプールのトレント・アレクサンダー=アーノルドを契約最終月に獲得し、ディーン・ハウセンの獲得を急ぐ一方、ジュード・ベリンガムの肩の手術を延期させたのだ。すべてはスペインに優勝カップをもって帰るためだった。ところが結果は、準決勝でパリ・サンジェルマンに完敗。アロンソ監督は、自分が思っていたよりもチームにかなり多くの課題があることを認めざるを得なかった。

    さらに、キリアン・エンバペという大問題も残っている。彼はスペインでのデビューシーズンに全公式戦で44得点を記録し、ヨーロッパのゴールデン・シューを受賞したが、彼がチームを本当により良くしているかどうかについては、多くの疑問が残る。これまでのところ、昨年はヴィニシウス・ジュニオールとベリンガムのパフォーマンスが急落したこともあり、フランス代表キャプテンがチームに大きな改善をもたらしているとは言い難い状態なのだ。

    とは言え、悪い雰囲気は漂っていたとしても、ここはマドリーであり、ファンは結果を期待している。しかしながら、彼らがその結果を得られるかどうかについては、多くの議論もある。

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  • Dean Huijsen Real Madrid 2025-26Getty Images

    移籍動向

    レアル・マドリーをめぐる移籍の大半はクラブワールドカップに先立って完了し、米国では全力を尽くしたものの準決勝で残念な結果に終わった後、移籍市場での動きは活発なままである。

    もちろん、1年近くレアル・マドリーへの移籍が噂されていたアレクサンダー=アーノルドの獲得は、夏のFIFAのお祭り前に獲得するために1,000万ユーロ(約17億円)を支払わなければならなかったものの、クラブにとって最大の目玉だった。ハウセンも、移籍金は6,000万ユーロ(約103億円)と高額だったが、米国でのパフォーマンスは最も素晴らしいもののひとつであり、獲得に間違いはなかった。

    そのほか、アルゼンチンの10代選手、フランコ・マスタントゥオーノも非常に将来有望だ。この才能ある攻撃的MFのチームでの役割はまだまったく定まっていないが、アロンソ監督が、またひとり興味深いMFの有望株を手に入れたことに不安を抱くはずもない。

    最も興味深い獲得選手はアルバロ・カレーラスである。今シーズンはフェルラン・メンディとフラン・ガルシアが左サイドバックで完璧なコンビを形成する見込みだったにもかかわらず、レアル・マドリーは昨シーズンのベンフィカで活躍した元アカデミー出身のカレーラスに5,000万ユーロ(約86億円)を投じた。トニ・クロースの穴を埋める新たなセントラルMFが必要だったことを考えると、資金の使い方に問題があるように思われる。

    退団した選手を見ると、ルカ・モドリッチルーカス・バスケスが契約満了で退団した一方、昨シーズンの終盤とクラブワールドカップで繰り返しベンチを温めたロドリゴが、スペインの首都に残るかどうかについて激しい憶測が飛び交っている。このブラジル代表FWには毎週新たな移籍先が噂されており、移籍市場終了前にレアル・マドリーを去らなかった場合、大きな驚きとなるだろう。

  • プレシーズンの試合ぶり

    クラブワールドカップというお祭りは終わったが、レアル・マドリーのパフォーマンスはまさに玉石混交だった。時には本当に素晴らしいプレーを披露したし、ハウセンはすぐにでも先発でセンターバックに起用すべき選手であることを証明してみせた。しかし、真の試練となったPSGとの準決勝でロス・ブランコスは崩壊した。ニュージャージーで行なわれた試合の前半途中までに0-3とリードを許し、最終盤にさらに1点を失ったのである。

    アメリカでの長期遠征により、12カ月を超える過酷なスケジュールを終えた選手たちには休暇が延長され、新シーズンの準備を開始したのは8月4日、シーズン初戦のわずか2週間前だった。オーストリアのWSGティロールとの親善試合は4-0で勝利した。

    重要なシーズンが始まるというのに、レアル・マドリーは準備不足の状態にある。アロンソ監督は、チームがピッチ上でアイデンティティとプレースタイルを確立するためには時間が必要だと明言しており、競争が激しい中で課題を解決することが有益かどうかは、まだわからない。

  • FBL-WC-CLUB-2025-MATCH30-REAL MADRID-PACHUCAAFP

    有効な戦術

    アロンソ監督は、2023年にレヴァークーゼンでタイトルを獲得した3-4-2-1のフォーメーションの何らかのバリエーションを採用したいと考えている。問題なのは、今のレアル・マドリーが、その任務を果たすのに明らかに不十分な戦力構成である点だ。質の高いセンターバックや走力のあるセントラルMFが不足しており、背番号10の役割を本当に果たすことができるのはベリンガムだけなのに、肩の手術を延期したせいで、少なとも10月まで試合に出ることができない。

    つまり、アロンソ監督は少々奇抜な戦術を採らざるを得なくなるかもしれない。右サイドバックにはダニ・カルバハルも起用できることを考えると、アレクサンダー=アーノルドを中盤の真ん中で試さざるを得ないだろう。監督はクラブワールドカップで4-3-3を試したが、成功したとは言いがたい。

    アロンソ監督にとって明らかに優位なのは、自身がレアル・マドリーの元選手であり、アンチェロッティの後任としてフロレンティーノ・ペレス会長みずからが招いた監督であることだ。そのため、何が起こっても時間的な余裕を得られるだろう。

  • Vinicius Jr Real Madrid 2025Getty

    最優秀選手賞

    過去4シーズンにわたって、レアル・マドリーのパフォーマンスがヴィニシウスの調子次第だったことは明白だ。かのブラジル代表選手が調子を上げれば、レアル・マドリーはほぼ無敵の状態になった。昨シーズンのヴィニシウスはエンバペとの問題に加え、バロンドールを逃したことで調子を急落させ、年明け以降は全公式戦でたった8得点に終わってしまった。

    アロンソ監督の主な任務は、ヴィニシウスとエンバペが同じチームで輝けるようにすることである。エンバペは最終的には調子を上げていったが、ヴィニシウスが最高の状態にない限り、レアル・マドリーが今まで以上のレベルに上がれないことは明白だ。アンチェロッティは元フラメンゴの若き天才を軸にチームを築き上げ、大きな成功を収めた。アロンソ監督もその手法を真似るべきだろう。

  • gonzalo-garcia(C)Getty Images

    ブレイク候補の新星

    アルダ・ギュレルは、昨シーズン終盤に徐々に調子を上げてきたことから、ブレイク候補の筆頭と見られている。「トルコのメッシ」ではないにしても、攻撃的MFとして十分な機会を与えられれば、優れた選手に成長するだろう。

    ゴンサロ・ガルシアにも言及しておこう。彼は無名のアカデミー出身選手から、クラブワールドカップで堂々たるレアル・マドリーで最高の選手となるまでに成長した。21歳のガルシアは新たな契約を交わし、アロンソ監督が好む天性の背番号9に最も近い存在である。レギュラーに定着するのは難しいかもしれないが、シーズンを通じて重要な役割を果たせるはずだ。

  • Real Madrid CF v CD Leganes - La Liga EA SportsGetty Images Sport

    成功への期待

    ラ・リーガ優勝。チャンピオンズリーグ制覇。他のすべてのタイトルの獲得。

    これがレアル・マドリーの任務だ。主要タイトルをひとつも獲得できないシーズンは、失敗として歴史に刻まれる可能性がある。アンチェロッティは2度の監督在籍中に連続優勝を成し遂げ、勝利の象徴としての地位を確立したが、たった一度の不振で退任を余儀なくされた。

    もちろん、最近の状況から判断して、レアル・マドリーはアンチェロッティの全盛期のような無敵のチームからは程遠い。バルセロナは経験不足を補いながら昨シーズンのラ・リーガ優勝という素晴らしい成績を残し、パリ・サンジェルマン、リヴァプール、アーセナル、そしておそらくバイエルン・ミュンヘンも、レアル・マドリーよりもチャンピオンズリーグ優勝にふさわしい戦力を備えている。それでも、レアル・マドリーがヨーロッパで軽視されることは決して、決して、ない…

  • Real Madrid CF v Juventus FC: Round Of 16 - FIFA Club World Cup 2025Getty Images Sport

    大胆予測

    シーズン最優秀選手:フェデリコ・バルベルデ。このウルグアイ代表選手は、これまで正当な評価を受けてこなかったが、アロンソ監督ならバルベルデから魔法のような最高のプレーを引き出せるだろう。

    最高の補強:ディーン・ハウセン。このチームにぴったりはまる素晴らしいセンターバックだ。

    得点王:エンバペ。他の誰よりも多くの得点を挙げるだろうが、昨シーズンの水準には届かないだろう。

    ヨーロッパの大会での成果チャンピオンズリーグ優勝。他の結果を予想するのは愚かだ。

    リーグ順位:2位。今のバルセロナはあまりにも強すぎる。