アーセナルの早すぎる敗退がフラストレーションのもとになってしまったのは、最近のアーセナルがはるかに厳しい挑戦を乗り越えてきたからでもある。
2022-23シーズン、アーセナルは前十字靭帯断裂でリア・ウィリアムソン、フィフィアネ・ミデマー、ベス・ミードといった主要な選手を欠いていた。さらにシーズン終盤には、同じケガでラウラ・ヴィーンロイターまでいなくなった。キャプテンのキム・リトルや、ラファエル、リア・ウェルティといった選手たちもそれぞれの理由で、さまざまな時点でいないことがあった。
ケガ人続出でもアーセナルは勇敢に戦いつづけ、WSL(ウィメンズ・スーパーリーグ)を3位で終えた。最後の2試合には敗れたものの、最終日に勝ち点で並んだマンチェスター・シティを得失点差で上回っての3位だった。
アーセナルが女子チャンピオンズリーグで勝ち進みながらリーグ戦も戦っていたことを考えると、上位3チームに入ったことは、より印象深く思われる。アーセナルは前回優勝のリヨンと同じ組に入りながらグループ首位に。準々決勝ではブンデスリーガ優勝の常連、バイエルン・ミュンヘンと対戦した。
第1レグは1対0で敗れたものの、第2レグでは北部ロンドンで2万人を超える観客の前で奮闘し、フリーダ・マーナムとスティーナ・ブラックステニウスの得点で最後の4チームに残ったのであった。この結果、準決勝ではヴォルフスブルクと対戦することとなった。
ドイツでの試合では両チーム2得点ずつの引き分けだったが、アーセナルは前半2対0とリードされたところから追いついての引き分けだった。第2レグではエミレーツ・スタジアムに6万人以上のサポーターが集まったが、アーセナルはついに力尽きた。2対2の同点から延長戦に突入すると、明らかに疲れ果てていたロッテ・ウーベンモイの決定的なミスで、ポーリーン・ブレマーに絶好のチャンスを与えてしまい、ヴォルフスブルクが決勝に進出したのだった。
チャンピオンズリーグの決勝まであと一歩のところまで行き、前代未聞の負傷者の多さにも関わらずリーグ3位となったことは、驚くべきことであった。今シーズン、アーセナルはその努力に見合う成果をあげるだろうと思われていた。ライバルチームを倒してヨーロッパ・チャンピオンとなるチャンスをつかむはずだったのだ。
ところが、スウェーデンの地で負けたことにより、今シーズンはもうチャンピオンズリーグの試合に出られなくなったのである。