そしてシティが目を向けなければならないのは、グアルディオラの時間があと何年続くかということ。これまで残してきた結果やフットボール界への影響を考えれば、彼は史上最高の指揮官と言ってもいい。
しかし、永遠はない。ジョゼ・モウリーニョを見ればそれは明白だ。その時代の最先端を行き、歴史を作った指揮官でも、いつかは時代に取り残される。アーセン・ヴェンゲルやサー・アレックス・ファーガソンも経験してきたことだ。現在のプレミアリーグは、選手だけでなく世界最高の指揮官が揃っている。常に自分をアップデートし続け、ありとあらゆる手段で勝ちに来る指揮官しかいない。そうしたハイレベルな指揮官を相手に少しでも水準を下回ってしまえば、あっという間に順位は転落していくだろう。
モウリーニョの信念は、「あらゆる手段で勝利を掴む」ことだった。だからこそ守備に念頭を起きながら、どれだけ「つまらない」と言われようが徹底的に勝利するため、リーグ優勝するための手段を取ってきた。それが数々のタイトルをもたらした。当時の彼を憎みこそすれ、その手腕を疑う人はほぼいなかった。だがしかし、最終的にはフットボールに取り残されていった。かつての「未来」だった指揮官が、今では「時代遅れ」と厳しく批判されている。
パリ・サンジェルマン、バルセロナ、リヴァプール、そしてアルゼンチン代表やスペイン代表の成功は、現代フットボールを示す明確な物差しだ。攻守四局面すべてにハイレベルで適応し、チームが1つの生き物のように動き続けなければならない。もう「バスを停めてリードを守り切る」ことは不可能である。
グアルディオラ自身は、進化の必要性を認識している。リヴァプールやアーセナル、そしてPSGやバルセロナといったチームに追いつくため、シティに変化を加えなければいけないともがいている。だが、そのインスピレーションをモウリーニョから得るのは危険なはずだ。