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Lionel Messi Inter Miami walking HIC 16:9Getty

メッシは“歩いていけ”…消耗戦のMLS、インテル・マイアミで奇跡を起こしつづけるには休養が必要

ある時点で、インテル・マイアミがリオネル・メッシ抜きでも勝たなければならなくなることは、きわめて明白になりつつある。事実、ニューヨーク・レッドブルズ戦は2対0で勝ったが、試合を決める見事なゴールを決めたメッシは途中出場だった。

メッシがプレーしたのは短い時間だけだったわけだが、それでもメッシの短時間プレーはMLSにおいて大いなるアドバンテージでもある。同時に、このことはマイアミがごく近い将来に失うであろう贅沢でもあり、マイアミは契約したスーパースターなしの試合の準備をしばらく前から進めている。

とはいえ、メッシなしでどうやればマイアミは勝てるのか。シーズンが佳境に入ったら、そもそもメッシが試合に出られなくてよい理由などありうるだろうか。

最初の疑問についての答えは、今後1カ月か2カ月で得られるだろう。2つ目の疑問についての答えは、ここ1週間ほどで明らかになった。マイアミがプレーオフ進出という奇跡を起こそうとする中、タタ・マルティーノ監督はすでに、メッシなしでの試合の準備を進めている。

  • messi inter miami goal(C)Getty Images

    休息が必要

    レッドブルズ戦でメッシがベンチスタートだった理由は、メッシには休息が必要だったからだ。

    マイアミに到着して以来、メッシはMLSデビューまでにたった1カ月で8試合もプレーした。これらの試合は5つの別々の都市で行われたが、リーグスカップを勝ち進む中、本拠地で数試合できたことはマイアミにとって幸運だった。

    休暇明けでリフレッシュして到着した36歳のメッシは、大いに頼られた。メッシはマイアミに到着以来、全身全霊をチームに捧げ、そうすることが今までどおり楽しそうに見えた。だが、もはや数カ月にわたって週に2、3試合プレーできるような年齢でないことは事実だ。

    「レオも他の多くの選手たちも、体力の限界に近づきつつある」と先週、マルティーノ監督は言った。

    「今日からは、そういうことを考えはじめなければならない。さしあたり、次の3試合をどうすればいいか。ここ45~50日の間に我々が試合してきた膨大な数を考慮しなければならない」

    だから、マルティーノ監督はレッドブルズ戦でメッシに30分の休息を与えたのだ。メッシはマイアミが1点リードのときに試合に投入されたが、結果的にメッシの輝きのおかげで2点目をとることができたのである。

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  • Lioner-Messi(C)GettyImages

    歩くマスター

    それでも、メッシに休息が必要かどうかについては疑問もある。試合中、走らずに歩くことで有名となり、長距離をカバーすることのない選手になぜ休息が必要なのか、と。

    特にここ数年、メッシの歩きは悪い意味で有名になっている。統計的に、2022年のワールドカップでピッチを最も歩いていたのがメッシだった。泥臭い仕事はチームメイトに任せ、自身は魔法を見せていた。

    だが、メッシが歩いているのは怠けているからではない。蛇のようにとぐろを巻いて、シュートを放つ瞬間を待っているのだ。1秒でも相手ディフェンスがメッシの追跡を失敗すれば、メッシは全力疾走で敵をすり抜け、試合の流れを変えるゴールを決める。

    それでも、メッシのプレーぶりを見れば休息など必要ないという人々もいる。元アメリカ代表のスター、アレクシー・ララスはそうした指摘をする中のひとりであるが、メッシの脚はチームメイトほど疲れていないだろうと指摘していた。

    「負荷管理だって? メッシは試合中ずっと歩いている」と、ララスはつぶやいた。

    「そんなに心配しなくてもいい。メッシはいつも歩いている…歩かなくていい時が来るまで」

  • Messi Argentina 2023Getty Images

    インターナショナル・ブレイク

    メッシを疲れさせるのはMLSの試合だけではない。アルゼンチン代表として、もうまもなく始まる国際試合にも出場しなければならないのだ。

    メッシは、9月4日から12日のインターナショナル・ブレイクでアルゼンチン代表に合流するだろう。9日に行われるスポルティング・カンザスシティ戦には出場しないことになる。10月にもインターナショナル・ブレイクがあるが、インテルマイアミは、ワールドカップ予選のアルゼンチン対ペルーが行われる17日の翌日に試合が組まれている。

    インターナショナル・ブレイクによる移動やストレス、疲労を考慮すれば、結果としてマルティーノ監督は、今シーズンのマイアミのMLSでの残り11試合中、3試合をメッシなしで戦うことになると考えている。

    「我々はメッシなしの試合に慣れなければならない」と、マルティーノ監督は言った。

    「メッシはナショナルチームに呼ばれるだろうから、少なくとも3試合は彼のいない試合がある。その間も我々は勝ちつづけなければならない」

  • Lionel Messi Josef Martinez Inter Miami 2023Getty Images

    メッシの他にも

    メッシは、国の代表の試合のためにインテルマイアミの試合に出られなくなる唯一のスターではない。そう、マイアミは次の2カ月間、代表の試合のために完全にスカスカになってしまう可能性があるのだ。

    デアンドレ・イェドリン、ホセフ・マルティネス、ドレイク・カレンダー、カマル・ミラー、ディエゴ・ゴメス、レオ・カンパーナ、ロベルトゥ・タユロル、セルゲイ・クリフツォフ、デイビット・ルイズ、エディソン・アスコナ、ベンジャミン・クレマスキといった選手たちが、次の2度のインターナショナル・ブレイクの際、各国代表に呼ばれる可能性がある。全員が必ずチームを抜けるかどうかはわからないし、そうならない可能性も高い。だが、マイアミがプレーオフ進出を争う期間に、大勢の選手がいない可能性があるのだ。

    この夏、チームが補強されたことは良いニュースである。セルヒオ・ブスケツとジョルディ・アルバは、明らかにメッシ不在の穴を埋める要員だ。ファクンド・ファリアスのような選手が、メッシ不在をチャンスとすることもできる。前述の地元育ちのスターの何人かを確保しているのは、全員が国際試合に呼ばれるわけではないことを考えるとクラブにとって良いことだ。

    他にも良いニュースはある。マルティーノ監督は来シーズンについてのニュースをいくつか暴露した。MLSの計画ではインターナショナル・ブレイク中にリーグ戦をやるという、長く批判されつづけているスケジュールを見直すらしいのだ。

    「来年のためにスケジュールの分析をしていると聞いている」と、マルティーノ監督は言った。「近々発表されるだろう」

    それでも、今すぐ何とかなるのは難しいだろう。特にMLSにおけるマイアミの現状を考えると。

  • 081123_TataMartino

    厳しい状況

    レッドブルズ戦での勝利はインテルマイアミに大いなる自信を与えるだろう。カップ戦での調子をリーグ戦でも発揮できることを証明したのだ。

    しかしながら、プレーオフに進出したいのなら、メッシと仲間たちにとって険しい道が待ち構えている。

    直近のナッシュビル戦を0-0で引き分けた今、残り10試合、プレーオフ進出圏内のチームとの勝ち点差は12ある。良いニュースとしては、自分たちより上位のチームすべてと、対戦が残っていることだ。悪いニュースもある。数多くの勝ち点を積み重ねなければならず、数多くのチームを飛び越えていかなければならないことだ。

    メッシがいれば、チャンスがあるかもしれないと言えるだろう。とにかくメッシなら奇跡が起こせる。たとえ、これだけ多くの勝ち点差を短期間で一気に埋めることは、メッシをもってしても不可能のように思われても。しかしながら、残りの試合の4分の1以上をメッシなしで戦いながらプレーオフ進出を果たしたならば、それは歴史的快挙となるだろう。

    さて、マルティーノ監督には決断すべきことがいろいろある。実現しないかもしれないプレーオフ進出に向け、監督はどれほどチームとスーパースターを鼓舞しなければならないのだろうか。確かに難しいことだが、それは今シーズン、フィニッシュに向けて全力疾走するマイアミが直面している現実だ。