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messi inter miami goal(C)Getty Images

MLSインテル・マイアミでのリオネル・メッシ全試合評価

リオネル・メッシはアメリカのサッカーに、真に素晴らしく溶けこんだ。アルゼンチンのスーパースターは、7月にパリ・サンジェルマンからインテルマイアミへの移籍が正式に発表され、トップニュースとなって以来、いささかの時間も無駄にせず、自身の存在を知らしめてきた。

メッシは紛れもなくMLS最大のスターであり、このリーグの歴代のスターの中でも最大であることは確かだろう。それゆえ、すべての目が彼に注がれることとなり、マイアミを順位表の最下位からプレーオフ争いへと引き上げ、最終的には優勝争いまで高められるかどうか、見つめられている。

そこでGOALは、マイアミでのメッシのプレーのすべてを見逃すことのないよう、アメリカ合衆国在住のライター、Ryan Tolmichが、新チームでの各試合について、メッシのプレーを注視し、評価していこうと思う。

以下が最新の評価である。コメント欄に感想を寄せられたい。

  • 7月21日:クルス・アスル 1対2 インテルマイアミ、リーグスカップ

    この時が来た。この男が来た。メッシのデビューが違う結果をもたらすことなど、ありうるだろうか。

    インテルマイアミのファンは、彼のデビューをひたすら待たなければならなかった。先発イレブンにメッシの名前はなかったが、確かに待つだけの価値はあった。同点で、試合の残り時間はほんの数秒しかなかったが、メッシがボールに近づきフリーキックを放った。インテルマイアミを勝利に導き、アメリカのサッカーに新時代の到来を告げたのだ。

    それは、今後何年にもわたってリプレイされる瞬間であり、メッシが世界のこの地域に本当にやってきたことを告げる瞬間であった。インテルマイアミの夢の選手の夢のデビューであり、夢のゴールであった。今後数多く生まれるゴールの最初のひとつだが、すべてが言い尽くされ、すべてが終わったとき、この夜は今後ありとあらゆるハイライト動画集に組み入れられることだろう。評価:A+

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  • 7月25日:インテルマイアミ 4対0 アトランタ・ユナイテッド、リーグスカップ

    あのデビュー戦をどう振りかえればいいというのか。そう、ここで我々が話題にしているのは、メッシなのだ。もちろんメッシは2回戦からさらに前進した。

    初めてインテルマイアミのピンクのユニフォームを着たメッシは、アトランタ・ユナイテッド相手に4対0という試合で圧倒的な存在感を示した。みずから最初の2得点を決めたが、両方とも試合開始から22分以内のゴールで次の2点もアシストした。その間ロベルトゥ・タユロルを全盛期のルイス・スアレスのように見せ、タユロルはメッシが来たばかりのこの数日で、メッシ加入の恩恵を最も受けた選手となった。

    まさに全盛期のメッシのパフォーマンスを思わせるプレーだった。もちろん彼自身の得点もあるが、それ以上に味方に得点させ、それも味方にパスを出すだけではなく、ピッチ上の相手選手を全員自分にひきつける重力がメッシにはあるのだ。評価:A+

  • 8月2日:インテルマイアミ 3対1 オーランド・シティ、リーグスカップ

    オーランド・シティはアトランタ・ユナイテッドとクルス・アスルがしなかったことをした。メッシに対し、少々荒いとも言える対応をしたのだ。メッシを倒せないなら、叩きのめすのが唯一の望みかもしれない。だが、オーランドにとって不運なことに、この作戦は文字どおりうまくいかなかった。いずれにせよ輝いたのはメッシだったのだ。

    何度もファールを受けながら、メッシは前半と後半に1得点ずつ、2得点をあげて勝利した。1点目はロベルトゥ・タユロルからの美しいクロスをファンタスティックなボレーで決め、2点目はホセフ・マルティネスの美しいクロスをやはりボレーで決めた。これぞメッシという輝かしさをもって、マイアミはまた勝ったのである。この2得点でメッシは3試合で5得点をあげたわけだが、これはGOATとしても笑いの止まらない数字だ。

    オーランドは何とかしようとしたが、メッシをスローダウンさせることはできなかった。この試合でも相手はメッシの餌食となり、メッシが進むにつれて、ひれ伏す相手が増える一方である。評価:A

  • 8月5日:FCダラス 4対4 インテルマイアミ(3対5 PK)、リーグスカップ

    メッシはただの人間ではない。またしても、目のくらむようなフリーキックを試合終了直前に決め、インテルマイアミは同点に追いつくことができたのだった。これは、メッシがアメリカ合衆国に来て初めてのアウェイの試合で、マイアミは最終盤までリードされていたが、85分にメッシがフリーキックをゴールに叩きこんだことで、リーグスカップの試合がトップニュースとなったのだった。このことはサッカーの歴史の中で語り継がれていくだろう。

    この試合は、北米サッカーの非常識な基準から見ても荒っぽい試合だった。ご存じのとおり、メッシのゴールで始まったのだが、それはジョルディ・アルバのクロスからのファンタスティックな得点だった。そこから、試合はカオスに陥った。両チームともオウンゴールをしたが、ひとつはメッシのフリーキックをFCダラスのマルコ・ファルファンが入れてしまったもので、もうひとつはメッシの新しい親友ロベルトゥ・タユロルがやってしまったものである。両チームとも素晴らしいゴールのオンパレードで、ダラスもマイアミもそれぞれアルゼンチン出身のスターたちが行き来したのであった。

    だが、ダラスにとって不運だったことに、その日勝ったのはマイアミのアルゼンチンのカリスマだった。2得点をあげたメッシは大会の得点ランキング首位となった。PK戦では、メッシがペナルティ・スポットに近づいていった時点で、成功を疑う者は誰もいなかった。チームメイトたちも役目を果たし、FCダラスのパクストン・ポミカルのシュートが不運にも失敗となった。

    メッシとインテルマイアミの快進撃はつづく。メッシは誰にも止められない。マイアミは今や、この物語が行きつく先に栄冠があると考えはじめてもよいだろう。評価:A

  • 8月11日:インテルマイアミ 4対0 シャーロットFC、リーグスカップ

    どうやら今日は、おとなしいままのようだ。シャーロットFC戦の86分までのメッシのプレーは、まさにそう思わせるものだった。少なくとも、メッシにしてはおとなしかった。それでもメッシのインパクトは抜群で、シャーロットの守備陣はメッシという磁石に引き寄せられて動きつづける砂鉄のようだった。だが、一方的な勝利が決定する最後の瞬間までメッシの得点はなかった。

    だが、ここで話題にしているのはメッシなのだ。リーグスカップにかかわる誰が、90分間ずっとメッシをおとなしくさせることができるだろうか。これまでのところその答えは「ノー」であり、シャーロットもやはりメッシの餌食となった。メッシは最後の最後に得点を決め、レオナルド・カンパーナのクロスをゴールネットに叩きこみ、試合は4対0になったのだった。インテルマイアミのピンクのユニフォームを着てから、間違いなく最もおとなしかった試合の頂点が、これだった。

    さらに、何よりも重要なのはメッシが5試合連続で得点し、インテルマイアミをリーグスカップの準決勝に押しすすめたことである。得点王争いのトップに立ち、彼からこの栄誉を奪う方法はないと言えるだろう。

    メッシとマイアミは、次の試合で6試合連続勝利をめざして進んでいく。評価:B+

  • 8月15日:フィラデルフィア・ユニオン 1対4 インテルマイアミ、リーグスカップ

    この日、インテルマイアミはクラブ史上初のカップ戦決勝進出を決めたが、もちろんメッシのおかげだった。マイアミの4得点中2番目の得点がメッシのゴールであり、めくるめく長いレンジのシュートで、MLSで3度も年間最優秀GKに選ばれているアンドレ・ブレイクを倒したのである。メッシがマイアミに来てから9つ目の得点で、この大会の得点王のトロフィーはメッシのありあまるほどのトロフィーのひとつに加わることになるだろう。

    メッシはこの勝利に貢献した幾人もの選手のひとりであり、これまでの試合と比べて、この試合はメッシの影響が最も少ない試合だったかもしれない。試合前半、メッシは活躍し、得点した。後半ももう少しで得点しそうなシーンがあったが、この試合のマイアミはピッチのどこからでも得点できた。

    そのうちの1得点をあげたのはジョルディ・アルバで、バルサの元チームメイトは2人とも得点表に名を連ねたのである。ホセフ・マルティネスによる3得点目はフィラデルフィア・ユニオンの観客を黙らせた。その後4得点目をあげたデイビット・ルイズは、アメリカ生まれの19歳である。

    マイアミはそれまでの5試合のうち4試合で、4得点をあげていた。この試合の勝利で、マイアミはクラブ史上初の栄冠まであと1勝と迫ったのであった。評価:B+

  • 8月19日:ナッシュビルSC 1対1 インテルマイアミ(9対10 PK)、リーグスカップ決勝

    インテルマイアミは、飾り棚に初めて優勝トロフィーを並べることとなった。ほんの数週間前なら、とても不可能だと思われていたことである。MLSで最下位のチームが対戦相手を次々と下してトロフィーを獲得するなんて、ありえない!

    だが、そのほんの数週間前には、チームにリオネル・メッシはいなかった。今は、本当にいる。

    メッシにとっては驚くべきことではないが、またしてもジオディス・パークでナッシュビルSCを倒したマイアミのスターとなった。90分では1対1となった試合の口火を切る目の覚めるようなシュートを決めたのが、メッシだったのだ。これぞメッシという得点で、最小限のスペースしかないのに、カーブを切ったシュートを放ち、相手ゴールキーパーはどうすることもできなかった。

    ナッシュビルが他愛もないシュートを決めて試合はつづいたが、PK戦になってもメッシと仲間たちを止めることはできなかった。これまた歴史的な素晴らしいPK戦で、22人すべての選手に順番が回ってきた。もちろんメッシもマイアミの最初のキッカーとして決めたが、ナッシュビルのGKエリオット・パニッコのシュートはマイアミのGKドレイク・カレンダーに阻まれ、マイアミの優勝が決まった。

    メッシはここでも、すべての鍵となっていた。試合全体ではこれぞというプレーはあまりなく、GKカレンダーがヒーローであることは確かだが、メッシもまたヒーローだった。新しいチームでも今までと同じように、栄冠を掲げたのである。評価:A

  • 8月23日:FCシンシナティ 3対3(4対5 PK)インテルマイアミ、USオープンカップ

    インテルマイアミは、もう死んでいた。1点ビハインドのままアディショナルタイムに突入し、USオープンカップの希望はついえたはずだった。2023年2度目の栄冠獲得の夢はTQLスタジアムで終わるところだったのだ。マイアミについて締めくくりの記事を書こうとしていた記者たちは、あるひとつのことを忘れていた。マイアミにはリオネル・メッシがいることを。

    アメリカに来て以来、初めて得点のない試合ではあったが、それでもメッシはヒーローだった。自身のゴールはなくとも、マイアミの3点中2点をおぜん立てしたのだ。その最初の点がアディショナルタイムで同点に追いつく、重要きわまりない得点であった。

    それより前、レオ・カンパーナがフリーキックから得点すると、メッシは再びあのコンビネーションを駆使して、インテルマイアミのオープンカップでの希望をつないだ。97分、メッシのループ状のクロスがカンパーナの頭にドンピシャで合い、そのヘディングでの得点が試合を延長戦へと導く奇跡となったのである。

    それからも奇跡はつづいた。ホセフ・マルティネスが延長戦の早い時間帯で得点を決めたものの、FCシンシナティが久保裕也の見事なゴールで食らいつく。その後PK戦に突入すると、メッシはもちろんPKを決めた。FCシンシナティの1人目ニック・ハグランドのシュートをマイアミのGKドレイク・カレンダーがセーブし、マイアミはもうひとつのカップ戦の決勝にたどりつくことができたのである。

    メッシが次々に奇跡を起こしているのに、マイアミに期待しないわけにいくだろうか。インテルマイアミはこの週、クラブ初のカップ戦制覇を果たしたばかりだ。そして、アルゼンチンのスターのおかげで、まもなく2つ目の栄冠を手にいるチャンスが来そうなのである。評価:B+

  • Lionel Messi New York RB Inter Miami MLS 26082023Getty Images

    8月27日:ニューヨーク・レッドブルズ 0対2 インテルマイアミ、MLS

    この日は静かな夜になるはずだった。疲労のためベンチスタートとなったメッシのMLSのリーグ戦デビューは、ほんのわずかな出場になるだろうと思われていたのだ。60分にメッシが投入される前にマイアミはすでに得点をあげており、あとはただ試合が終わらせればよかっただけだった。

    ところが、そうではなかった。つまりそれがメッシなのである。彼にしては最も抑えたプレーだったとしても、最後に見事なゴールを決めたのだ。

    メッシは、若いベンジャミン・クレマスキとのコンビネーションで、インテルマイアミの勝利を決定づける得点を決めた。2人して、今週の最高のゴールの候補となる得点を決めたのである。ジョルディ・アルバの名誉のために言っておくが、一連のプレーを始めたのはアルバであり、バイシクルでメッシにパスを出すと、メッシは相手ディフェンダーに囲まれながらボックス内を細かな動きで進んでいった。メッシのクレマスキへのパスも絶妙であり、まだ10代のクレマスキのメッシへのカットバックは、それ以上ですらあった。後はアルゼンチンのスーパースターが、いとも簡単に自身のMLSリーグ戦初ゴールを軽くネットに入れたのであった。

    メッシはたった30分で23回ボールにタッチしたが、クレマスキのクロスへのタッチが最も重要であった。この得点がマイアミの勝利を確定し、プレーオフ進出というマイアミのミッション・インポッシブルの始まりを告げるものとなった。

    もちろんこの1勝だけでなく、もっと多くの勝利が必要ではあるが、これは大きな始まりである。メッシと仲間たちはカップ戦で大活躍しており、今や、残りのMLSでもマイアミが不可能と思われたプレーオフ進出に向かって走り出したことが、公式に告げられたのだ。評価:A-