Premier League disappointing signings GFXGetty/GOAL

スターリング、ジョアン・フェリックス…今シーズンのプレミアリーグで最も失望させたワースト補強10

シーズン終了が迫る中、必然的にシーズン全体の分析が注目されるようになり、最も激しい議論は期待外れの移籍に集中している。一部の新加入選手が新天地で即戦力として活躍する一方、高額な移籍金、高額な年俸、高い評価、大きな期待に応えられなかった選手もいる。

プレミアリーグは2024-25シーズンにおいても巨額な支出で他のリーグをリードし続けたが、鳴り物入りで加入しながら、ケガや調子の低下、単にチームに馴染めなかったなどで月日ばかりが経ち、残念な結果に終わろうとしている選手たちがいるのだ。

このリストにはイングランドの主要クラブの多くが名を連ねており、複数回登場するクラブもある。プレミアリーグで最も失望させた移籍を分析してみよう。

  • Aston Villa FC v Crystal Palace FC - Premier LeagueGetty Images Sport

    10イアン・マートセン(アストン・ヴィラ):3,750万ポンド(約72億円)

    イアン・マートセンは、この攻撃的サイドバックをチェルシーから獲得する競争に勝ったアストン・ヴィラにとって重要な補強と見られていた。チェルシーは、プレミアリーグの『収益性と持続可能性に関する規則』(PSR)に準拠するため、アカデミー出身選手を売却して資金を調達できたことを喜んでおり、オランダ出身のマートセンは、ボルシア・ドルトムントへの素晴らしいレンタル移籍を終えたばかりで、表面上、3,750万ポンド(約72億円)の取引は全関係者にとって良いものだった。

    しかしながら、マートセンはほとんど活躍することができず、ウナイ・エメリ監督はシーズンの大半で左サイドバックにフランス代表のリュカ・ディニュを起用することとなった。まだ23歳のマートセンには希望があるが、近いうちにブレイクしないと移籍金に関する疑問が浮上するだろう。シーズン終盤にはプレー時間が増えつつあり、エメリ監督の信頼を得られつつあるようだ。

  • 広告
  • Matthijs de LigtIMAGO

    9マタイス・デ・リフト(マンチェスター・ユナイテッド):4,300万ポンド(約83億円)

    マタイス・デ・リフトは、マンチェスター・ユナイテッドの守備陣を立て直すためのエリート級の守備のリーダーとして期待されていたが、赤い悪魔のプレミアリーグ時代のみならずクラブ史上最悪の一員としてなってしまった。カラフィオーリ同様、彼個人が何か間違ったことをしたとは言いがたい。このオランダ代表選手はゴールを許すようなミスを犯しておらず、センターバックとしての判断の良さを大いに発揮してきた。

    しかし、デ・リフトほどの評判を持つDFを4,000万ポンド(約77億円)を超える移籍金で獲得したのであれば、チーム全体の向上という形で、より広い意味での投資回収が期待されるものである。マンチェスター・Uはプレミアリーグで9番目に守備成績が悪く、54失点もしている。保有する戦力に見合わず、守備陣が翻弄されすぎているのだ。デ・リフトは、来シーズンには豊富な経験を活かしてステップアップする必要があるだろう。

  • Jadon Sancho Chelsea 2024-25Getty

    8ジェイドン・サンチョ(チェルシー):レンタル移籍

    ジェイドン・サンチョは、マンチェスター・ユナイテッドから離れた昨シーズン後半、古巣のボルシア・ドルトムントで何度も輝かしいプレーを見せ、チャンピオンズリーグの決勝進出という驚きの快進撃を牽引し、ほぼすべてのファンを納得させて正式に復帰を果たした。そのため、昨夏遅く、チェルシーがサンチョを衝撃のレンタル移籍で獲得したことは、賢明なビジネス判断と見なされた。契約には2,500万ポンド(約48億円)の買い取り義務が盛り込まれていた。

    2024-25シーズンの開幕直後、サンチョは3試合で4アシストを記録し、期待に応える兆候を示したが、その後調子を落とし、そもそも何故マンチェスター・Uが彼を手放したのかが次第に明らかになった。チェルシーはユナイテッドに送り返すために、500万ポンド(約9億6,500万円)の契約解除金を支払うことを検討しているとの噂さえある。25歳のサンチョは輝きを見せた瞬間もあったが、西ロンドンで成功を収めるためには、より安定したパフォーマンスを示す必要があるだろう。

  • Fulham FC v West Ham United FC - Premier LeagueGetty Images Sport

    7エミール・スミス=ロウ(フラム):3,400万ポンド(約65億円)

    当初、エミール・スミス=ロウはアーセナルを離れても活躍するだろうと見られており、ガナーズは彼を手放した決断を後悔するだろうと考えられていた。しかし、クレイヴン・コテージでのスタート・ダッシュは、やや誤解を招くものだったことが明らかになっている。フラムのクラブ史上最高額の移籍金で加入しながら、シーズン序盤に活躍した以外、数週間から数カ月にわたって安定した活躍をすることが難しくなり、その結果、スタメンの座を失った。マルコ・シウヴァ監督は、彼が北部ロンドン時代から抱えていたフィジカル面での課題に再び苦戦している可能性を示唆している。

    「最初の数カ月は非常に良いインパクトを残したが、2度目のインターナショナル・ブレイクの後に調子を落とした。12月は彼にとって難しい月だった」と、シウヴァ監督は3月に語った。

    「彼はサッカーに必要な安定性を確立し、高いレベルでプレーする必要がある。これが私たちにとって最も重要な点だ。彼の才能と実力に疑いはないが、プレミアリーグは選手に多くのものを要求し、常に最高のコンディションとフィジカルを維持しなければならない。我々はエミールともにそれに取り組んでいる」

  • Newcastle United v Chelsea - Carabao Cup Fourth RoundGetty Images Sport

    6キアナン・デューズバリー=ホール(チェルシー):3,000万ポンド(約57億円)

    キアナン・デューズバリー=ホール…。チェルシーは、昇格したばかりのレスターから、チャンピオンシップ優勝監督のエンツォ・マレスカを引き抜いた直後に、このMFを3,000万ポンド(約57億円)で獲得したが、それはマレスカ監督の戦術システムで重要なシャトル役を務める背番号8の役割を果たすことを期待してのことだった。ところが、おそらくは大方の予想どおり、その期待は裏切られ、今夏、再び移籍する可能性が高まっている。

    26歳のデューズバリー=ホールは、コール・パーマーとエンソ・フェルナンデスという主力選手とスタメンの座を争っており、スタンフォード・ブリッジでほとんど出場機会を得られていない。昨シーズンはキング・パワー・スタジアムで頼りにしていた選手に対して、マレスカ監督が完全に信頼しきれない要素があることは明らかだ。プレミアリーグのトップレベルへのステップアップは常に大きな挑戦であり、デューズバリー=ホールが期待に応えられていないとしても、それは彼の責任ではない。

  • Arsenal FC v Crystal Palace FC - Premier LeagueGetty Images Sport

    5エディ・エンケティア(クリスタル・パレス):3,000万ポンド(約57億円)

    アーセナルの控えベンチから解放されたエディ・エンケティアが、新天地のクリスタル・パレスでの活躍する姿を多くの人々が期待していたが、これまでのところ、川の南側への移籍は計画どおりには進んでいない。このストライカーは、今シーズン、プレミアリーグでわずか1得点しかしておらず、11月下旬以降、スタメンの座を確立できていない。

    エンケティアの苦境の大きな要因はジャン=フィリップ・マテタで、この長身のフランス出身選手は、1トップのストライカーとして再び前線で好調を維持しており、オリヴァー・グラスナー監督にとって無視できない存在となっている。「エンケティアは本当に努力家だ」と、4月にグラスナー監督は言っている。「彼の努力を見るたびに、個人的に少し悲しくなることがある。時には、彼にとって物事がうまくいっていないように見えることがある。しかし、彼の努力が報われる日は必ず来るだろう」。元アーセナルの選手は、その日が来ることを願っているに違いない。

  • Joshua ZirkzeeGetty

    4ジョシュア・ザークツィー(マンチェスター・ユナイテッド):3,650万ポンド(約70億円)

    マンチェスター・ユナイテッドがジョシュア・ザークツィーを3,650万ポンド(約70億円)という市場価値を下回る金額で獲得したことは、ある種の快挙と見なされたが、これは、彼が所属するボローニャの契約に盛り込まれたリリース条項を巧みに利用したためである。ザークツィーはゴールを量産するタイプではないが、イタリアでプレーしたシーズンでは、ボローニャの60年ぶりのチャンピオンズリーグ出場権獲得に重要な役割を果たした。ところが、このオランダ代表は、ラスムス・ホイルンドとそっくりに、有名な赤いユニフォームを着てスランプに陥った最新のセンターFWとなってしまった。

    プレミアリーグの開幕戦でフラム相手に決勝点を決めて素晴らしい技術を披露したものの、巨漢のザークツィーは個人としての調子が上向きつつあったシーズン途中に太もものケガで離脱し、リーグ戦でわずか3得点に終わった。23歳のザークツィーは、ホイルンドがひどく調子を落としたにもかかわらず活躍できず、新しい環境に慣れようとしつつも、彼に課せられた期待が重すぎるものであったことが明らかになった。

  • Federico Chiesa LiverpoolGetty Images

    3フェデリコ・キエーザ(リヴァプール):1,250万ポンド(約24億円)

    この移籍は常に、リヴァプールにとって2つの可能性があるように思われていた。つまり、フェデリコ・キエーザは、アンフィールドで即戦力として活躍する格安のカルトヒーローになるか、それともケガに苦しみ、イングランドのサッカーに適応できずに苦戦するか、どちらかだと思われていたのだ。残念ながら、彼個人とクラブの両方にとって、後者が現実となってしまった。唯一の慰めは、レッズが移籍金を1,250万ポンド(約24億円)しか払っていないということだが、週給14万ポンド(約2,700万円)の報酬は負担となっている。

    このウイングはプレミアリーグでわずか104分間しかプレーしていないが、これはコンディション不足と、アルネ・スロット監督には彼を起用する機会があったにもかかわらず彼を信頼できなかったことが要因となっている。非常に賢明な取引だったはずが、結局は全関係者にとって時間の無駄に終わった。27歳のキエーザが移籍市場が開く際に新たな挑戦を求めるのは当然のことだろう。

  • Arsenal FC v PSV Eindhoven - UEFA Champions League 2024/25 Round of 16 Second LegGetty Images Sport

    2ラヒーム・スターリング(アーセナル):レンタル移籍

    ラヒーム・スターリングのチェルシーからアーセナルへのレンタル移籍が大きな成功を収めていないことは、おそらく驚くべきことではない――レンタル移籍の多くがそうなのだから。しかし、この移籍がこれほどまでに失敗だったことは、確かに衝撃的であった。かつてマンチェスター・シティで輝いていたウイングのスターリングは、北部ロンドンで輝きを失った姿を見せ、夏にスタンフォード・ブリッジに戻ってくる際には、古巣に大きな問題をもたらすだろう。

    スターリングがエミレーツで過ごした時間は、大部分が、目的を失ったドリブルや下手なボールタッチ、完全な自信喪失を示していた。攻撃陣のケガの問題を抱えるアーセナルでも、スターリングはベンチに置かれたまま出場機会を得られない場面が度々あった。アルテタ監督は2月に次のように述べている。「私たちは皆、彼を支持している。ここは彼にとって最良の環境であり、それがまさに重要なのだ。我々には彼の最高のパフォーマンスが不可欠だ。チームに影響を与えるために、そうしたマインドセットを持った選手たちだけがここにいる必要がある」。イングランド代表のスターリングの未来は、もはや誰にも予測できない。

  • Joao Felix ChelseaGetty Images

    1ジョアン・フェリックス(チェルシー):4,600万ポンド(約88億円)

    ジョアン・フェリックスがついに、チェルシーで完全かつ長期的な居場所を見つけたという希望は、夏の移籍市場の終盤にアトレティコ・マドリーから衝撃の4,600万ポンド(約88億円)の移籍金でかつてレンタル移籍していたクラブに戻ったことで、非常に短命に終わった。一方、コナー・ギャラガーは逆の道を選んだ。シーズン半分のリーグ戦でわずか2得点に終わり、ACミランへ移籍したが、レンタル期間中も状況はほとんど改善されていない。

    フェリックスの獲得は論理的というよりもご都合主義的なもので、マレスカ監督のシステムの中で役割を見いだせないのは当然だった。パーマーが背番号10のポジションを固め、監督はワイドのエリアに生粋のウイングを求めている。この捉えどころのない攻撃的選手の出場時間は主にカップ戦に集中し、再び「ポテンシャルは大きいが結果を出せない」ままの存在に終わったのだった。