Team Transfer Grades GFXGetty/GOAL

移籍市場の勝者はマンチェスター・Cだがチェルシーは…ビッグクラブの夏をGOALが評価

先週の金曜、移籍市場が閉まった。今後ヨーロッパの全監督は手持ちの選手をやりくりしていくことになる――少なくとも来年の1月までは。

この夏最大の移籍は間違いなくキリアン・エンバペが悲願のレアル・マドリー入りを果たしたことだが、同市のライバルであるアトレティコが、マンチェスター・シティにフリアン・アルバレスを手放させるために払った額が、この夏ひとりの選手のために支払われた最高額であった。もちろん、バイエルン・ミュンヘン、マンチェスター・ユナイテッド、パリ・サンジェルマンも様々な契約を交わしたし、チェルシーは前代未聞のペースで選手たちを出し入れしている。

では、ここ数カ月間で最も幸せな取引をしたチームはどこだろうか。あるいは雇い主たちに憤慨することになるのはどの選手か。以下にヨーロッパの15のビッグクラブの移籍市場について評価してみよう…

  • Joao Felix Chelsea 2024-25Getty Images

    15チェルシー|評価:F

    一体、チェルシーはどうしてしまったのか。この夏スタンフォード・ブリッジにおけるすべての出入りを追跡することは非常に困難だったし、チェルシーの移籍方針を理解するのはさらに困難だった。基本的な前提として、純粋に利益を得るためにアカデミー出身選手を手放すことにしたことは明らかだった。それにより、チームの価値を上げ、ブルーズの複数のタイトル獲得に貢献することが期待できる若い選手をできるだけ多く獲得するための資金を得るつもりだろう。しかしながら、コナー・ギャラガーを追いだしたことは、サポーターの怒りを買った。エンツォ・マレスカ監督のチームには信頼できる背番号9が必要なことは明らかなのに、ジェイドン・サンチョを含む、多くのワイドのFWが西部ロンドンにやって来たことにもサポーターたちは困惑している。真面目な話、なぜチェルシーはヴィクター・オシムヘンに全額をつぎ込むことにこんなにも躊躇したのか。

    ブルーズが高額所得者のラヒーム・スターリングとロメル・ルカクを手放したことは間違いなく良かったことだが、この夏契約した10人の中で、ただちに先発イレブンとして役に立ちそうなのはケガがちなペドロ・ネトしかいない。ジョアン・フェリックスの復帰は不可解この上ない。

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  • Rayo Vallecano v FC Barcelona  - La Liga EA SportsGetty Images Sport

    14バルセロナ|評価:D

    バルセロナにとって、この夏はまたしても大荒れでストレスに満ちた夏だった。移籍市場の最終週まで必死に取引をし続けなければならず、若手を売り、ベテランを手放してカネを作り、遅ればせながら孤高のスター、ダニ・オルモとの契約にこぎつけたのである(アンドレアス・クリステンセンが都合よくケガをしてくれたこともあるが)。スペイン代表のオルモは、ハンジ・フリック監督のチームでのデビュー戦で得点を決め、待っていた甲斐があったことを証明したが、ブラウグラナはオルモの居場所を作るためにイルカイ・ギュンドアンを犠牲にせざるを得ず、このドイツ代表選手の経験と勝利のメンタルを失ったことは大きく響いてくることだろう。

    レンタル移籍していたジョアン・カンセロを完全移籍させられなかったことも、サイドバックが足りていないバルサにとっては痛手で、左ウィングと是が非でも契約したかったことは秘密でも何でもないのに、一番のターゲットだったニコ・ウィリアムズを獲得するのに必要な金額を用意できなかった。パウ・ビクトルにロベルト・レヴァンドフスキの代わりが務まるかどうかも未知数で、バルサはこのベテランFWの得点力に大いに頼るしかなさそうだ。

  • Federico Chiesa Liverpool 2024Getty

    13リヴァプール|評価:C

    リヴァプールはかなり遅くまで動かなかったが、新任スポーツ・ディレクターのリチャード・ヒューズは市場が閉まる直前にようやく2つの契約を交わした。ひとつはGKギオルギ・ママルダシュヴィリとの契約だが、彼はもう1シーズン、バレンシアに残ることとなり、もうひとつはウイングのフェデリコ・キエーザとの契約である。いずれもすぐに安い買い物だったことが証明されるだろうが(特にキエーザ)、どちらの移籍も特に必要だったわけではない。

    リヴァプールには背番号6のスペシャリストのほうがはるかに必要だった。そのため、マルティン・スビメンディがアンフィールドへの移籍を拒否したことは、かなりの痛手となった。それでもレッズが強いチームであることは間違いなく、ファビオ・カルヴァーリョとセップ・ファン・デン・ベルフで多額のカネを稼いだヒューズは称賛に値するが、ユルゲン・クロップの後任のアルネ・スロット監督は、守備的MFか、おそらく左サイドバックも獲得できたはずだった。

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  • Morata Milan Serie AGetty

    12ACミラン|評価:C+

    ミランは昨シーズン、セリエAを2位で終えたが、同じミラノのライバルであるインテルに独走を許し、サン・シーロでスクデット獲得を決められたことでステファノ・ピオリは解任された。チャンピオンズリーグでグルーブステージ敗退となった後、ヨーロッパリーグでローマに敗れた。現在はパウロ・フォンセカが指揮を執っており、EURO2024を制したスペイン代表のキャプテン、アルバロ・モラタがジュゼッペ・メアッツァにやってきた。もちろん、この元アトレティコ・マドリーFWは決して信頼できるストライカーではなく、ミランがアレクシス・サレマーカーズとタミー・エイブラハムを交換したことは驚くべきことではない。イングランド代表のエイブラハムは、ローマで重傷を負った後、失ってしまった得点感覚を取り戻すことが期待されている。他にも、すでにストラヒニャ・パヴロヴィッチが守備の穴を埋めることになっており、ユスフ・フォファナは中盤に多くのものをもたらすだろう。だが、エメルソン・ロイヤルとの契約は、単なるバックアップ要員だとしても、メリットがあるかどうかは疑問である。何にせよ、最も大事なのはラファエウ・レオンがまだサン・シーロにいることだ!

  • Serhou Guirassy Dortmund 2024Getty

    11ボルシア・ドルトムント|評価:B-

    夏の間にジグナル・イドゥナ・パルクは大きく変わった。昨シーズンのチャンピオンズリーグ決勝にチームを導いたエディン・テルジッチがドルトムントを去って、現役時代ファンに愛されていたヌリ・シャヒンが監督に就任。クラブのレジェンド、マルコ・ロイスが移籍して、マッツ・フンメルスとニクラス・フュルクルクも去り、ジェイドン・サンチョとイアン・マートセンは親クラブに戻った。

    それでも、ヴァルデマール・アントンはフンメルス退団の穴を埋めることに貢献すべきだし、セール・ギラシは、将来有望なマクシミリアン・バイアーの加入で強化された攻撃陣を率いるのにフュルクルクよりもずっと適任である。ドルトムントはサンチョとマートセンを引き留めたかっただろうが、シャヒン監督のためにいくつかエキサイティングな契約をすることができている。

  • Taremi Inter Serie AGetty

    10インテル|評価:B

    ここ数年、インテルは定期的に主力選手を放出しなければならなかったため、この夏は、昨年のセリエA独走優勝の要であったラウタロ・マルティネス、アレッサンドロ・バストーニ、ニコロ・バレッラといったスター選手を確保することが何よりも重要だった。結果として手放さずにすんだことで、ディフェンディング・チャンピオンを率いるシモーネ・インザーギ監督は大いに安堵しているだろう。

    さらに、移籍を取り仕切ったジュゼッペ・マロッタ会長は、ピオトル・ジエリンスキとメフディ・タレミをフリーで素早く獲得したことにより、一銭も使わずにチームの厚みを増すことに成功した。金満クラブではないイタリア王者にとって、この夏は比較的成功した夏だったと言えるだろう。再びリーグタイトルを目指すべきチームであることは間違いない。

  • Romelu Lukaku Napoli 2024-25Getty Images

    9ナポリ|評価:B

    ナポリの新監督アントニオ・コンテには、早々に移籍崩壊を経験する危険が大いにあり、セリエAの新シーズンが始まっても、クラブの選手獲得の動きにイライラしていた。しかしながら、トリノからイタリア代表DFアレッサンドロ・ボンジョルノを獲得したことは実に賢い契約であり、さらにスタディオ・マラドーナには、ベンフィカからウィングのダヴィド・ネレス、マンチェスター・ユナイテッドのカリスマだったスコット・マクトミネイ、将来有望なビリー・ギルモア、コンテ監督のお気に入りのロメル・ルカクが加入した。

    ナポリはスクデット獲得に挑戦するだけの力はまだないかもしれない。しかしながら、コンテ監督が満足して取り組めるならば、チャンピオンズリーグへの復帰を果たすことは可能だろう。評価:B

  • Joao Neves PSG 2024-25Getty Images

    8パリ・サンジェルマン|評価:B

    キリアン・エンバペが出ていったことで、パルク・デ・プランスのスーパースターの時代は終わりを告げたと思われる。この夏PSGは相変わらず新しい選手の獲得のために大金を費やしているように見られていたが、今は明らかに将来有望な才能に集中している。

    フランス王者はジョアン・ネヴィス獲得のためにベンフィカに7,000万ユーロ(約112億円)を支払ったが、このMFはまだ19歳ながら、すでにリーグ・アンでそのスキルを見せつけている。不必要なマヌエル・ウガルテの売却額で支出の大半が補えたことは指摘しておく価値がある。ウィリアム・パチョはマルキーニョスと素晴らしいセンターバックのコンビを組めるし、デジレ・ドゥエは非常にワクワクさせる将来有望な10代である。つまり、エンバペがいなくなり、彼が決めていた得点数はなくなってしまったかもしれないが、PSGの新たな計画には大きな可能性があるのである。

  • Conor Gallagher Atletico Madrid 2024-25Getty Images

    7アトレティコ・マドリー|評価:B+

    やや意外なことに、アトレティコ・マドリーはこの夏大金を費やしたクラブのひとつであった。フリアン・アルバレスをマンチェスター・シティから獲得した取引は9,700万ポンド(約184億円)もの巨額に達したらしく、サッカー界を驚愕させた。アルゼンチン代表のアルバレスはスペインでまだ得点を決めていないが、同じく新加入したアレクサンデル・セルロートとともに、いずれはアントワーヌ・グリーズマンのそばで多くの得点を決めるようになるだろう。

    チェルシー・サポーターのお気に入りだったコナー・ギャラガーも、ディエゴ・シメオネ監督のチームの中盤にうまくフィットしているようだし、選手層が薄かった守備には優秀なロビン・ル・ノルマンが入ったが、まだカバー力が少し足りないようだ。とは言え、この夏のアトレティコ最高の取引が、クラブ史上最大の失敗であったジョアン・フェリックスをチェルシーに4,500万ポンド(約86億円)で引き取らせたことであることは間違いない。

  • Manchester United FC v Fulham FC - Premier LeagueGetty Images Sport

    6マンチェスター・ユナイテッド|評価:B+

    マンチェスター・ユナイテッドの共同オーナーであるINEOSは、オールド・トラッフォードでスポーツ部門の活動の主導権を握ってから初めてとなった夏の移籍市場で大金を費やした。実際、それは、プレミアリーグ8位という情けない成績で終わった昨シーズンのことを考えれば、必要なことだった。技術は優れているがゴール量産型ではないFWジョシュア・ザークツィーはプレーでその素晴らしさを発揮するだろうし、バイエルン・ミュンヘンから加入したマタイス・デ・リフトとヌサイル・マズラウィの2人は、守備においてマンチェスター・Uのこれまでや現在の選択肢を間違いなくグレードアップさせている。マヌエル・ウガルテは、カゼミーロの脚に期待できなくなって以来マンチェスター・Uが必要としていたボールを奪う能力に優れた選手であり、レニー・ヨロも、ケガから復帰した暁には、レアル・マドリーが彼を欲しがった理由を示してくれることが期待される。売却した選手たちを見てみると、マンチェスター・Uはアーロン・ワン=ビサカ、スコット・マクトミネイ、ジェイドン・サンチョ、メイソン・グリーンウッドのおかげで収入を得た。

    全体的にみて、マンチェスター・Uの移籍動向に夢中になるのは決して賢いことではない。過去10年、マンチェスター・Uはカネの無駄遣いや将来有望な才能を殺すことに長けていることを証明してきている。だが、それと比べればINEOSの仕事ぶりは良いほうだろう。ただし、エリック・テン・ハーグ監督が求めた多くの選手たちへの投資が本当に賢い戦略だったかどうかがわかるのは、これからだ…

  • Mikel Merino Arsenal 2024-25Getty Images

    5アーセナル|評価:A-

    移籍市場はアーセナルにとってうまく行った。完成された世界的選手の2人、多才なDFリッカルド・カラフィオーリとスペイン代表MFミケル・メリーノが加入してチーム強化が図られ、同時に、エミール・スミス=ロウ、エディ・エンケティア、アーロン・ラムズデールを売却してその費用をまかなった。

    最終的に、ミケル・アルテタ監督は、特に守備において、昨シーズンよりも良質なオプションを得たと言えよう。しかしながら、ラヒーム・スターリングが低コストな賭けを象徴する一方で、アーセナルに左ウィングはもう必要なかったし、スポーツ・ディレクターのエドゥが、得点に関して実績のある正統派の背番号9との契約をしないという間違いを再び犯したという疑念は残る。

  • Michael Olise Bayern Munich 2024-25Getty Images

    4バイエルン・ミュンヘン|評価:A-

    バイエルン・ミュンヘンのブンデスリーガは始まっているが、トーマス・トゥヘルの後任として決して一番手ではなかったヴァンサン・コンパニ新監督のチームに何が期待できるのか、まだよくわからないところがある。だが、バイエルンがこの夏、多くの選手を獲得したことはわかっている。

    シュトゥットガルトで活躍した伊藤洋輝のほか、ジョアン・パリーニャは、現在のサッカー界で最もうまくボールを奪える選手のひとりであり、ミカエル・オリーズはとんでもなくワクワクさせる攻撃の才能をもっている。バイエルンはこれらの契約のために、マタイス・デ・リフトとマズラウィをおよそ6,000万ユーロ(約96億円)でマンチェスター・ユナイテッドに譲ったカネを大いに役立てた。

  • Kylian Mbappe, Real Madrid, 2024getty

    3レアル・マドリー|評価:A-

    フロレンティーノ・ペレス会長はついに意中の男を手に入れた! サッカー史上最も痛ましく長引いた移籍話がついに終結し、ようやくキリアン・エンバペがマドリーへの逃れられない運命の移籍を果たしたのである。エンバペはここで、ブラジル代表の衝撃の10代エンドリッキと合流し、カルロ・アンチェロッティ監督は、サッカー界が今まで見たことのない、最も恐ろしい前線のひとつを手に入れた。もちろん、この挑戦はすべての人を幸せにするだろうが、エンバペがここまでラ・リーガで苦労していることは無視できない。

    それでも、気のいいイタリア人監督は人材管理の達人であり、最終的に恐るべき攻撃力を最大限活用できる方法を見つけだすことだろう。それより心配なことはトニ・クロースが引退したことで、現代サッカーの最も偉大なMFのひとりの代わりになる選手など存在しない。それでも、スペイン王者にしてヨーロッパ王者のレアル・マドリーには、全体的にみてほとんど弱点がないのである。

  • Teun Koopmeiners Juventus 2024-25Getty Images

    2ユヴェントス|評価:A

    スポーツ・ディレクターのクリスティアーノ・ジュントーリは、昨シーズン末からユヴェントスのオーバーホールを指揮してきた。恐ろしいほど陰気なマッシミリアーノ・アッレグリに代わってエキサイティングなティアゴ・モッタが監督に就任し、その意向をくんで移籍交渉が行われた。実際、ケフレン・テュラムやドウグラス・ルイス、トゥーン・コープマイネルスの獲得により、ユーヴェは間違いなく、ほぼ10年間は最強の中盤を獲得したと言える――アドリアン・ラビオがフリーで出ていったことはフラストレーションが溜まることであったにせよ――し、ニコ・ゴンサレスとフランシスコ・コンセイソンが、契約延長を拒否して最終的にリヴァプールに移籍したフェデリコ・キエーザの代わりに攻撃面で活躍することは間違いないだろう。

    ミケーレ・ディ・グレゴリオも偉大なGKになれる素質があるし、ジュントーリの加入により、ようやくモイーズ・ケーンという重荷を下ろすことができ、エンソ・バレネチェアとサミュエル・イリング=ジュニオールを手放したことはルイス獲得の一助となった。すべてを考慮すると、ユーヴェはモッタ監督のもとで生まれ変われたと言えよう。

  • Savinho Manchester City 2024-25Getty Images

    1マンチェスター・シティ|評価:A+

    ペップ・グアルディオラは、非常に有能なフリアン・アルバレスを残留させたかったかもしれないが、アトレティコがマンチェスター・Cに、エティハドで先発が保証されていなかった選手のために法外な大金を支払ったため、アルバレスの離脱は不可避かつ許容可能となった。さらに、その段階で、マンチェスター・Cはすでに姉妹クラブのトロワから市場価格を大幅に下回る金額でサヴィオを加入させており、このブラジル代表は2,100万ポンド(約40億円)が安い買い物だったことを示している。

    プレミアリーグ王者はさらに、3冠獲得のキャプテン、イルカイ・ギュンドアンとただで再び契約したのみならず、サウジ・プロリーグから誘いのあったケヴィン・デ・ブライネやエデルソンが2人とも残留した。結局のところ、不必要だったジョアン・カンセロが中東に移籍しただけで、マンチェスター・Cはそれと同額をサヴィオのために支払い、ペップにとって非常に完璧な体制が整ったのだった。

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