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Champions League formatGetty/GOAL

チャンピオンズリーグの新方式”スイス・モデル”の功罪…リーグフェーズは長すぎて危機感なし

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ジェイミー・キャラガーも、チャンピオンズリーグの新方式に賛成するひとりだ。「素晴らしい」と、リヴァプールの元DFは木曜、SNSに書きこんだ。「長年、最終節には退屈な試合ばかりだったが、来週はセンセーショナルなものになるだろう」。

UEFAは大いに満足しているだろう。彼らはすでにかなりの数の専門家やサポーターを説得することに成功したようで、スイス・モデルは成功したと見られている。大会にとって前向きな展開であり、ひいてはサッカーそのものにとっても良いことである、と。

だが、それは真実からかけ離れている。この方式の欠陥は容赦なく露呈しており、これを導入したことで実際に利益を得たのはUEFAとヨーロッパのエリートたちのみである。そして、それこそが当初からの目的だったのだ。

  • Jürgen Klopp Liverpool 2024Getty

    「チャンピオンズリーグの新方式は素晴らしいものではない」

    2021年4月、長年の懸案だったスーパーリーグの脅威がついに現実のものとなり、UEFAは行動を起こす必要があると認識した。ヨーロッパの有力クラブは試合数を増やしたがっていたが、それは、試合数が増えれば収入も増えるからであった。そして、2022年5月、UEFAはまさにそれを実現した。

    当初の案では、ノックアウト方式の前のラウンドを10試合に拡大するというものだったが、すでに過密スケジュールとなっている国際大会の試合日程に深刻な懸念を抱く監督や選手、国内リーグから、激しい反発があった。それでもUEFAは8試合増やした新方式を押し通し、さらにプレーオフ・ラウンドもこっそりと組み込んだ。まさに、名称以外はスーパーリーグそのものであり、誰もがそうとわかっていた。

    「新しいスーパーリーグが立ち消えになったのは、本当によかった」と、2021年4月、ユルゲン・クロップは困惑した様子で記者団に語った。「だが、チャンピオンズリーグの新方式は素晴らしいものではない」。

    「UEFAがその案を見せてくれたが、私は『気に入らない』と答えた。追加した試合をどこで行うのか、私には見当もつかない。それでも、『ショー・マスト・ゴー・オン』、ショーは続けなければならない」。

    誰かが犠牲にならなければならないのは明らかだったが、これにより、かつては威信の高かったFAカップのような国内大会の主催者だけでなく、選手たちにより大きな負担がかかることとなった。

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  • Rodri(C)Getty Images

    選手のコンディションはどうでもいいのか

    UEFAは、サッカーファンが「ヨーロッパのトップクラスの試合をもっと多く見たがっている」と主張し、チャンピオンズリーグの開催を早めることを正当化した。

    しかし、出場選手が最高のコンディションにない場合、強豪同士の対決をより多く行うことにどんな意味があるだろうか。

    4年前、ペップ・グアルディオラが苛立ちを露わにして指摘したように、「UEFAに選手のコンディションについて話すたびに、彼らは『留意する』と言う。しかし、その後、試合が増えた。1日に3回公演を行う劇場の俳優や女優のようなものだ。彼らだって良いパフォーマンスを披露したいと思っているが、1日に3回は多すぎる」。

    グアルディオラの懸念は当然だった。マンチェスター・シティは2023年に三冠を達成したが、今シーズンはロドリをはじめとする主力選手の負傷により苦戦を強いられている。ロドリは前十字靭帯の断裂で戦線離脱する前、既に、過密日程に対して選手会がストライキをする可能性を示唆していた。

    マンチェスター・Cに対する同情の声がほとんど聞かれないとしても、それは選手たちが過密日程でプレーしすぎているという事実を裏付けるに過ぎない。サッカー史上最高額で編成されたチームのひとつが限界に達しているというのに、国家からの支援を受けていないクラブに希望があるだろうか?

  • Andrea AgnelliGetty

    実力主義よりカネが優先

    マンチェスター・Cの苦闘は、チャンピオンズリーグの新方式における最も明白な問題を浮き彫りにした。それは、あまりにも甘すぎるということだ。

    ユヴェントスのアンドレア・アニェッリ元会長は、アタランタのような小規模で経営状態の良い地方のクラブが、伝統ある強豪クラブを倒してヨーロッパのトップリーグに参加することを嫌悪していたため、スーパーリーグの実現に向けて強く働きかけていた。

    ヨーロッパの大会に定期的に参加することで得られる収益は、過去10年にわたってヨーロッパ・サッカーの競争力をゆがめる最大の要因となっており、その結果、「持てる者」と「持たざる者」の格差はかつてないほど広がった。

    理想的な、公平で公正な世界であれば、チャンピオンズリーグは本当のチャンピオンだけが参加する大会となるだろう。かつてのヨーロピアン・カップのように。しかし、シルヴィオ・ベルルスコーニのような人物にとって、それは決して十分なものではなかった。彼は、ヨーロッパ最大のテレビ市場を持つチーム同士が定期的に戦ってこそ、大きな利益が得られることに気づいていた。

    そこでスーパーリーグ構想が持ち上がったのだ。UEFAは5大リーグの上位4チームを選出し、グループステージ(一時は2つあった)を追加することでこれに応えた。

    しかし、これらの修正は、利益を守るために閉鎖的な大会を望み、ヨーロッパ・スーパーリーグ(ESL)を提唱するアニェッリやフロレンティーノ・ペレスを満足させるには十分ではなかった。スイス・モデルは、実力よりも資金を優先するための産物であり、大規模クラブを守るために実施されたことは極めて明らかだ。

  • Manchester CityGetty

    ビッグクラブ向けに安全策を追加

    他のどの年においても、今シーズンのマンチェスター・Cのように、スポルティングCPやユヴェントス、パリ・サンジェルマンに敗れ、インテルとフェイエノールトにホームで引き分けるような不甲斐ない成績を残したチームは、すでに敗退しているはずである。

    しかし、「見事」と称されるであろう改革の性質上、マンチェスター・Cはホームでクルブ・ブルッヘに勝っただけでプレーオフに進出できる。これは、まさに、ヨーロッパの大会から早々に敗退することによる財政的影響からエリートたちを守るために導入された追加の安全策である。

    あまりにもあからさまな話なので、スーパーリーグを批判していた人々が今になって拡張されたチャンピオンズリーグを支持していることが信じられない。特に、「よりエキサイティングになった」という主張は、まったく検証に耐えない。

  • FBL-ENG-PR-NOTTINGHAM FOREST-LIVERPOOLAFP

    「意味のない順位」

    まず、ここ数シーズンの最終節が「退屈な祭典」であったという主張は、まったくの虚偽である。

    以前のチャンピオンズリーグのグループステージには確かに問題があったが、昨シーズンはマンチェスター・ユナイテッド、ガラタサライ、コペンハーゲンが最終戦でベスト16の座を争っていた。その翌日には、PSG、ACミラン、ニューカッスルも同じだった。

    この3チームが属していたグループFはまさに「死のグループ」であり、どの試合も重要だった。なぜなら、勝ち点がすべてだったからだ。すでに予選通過を決めていたボルシア・ドルトムントでさえ、グループ首位を確保するため、ホームでのPSG戦で勝ち点が必要だった。それとは対照的に、今シーズンは多くの試合がほとんど意味を失っている。たとえビッグネーム同士の対戦でもだ。

    PSG対マンチェスター・Cはスリリングだったが、本来なら敗退をかけた試合であるべきだった。レアル・マドリーとバイエルン・ミュンヘンはそれぞれ3試合を落としたが、それでもノックアウト方式のステージに進出している。一方、リヴァプールはここまで7試合全勝で首位に立っているが、アルネ・スロット監督は他の人々と同様、不公平な組み合わせ表のため、このことに何か意味があるのかどうか見当もつかないと語っている。

    「このリーグの順位表は本当に奇妙だ。例えばパリ・サンジェルマンを見ると、毎週、彼らは、最も厳しいチームと対戦している。彼らは順位表ではかなり下の方に位置しているが、それは彼らの実力を反映したものではない。たとえ1位で終わったとしても、彼らと対戦する可能性がある。その場合、1位になることは不利になる」

    リヴァプールが2位以内を確保したことで得られる、真に報酬と言える唯一のものは、プレーオフを回避できることだけだ。UEFAが8位以内でのフィニッシュに与えたインセンティブは、試合数が2つ少なくなることで、これは、試合数が2つ多いことを認めたも同然だ。UEFAは事実上、「良い成績を収めたことに対する報酬は、追加された罰則が回避できることである」と、言っているのである。

  • FBL-ESP-LIGA-REALMADRID-PRESSERAFP

    「問題発生」

    だから、もしかしたら最終ラウンドは盛り上がるかもしれないが、そんなことは問題ではない。水曜の夜に何が起こるにせよ、この状況に至るまでにあまりにも長い時間がかかり過ぎたこと、そして、危機感の欠如が際立っていることを、単純に認めなければならない。

    昨シーズンは、32チーム中半分の16チームが、96試合のグループステージを経てチャンピオンズリーグから姿を消した。水曜の夜の試合終了までに、12チームを落選させるために144試合を消化することになる。これは狂気であり、PSG対マンチェスター・Cやバルセロナ対ベンフィカのようなエキサイティングな試合があったからといって正当化できるものではない。

    これまでも素晴らしいグループリーグの試合は数え切れないほど見てきたし、注目度の高い敗退劇もいくつも見てきた。過去5年間だけでも、バルセロナとインテルは2度もベスト16に進めなかった。今年はマンチェスター・CかPSGのどちらかが敗退するかもしれないが、そうなることは期待できない。むしろ、今大会はトップチームがすべてベスト24入りする可能性の方が高いだろう。

    もちろん、チャンピオンズリーグが予想通りの展開になることは悪いことではない。あるいは、選手にとってさらに過酷な大会になるかもしれない。いずれにしても、試合の魅力や質は低下することになるだろう。

    今シーズンの大会が始まる前、カルロ・アンチェロッティはこう言った。「昨シーズンよりも面白い大会になるかもしれないが、統括団体や決定権を持つ人々が、選手たちがプレーのし過ぎで負傷していることを認めないのであれば、それは問題だ。より魅力的な大会にするために試合数を減らすことを考えてもらいたい」。

    もちろん、誰も耳を傾けないだろう。大金が動いているのだから。ショーは続けなければならない。それに、少なくとも決勝戦は楽しいものになるかもしれない...