Virgil van Dijk Liverpool GFX 16:9GOAL

プレミアリーグ史上最高のDFとして:リヴァプールのレジェンド、ファン・ダイクが挑む“最後”の決勝戦

プレミアリーグでは独走状態だが、チャンピオンズリーグのショッキングな敗退がリヴァプールに大きなダメージを負わせたのは間違いない。試合展開もそうだが、PK戦の末の敗退によって心身ともに疲労困憊だ。16日のリーグカップ決勝、ニューカッスル戦を前に問題を抱えてしまっている。

それでも今から12カ月前、モハメド・サラーやアリソンら10人もの主力を欠いて戦ったウェンブリーでの一戦を思い出す価値はある。ジャレル・クアンサー、ジェームズ・マコーネルら“ユルゲン・クロップ・チルドレン”が“10億ポンド(約1912億円)のチェルシー”を打ち負かしたあのリーグカップ決勝戦は、永遠に語り継がれる物語だ。

そしてあの奇跡的な一戦で、強大な存在感を発揮したのがフィルジル・ファン・ダイクだった。延長戦で決勝弾を叩き込んだだけでなく、センターバックとして、そして主将としてこれ以上ないパフォーマンスを披露している。だからこそ、キャプテンとして迎える2度目のカップ戦ファイナルでも、彼の躍動に期待せざるを得ないのだ。

  • Liverpool FC v Southampton FC - Premier LeagueGetty Images Sport

    サポーターの不安

    今季も残り2カ月となったが、未だにファン・ダイクの将来が決まっていないという事実には困惑し続けている(サラーとアレクサンダー=アーノルドも同じだ)。現行契約は残り6カ月。つまり、これがリヴァプールで最後のカップ戦決勝になるかもしれないということだ。

    信じられないような状況である。現在も最高のパフォーマンスを披露し続けている主将が、フリーで去ってしまう可能性は日に日に高まっている。裏で何かが進行しているのかもしれないが、公の場で交渉については誰も明かしていないため、サポーターはただただ途方に暮れるしかない。責任ある立場で、この問題について説明しようとする人間は1人もいないのが現状だ。

    結果としてサポーターは常に不安を抱えたまま過ごしており、アルネ・スロットも契約満了迫る3人のスターに関する質問にたった1人で対応しなければいけなくなっている。

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  • Liverpool FC v Newcastle United FC - Premier LeagueGetty Images Sport

    「僕自身もわからない」

    これまで、ファン・ダイクとサラーに関しては「新契約に合意するだろう」との見方が広まっていた。一部では「実はすでに合意しており、アレクサンダー=アーノルドにプレッシャーがかからないよう秘密にされている」との憶測まで飛んでいる。しかし、チャンピオンズリーグ敗退後にファン・ダイクは「まだ何もわからない」とそうした噂を否定した。

    「本当に、現時点では何もわからないんだ。(延長交渉を)保留にはしていないよ。何も保留にしていることはない。裏で何度か話し合いが行われていることはみんな知っていると思うけど、それだけなんだよ。現時点では、僕自身もわからない。知っていると話す人間は嘘つきだよ」

  • Liverpool FC v Chelsea FC - Premier LeagueGetty Images Sport

    ただ1つ確かなこと

    状況は本人にも、誰にもわからない。ただ1つ確かなことは、リヴァプール主将が残り10試合へ「全力を注ぐ」と語ったことだけだ。これまでも何度か契約に関する質問がぶつけられたこともあったが、ファン・ダイクはまったくブレなかった。シーズンの最も重要な時期に、この問題でパフォーマンスを落とすことはありえない。プレミアリーグ首位独走に導いたのは間違いなく彼であり、スロットも絶大な信頼を寄せている。

    「フィルジルは他の選手たちと同じように、素晴らしい1年を過ごしたいと思っている。彼があらゆる称賛を受けるに値することは間違いないね。長年にわたってこのクラブで素晴らしい活躍を見せており、私が就任して以降も最高であり続けているよ」

  • Liverpool FC v Southampton FC - Premier LeagueGetty Images Sport

    すべての土台

    驚異的なペースでゴールとアシストを積み重ねサラーこそ、リヴァプールにおいて「違いを生み出す存在」であることは疑いようがない。このままプレミアリーグ年間最優秀選手に輝くことは確実だ。だが、現チームのすべての「土台」がファン・ダイクである。

    33歳になったオランダ代表だが、今季はプレミアリーグ全試合にフル出場。ボールの有無にかかわらず絶大な影響力を発揮し、フィジカル面でもまったく衰えを感じさせず、むしろ今季はキャリアハイとまで言えるパフォーマンスを継続している。

    空中戦で圧倒的な強さを発揮(空中戦で89回勝利)し、パス成功数もリーグ最多(2078回)、DFとしてのロングパス成功数も3位タイ(106回)だ。現在最高のディフェンダーと言っても過言ではない。

    ※スタッツはプレミアリーグ

  • Virgil van Dijk Liverpool 2025Getty Images

    異次元の存在

    もちろん、スロット監督は、昨夏にクロップの後任としてリヴァプールの監督に就任する前から、ファン・ダイクの特徴の多くをよく知っていた。フェイエノールトの監督だったスロット監督は、祖国オランダでファン・ダイクを巡る絶え間ない議論に影響されていたこともあり、この同胞の技術力に驚かされたと認めている。

    スロットはもちろん、昨夏の就任前から同胞のファン・ダイクをよく知っていたはずだ。だが実際に指導してみて、彼のレベルの高さに驚いたと明かしている。今年はじめの『フットボール・フォーカス』でこう語った。

    「イングランドでは、全員が『世界最高のDF』を問われて『フィルジル・ファン・ダイク』と答えるだろう。オランダでは批判されることもあったんだ。だからこそ、彼のボール扱いや技術・戦術力の高さに良い意味で驚いた。初日から『ああ、私が慣れてきたレベルとは異なる次元なんだ』と気付かされたよね」

  • FBL-EUR-C1-LIVERPOOL-PSGAFP

    プレミアリーグ史上最高のDFとして

    確かに、ファン・ダイクとて完璧ではない(完璧なDFなど歴史上存在しない)。PSGとの2試合で相手の3トップに手を焼いたことは否定できない。ウェイン・ルーニーも、アンフィールドでの大一番での失点は「ファン・ダイクにも責任がある」と指摘していた。16日迎えるリーグカップ決勝でも現在リーグ最高といえるストライカー、アレクサンデル・イサクとの難しいバトルを強いられることになる。

    だが、あの1年前の決勝からまったく衰えを見せず、むしろ研ぎ澄まされたパフォーマンスを披露し続けるファン・ダイクが黙ってイサクのプレーを許すわけがない。大舞台でこそ輝く真のスーパースターであることは、これまでの歴史が物語っている。その圧倒的な存在感で、再びウェンブリーを支配するはずだ。

    そしてこのままリーグカップ、プレミアリーグを獲得できれば、彼は「プレミアリーグ史上最高のセンターバック」としての地位を確かなものにするだろう。もちろん賛否はあるだろうが、偉大なレジェンドに並び立つ存在として評価されるべきだ。たとえ今シーズン限りでアンフィールドに別れを告げることになったとしても、彼自身は胸を張って、ファンはスタンディングオベーションで送り出すことになるはずだ。

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