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無敗記録は「36」!なぜシャビ・アロンソ率いるレヴァークーゼンはこれほどまでに「強い」のか?西大手紙分析担当が解説

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シャビ・アロンソ監督率いるレヴァークーゼンの躍進が止まらない。

今季開幕4連勝を飾った後にブンデスリーガ第4節でバイエルンと引き分けた(2-2)が、その後は連勝を街道を突き進むことに。そのまま迎えた第21節、バイエルンとの再戦では3-0と衝撃の圧勝。この勝利で勢いはさらに増し、なんと今季の無敗記録を「36」にまで伸ばしている。

リーグ戦では2位に10ポイント差をつけて首位を独走、DFBポカールでも準決勝進出を決めているレヴァークーゼン。ヨーロッパリーグでは全勝でグループステージを突破、ラウンド16でカラバフと対戦し、敵地でのファーストレグは打ち合いの末に2-2のドロー決着となった。そして14日、ホームでのセカンドレグに挑むことになる。

現在ヨーロッパで最も“旬”なチームであることは間違いないだろう。では、なぜレヴァークーゼンはこれほどまでに「強い」のだろうか? カギを握る選手は誰であり、シャビ・アロンソ監督はピッチ上で何を表現し、何を狙っているのだろうか? 今回は、スペイン大手紙『as』の副編集長を務めるハビ・シジェス氏の分析レポートを紹介する。

文=ハビ・シジェス/スペイン紙『as』副編集長

翻訳=江間慎一郎

  • leverkusen 1(C)Getty Images

    その目に焼き付けておくべき

    まだ何も壊れてはおらず、無敗のまま、無傷のままだ。ピカピカと光るシャビ・アロンソと彼のレヴァークーゼンを、ここらでじっと、その目に焼き付けておいた方がいいだろう。

    なぜなら、彼らはここからシーズンの終わりまでのどこかで、ほぼ間違いなく敗北を味わうことになるのだから。しかし、たとえどこかで土をつけられても、現在争っている3タイトルのいずれかを獲り逃したとしても、ドイツの名門チームがここまでに残した足跡は、すでに称賛に値するほど素晴らしいものだ。

    フットボールチームが成功を手にしたとき、そのチームの使用したプレーモデルは神聖化される。が、真に素晴らしいプレーモデルは、勝利によってのみ認められるわけではない。X・アロンソと彼が率いるチームはもうすでに、絶対的に信頼されるべき存在なのである。

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  • leverkusen 2(C)Getty Images

    攻撃のキーマンは?

    今、私たちは近年のフットボール界の中でも極めて重要な出来事を目にしている。レヴァークーゼンはバイエルンを差し置いてブンデスリーガの首位を快走し、なおかつDFBポカールとヨーロッパリーグのタイトルも狙っているのだ。シーズンの始めこそ物静かだったが、その時点からX・アロンソのフットボール的アイデアは際立っていた。現在のレヴァークーゼンはボール、ゲーム、時間を支配する力を持っている。

    彼らがベースとするシステムは1-3-4-2-1(スペインのフォーメーションはGKから表記)。ピッチ上の全選手にダイナミズムを求め、中央、サイドのどちらも生かしたプレーを見せる。そのポジショナルな攻撃はまさに職人技で、相手チームを自陣ペナルティーエリアに押し込んでしまえる。

    後方からパスを回して相手陣地に進行していくレヴァークーゼンは、エセキレル・パラシオス、グラニト・ジャカといった優れたパサーが相手チームのDF=MFのライン間にボールを入れることを狙う。そうしたパス能力を持つ選手は中盤だけにとどまらず、3人のセンターバック(ヨナタン・ター、エドモン・タプソバ、ピエロ・インカピエ)も、隙があれば積極的に縦にボールを通していく。

    その次に存在するのが、縦に通したボールを受ける選手たちである。ウィングバックよりもウィングに近いジェレミー・フリンポン&アレハンドロ・グリマルドは、X・アロンソと出会ったことで本来定められていたキャリアの限界を突破した。そしてフロリアン・ヴィルツ(シーズン序盤はヨナス・ホフマンも)はその創造性、機動性、決断力によって、チーム内のルールに縛られないプレーを見せている。1トップの後方でボールを受け、相手選手たちを引き寄せてチームメートたちのプレースペースを生み、そこから決定的なパスを出す……彼は最たる違いを生み出せる、王者の風格を漂わせた選手だ。

    もし相手チームが中央のヴィルツを止めようとした場合、その分だけスペースを享受するフリンポン&グリマルドがサイド深くまで侵入するか、ファーからペナルティーエリア内に侵入して決定的なプレーを見せる。レヴァークーゼンは落ち着き払ってサイドからサイドにボールを回していると思えば、相手のスペースと隙を逃すことなく縦にパスを通し、緩急つけた攻撃を実現している。そして1トップのヴィクトル・ボニフェイス(現在は負傷中)が抜群のポジショニングでもって、チームがそれまでに築いた攻撃の仕上げ、つまりはシュートを請け負う。

    レヴァークーゼンはポゼッションだけでなく、トランジションからの攻撃も見事だ。その高いインテンシティーと組織力際立つプレッシングによって中央で数多くのボール奪取を実現し、パラシオス&ジャカの望遠鏡でのぞいたようなパスから、フリンポン、グリマルド、ヴィルツが果敢に飛び出していく。加えて、セットプレーも彼らの攻撃力を増幅させる装置となっており、グリマルドを主要なプレースキッカーとしてセットプレー、フリーキックからゴールを生み出している。

  • tah 3(C)Getty Images

    高次元の守備

    レヴァークーゼンの攻撃力が総合的に高いことからも分かる通り、彼らはフットボールで必要とされるあらゆる要素をしっかり、丁寧に磨き上げている。例えば、彼らは守備に注力したとしても強い。X・アロンソは対戦相手や状況によって、実践するプレーを使い分けることができるのだ。現に1カ月前に行われたバイエルン戦では、1-5-2-3を使用して自陣に引きこもることを厭わず、3-0の完勝を収めている。

    あの試合、彼らはバイエルンが中央から侵攻することを防ぐべく、アグレッシブに前に飛び出して守ることも忘れなかった。しかし同システムは中央の守りが固くてもサイドが手薄となってしまい、ウィングバックが少し高い位置でプレスを仕掛る必要があるために、彼らの背後を取られる危険が生じてしまう。そこで必要となるのが3バックによるカバーリング、1対1となる状況を事前に防ぐための“潰し”のプレーなのだが、ター、タプソバ、インカピエは見事にそのタスクをこなしていた。彼らはほかの選手たちと比べれば目立たない存在なのかもしれないが、レヴァクーゼンのコレクティブなプレーを確かに支えているのだ。

    レヴァークーゼンが攻撃だけではなく守備も熱心に行っていることは、しっかりと強調すべきだろう。彼らのように汚れなき軌跡を描くためには、常に長所が欠点に勝っていなくてはならない。無論、ずっと輝かしいパフォーマンスを見せることなど不可能だが、今のところ彼らはたとえ苦戦を喫しても、欠点を上回る長所を生かして各試合を解決し続けている。フットボールの監督は試合後、よく「私たちは勝利に値した」と口にするが、X・アロンソのチームはどこよりも、実際的に勝利に近づくプレーを高次元で見せているのだ。

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  • leverkusen 3(C)Getty Images

    もう「負け犬」とは言わせない

    レヴァークーゼンは“ネヴァークーゼン(Neverkusen)”の悪名を払拭しようとしている。「敗者」、「負け犬」と揶揄されたチームからの脱却は、まさにX・アロンソのおかげだ。現在のレヴァークーゼンはあらゆる意味で良いプレーができるチームであり、そしてX・アロンソはレアル・ソシエダ、リヴァプール、レアル・マドリーなどで輝いた選手時代のように、監督としてもマエストロになることが約束されている。

    滅多なことでもない限り、今季のレヴァークーゼンはチャンピオンとなり、X・アロンソも監督としての評価をさらに上げることになるだろう。しかし彼の指導方法を見ている限り、やはり大切なのは単なる結果ではなく、プレーモデルなのである。レヴァークーゼンの研ぎ澄まされたそれは、結果だけを手にして神聖化された凡百のモデルよりも、ずっとずっと素晴らしい。

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