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エンバペ、イブラらランクイン!21世紀のPSG選手トップ25

ヨーロッパサッカーの新興勢力として急速に成長したパリ・サンジェルマンは、21世紀に大きな進化を遂げた。2011年にはカタール・スポーツ・インベストメント(QSI)による7000万ユーロ(約113億3000万円)の買収が行われ、クラブはフランスサッカー界の頂点に立った。ライバルであるリヨンを蹴落とし、チャンピオンズリーグの常連候補となった。

この成功には多大な投資が必要だった。QSIは数々のスター選手に巨額の金を投じ、2017年にはネイマールに史上最高額の移籍金を支払った。しかし、いまだチャンピオンズリーグのタイトルは手にしていない。

それでも、QSI時代の中でもその前の時代にも、パルク・デ・プランスを訪れて栄光を追い求めた優れた選手たちが数多くいた。クラブの短い歴史の中で特筆すべき25人の選手を紹介する。

  • FBL-FRA-LIGUE1-PSG-RENNESAFP

    25サルヴァトーレ・シリグ

    かつてジャンルイジ・ブッフォンの後継者として期待されたイタリアのゴールキーパー、サルヴァトーレ・シリグは、200試合近い出場を果たしたPSGでのキャリアに複雑な感情を抱いているかもしれない。QSI時代初期に加入し、2シーズン目にはリーグ・アンの無失点記録を更新するなどゴールを守る信頼できる存在として君臨。2014-15シーズンの国内3冠をはじめ、クラブを数々のトロフィーに導いた。しかし翌夏、PSGは新たにケヴィン・トラップを獲得し、シリグは事実上の第2キーパーとして扱われた。

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  • Paris Saint-Germain's  Nene runs during AFP

    24ネネ

    PSG買収前の最後のスター、ブラジルのジャーニーマンであるネネは、パルク・デ・プランスでの2年半を通じて、その華麗なスタイルとセットプレーで多くの称賛を得た。2011-12シーズンには、クラブ買収や新たな選手たちの加入と動乱が相次いだにもかかわらず、リーグ・アンの得点王となった。だが、翌シーズンにはポジションを失い、2013年1月にはアル・ガラファに移籍した。

  • Lionel Messi PSG 2023Getty

    23リオネル・メッシ

    リオネル・メッシがランキングリストの下位に位置することは極めて稀だが、PSG在籍期間はクラブや本人にとって特に良い思い出ではなかったはずだ。パリはバルセロナの財政難を利用し、2021年にアルゼンチンのスーパースターを獲得したが、キリアン・エンバペやネイマールとともに、歴史上最も恐ろしい攻撃陣を作ろうとした試みは失敗に終わった。ピッチ外の問題はあったものの、それでもメッシはピッチ上で輝きを保ち、75試合で67得点に関与。特に在籍最終年となった2シーズン目は35歳という年齢ながら得点を量産。21得点20アシストを記録し、バロンドールも手にした。

  • Paris-Saint-Germain's defender ChristophAFP

    22クリストフ・ジャレ

    かつては途中出場で影響を与える選手だったクリストフ・ジャレは、2009年の加入後カタール資本に移行する中で特に重宝され、150試合近い出場を果たした。右サイドバックと中盤をこなすジャレの安定したパフォーマンスはカタール時代でも評価され、カルロ・アンチェロッティによって2012年にクラブキャプテンに指名された。「ジャレは非常に安定した選手だ。戦術ミスはなく、常に集中し、ダイナミックだ。私はジャレのことをよく知らなかったが、彼のパフォーマンスはいつも良く、非常にプロフェッショナルだ」とイタリアの知将は当時語っている。

  • Lavezzi PSGImago Images

    21エセキエル・ラベッシ

    エセキエル・ラベッシは全盛期にナポリから移籍したことで、2012年にPSGが獲得した際に大きな注目を集めた象徴的な選手だった。最初はチームに馴染むのに苦しんだが、最終的には信頼のおけるプレーヤーとして、リーグ・アンの19年ぶりのタイトル獲得に貢献した。しかし、2シーズン目はやや低調で、途中交代が多くなり、最終的にはメンバーから外れ2016年に退団した。ピッチ外での人気が高く、今でもファンの心に刻まれている。

  • Juventus v Paris Saint-Germain: Group H - UEFA Champions LeagueGetty Images Sport

    20ジャンルイジ・ドンナルンマ

    ジャンルイジ・ドンナルンマはまだ25歳で、まだキャリアのピークに達していないはずだ。このリストの順位をさらに上げる可能性が高い。2021年にパリ・サンジェルマン(PSG)がACミランからこのイタリア人ゴールキーパーを引き抜いた際、大きな一手と評価された。しかし当初は、ケイロル・ナバスとのポジション争いで苦しみ、低調な滑り出しではあった。現在はようやく第1キーパーの地位を確立したものの、期待されたほどのパフォーマンスは発揮できていないかもしれない。それでも、ドンナルンマのシュートストッピング能力は確かで、PSGでの出場試合の4分の1でクリーンシートを達成している。将来的にも頼りになる守護神として活躍し続けるだろう。

  • Ronaldinho PSG OMGetty

    19ロナウジーニョ

    ロナウジーニョがヨーロッパで初めて腕を磨いたクラブがどこか知りたいなら、その答えはPSGだ。ロナウジーニョは2001年に少年時代を過ごしたグレミオから移籍し、最終的に300万ポンド(約5億7200万円)にも満たない移籍金で加入した。当初はスロースタートで、当時の監督ルイス・フェルナンデスと生活について衝突があったが、やがてワールドクラスのポテンシャルを見せ始め、派手なフェイントやトリックで観衆の目を釘付けにした。一方で不安定な面もあったが、それでも77試合で42得点に貢献し、2003年にはバルセロナからの誘いを受けることになった。

  • Paris Saint-Germain's Argentinian GabrieAFP

    18ガブリエル・エインセ

    ガブリエル・エインセは、マンチェスター・ユナイテッドとレアル・マドリーで名脇役として存在感を示したが、その前にヨーロッパで名を馳せたクラブがPSGだ。彼のキャリアで最も多く出場したのもこのクラブで、132試合に出場している。この無骨なディフェンダーはPSGでの3年間は守備の要として貢献し、常に最終ラインに君臨し続けた。2004年のクープ・ド・フランス優勝の際には中心的な役割を果たしたが、不運にも決勝戦を欠場。だが活躍は認められ、その夏にユナイテッドへ移籍する運びとなった。

  • FOOT-C1-LA COROGNE-PSGAFP

    17ジェイ・ジェイ・オコチャ

    「素晴らしすぎて2度呼ばれる男」ジェイ・ジェイ・オコチャ。2001-02シーズン当時、PSGにはオコチャとロナウジーニョが共に在籍していたが、オコチャはちょうどフランスでのキャリアを終えつつあり、その後ボルトンで名実ともに「バークレーズマン」(※2001年から2016年頃までにプレミアリーグに在籍した、ファンカルチャーに浸透した有名選手)として活躍することになる。オコチャは、自身がロナウジーニョの成長に一役買ったと自負しており、「ロナウジーニョは僕の技術やドリブルを真似しようとした」と述べている。PSGでの彼は2000年代の元祖エンターテイナーとして、驚異的なテクニックと華麗なドリブルでファンの心をつかんだ。4年の在籍で113試合に出場したが、フェネルバフチェから高額な移籍金で加入しながらも2002年の退団までに獲得したタイトルはインタートト・カップのみであった。

  • Javier Pastore PSG Montpellier

    16ハビエル・パストーレ

    QSI時代の最初の補強の一人として、ハビエル・パストーレはそのケガの多さにもかかわらずファンのお気に入りとなった。パストーレはPSG加入後最初のシーズンに16ゴールを挙げ、ファンの心をつかんだ。その後同様の得点数を挙げることはなかったものの、2014-15シーズンには17アシストを記録した。度重なる怪我やPSGが似たポジションの選手に多くの資金を投入したことが彼のキャリアに影響を及ぼしたが、このアルゼンチン人の持つ卓越した能力と巧みさはファンの間でずっと愛され続けるだろう。

  • Presnel-Kimpembe(C)Getty Images

    15プレスネル・キンペンベ

    カタール資本によるPSG買収後多くの大物選手が加入した中、アカデミー出身の優秀な選手たちがスター選手と共にプレーすることが理想的な状況だった。多くのアカデミー卒業生が売却されていったが、ボール扱いの巧みさとタフな守備を併せ持つプレスネル・キンペンベは確固たる存在感を示してきた。29歳になった今、このセンターバックはケガに悩まされつつも故郷のクラブで250試合以上に出場している。彼の存在は、レ・パリジャンのユースから這い上がってくる若い選手たちにとって大きな希望であり、クラブが新たな方向に進む中で、多くの選手がトップチームの一員として活躍している。

  • Achraf Hakimi PSG 2023-24Getty

    14アクラフ・ハキミ

    2021年にスクデットを制したインテルから加入したアクラフ・ハキミは、パリで最も攻撃的なサイドバックとしての評価を高めた。ほぼ常に試合に出場し、すぐにキープレイヤーとしての地位を確立。名目上はディフェンダーながら、これまで128試合で37ものゴールに関与してきた。ボルシア・ドルトムント、レアル・マドリー、そしてインテルで技術を磨いてきたが、PSGが最も居心地が良さそうだ。

  • FBL-FRA-LIGUE1-PSG-CAENAFP

    13マクスウェル

    リーグ・アンの公式サイトはマクスウェルを「静かな伝説」と非常に的を射た言葉で表現している。左サイドバックとしてPSGで5シーズンにわたりクラブに忠実に貢献し、最後のシーズンを除いて全シーズンでリーグ・アンのタイトルを獲得、その結果、歴代最も多くのクラブタイトルを獲得したサッカー選手となった。守備に安定感があり、200試合以上に出場しクラブのレジェンドとなった。在籍期間中に通算25アシスト、13得点を記録している。このブラジル人はクラブからも非常に高く評価されており、現在はアシスタント・スポーツダイレクターとしてクラブに復帰している。

  • Keylor Navas PSG Goal50 SLIDELISTGetty

    12ケイロル・ナバス

    PSGのケイロル・ナバスに対する扱いはよくわからなかったが、パルク・デ・プランスでプレーしていた時、世界最高のゴールキーパーの一人だった。2021年にレアル・マドリーから移籍し、敏捷性やシュートストッピングの能力とボールコントロールの技術を兼ね備えた現代的なゴールキーパーのロールモデルだった。しかし、2021年にACミランのドンナルンマ獲得に動いたPSGの方針により、2人のゴールキーパーは役割を共有することになり、最終的にナバスはチームを去ることとなった。2024年にフリーエージェントとして去った際にはヒーローのような見送りを受けた。

  • Thiago Motta | PSGGetty Images

    11チアゴ・モッタ

    チアゴ・モッタは、同世代で最も過小評価された守備的MFの一人だろう。PSG買収後のチームで主力として活躍し、6年半にわたって5つのリーグタイトルと数々のカップ戦を制覇した。1000万ユーロ(約16億1800万円)でインテルから加入した彼は、まさにバーゲンだった。このイタリア人は中盤を支配しつつも品格を漂わせ、2018年にパルク・デ・プランスで引退するまでに230試合以上に出場した。華麗なキャリアの中でも特に多くの試合をこのクラブでこなしている。

  • Blaise Matuidi PSGGetty Images

    10ブレーズ・マテュイディ

    QSI時代初期の大型補強の一環として2011年に加入したブレーズ・マテュイディは、移籍金たったの800万ユーロ(約12億9400万円)でパリにやってきたが、結果的には大成功を収めた。チアゴ・モッタとともに中盤で重要な役割を果たし、圧倒的なエネルギーを持つ選手として、PSGのために決定的なゴールを数多く決めてきた。オリンピック・リヨンやオリンピック・マルセイユ、さらにはバルセロナ(2度)を相手に重要な得点を記録した。すぐさまファンの心をつかんだ疲れ知らずのフランス人は約300試合に出場し、33ゴールと29アシストを挙げその支持に応えた。2017年にユヴェントスへ移籍するまでに、クラブに16のタイトルをもたらしている。

  • Angel Di Maria PSG Monaco Coupe de la Ligue 01042017

    9アンヘル・ディ・マリア

    アンヘル・ディ・マリアは史上最高のウインガーの一人として、PSGでのキャリアを大きく彩った。295試合で実に212ものゴールに関与したその活躍ぶりは驚異的だ。マンチェスター・ユナイテッドでの不運な時期を経て、PSGでは移籍後初めてのシーズンで40得点に貢献する飛躍を遂げた。7年間にわたるパリ生活の終盤に至るまでコンスタントに高いパフォーマンスを見せ、特に右サイドからのドリブル、クロス、ロングシュートで敵に大混乱をもたらし続けた。ファンに最も支持される選手となったのは、2019-20シーズンのチャンピオンズリーグ準決勝で1ゴール2アシストを挙げたときのような驚異的なパフォーマンスが大きな理由だろう。

  • Marco Verratti PSG 2022-23Getty Images

    8マルコ・ヴェッラッティ

    まだ31歳のマルコ・ヴェッラッティだが、PSGでキャリア最盛期を過ごした。パルク・デ・プランスで10年以上を過ごし、守備的MFとしての価値を打ち立てた。数々の厳しいタックルでチャレンジし、その分だけ多くのイエローカードをもらいつつも、その容赦ないプレースタイルで支持を集めた。このイタリア人は2010年代以降クラブにとってくさびのような存在で、416試合に出場しクラブ歴代出場記録2位に名を連ねる。2023年に移籍するまでに22もの主要タイトルを手にしている。

  • PauletaGetty Images

    7パウレタ

    QSI時代以前に活躍したPSGの英雄パウレタは、2000年代にクラブの得点源として君臨した。ポルトガル代表としても知られるパウレタは、在籍時通算109ゴールを記録し、クラブの歴代得点記録を更新している。ただし、新オーナーの大型補強選手たちによってその記録は後に破られた。リーグ・アンで3度の得点王に輝き、移籍の噂が絶えない中でも5年間クラブに忠誠を尽くした。2004年のフランスカップ決勝でゴールを決め6年ぶりのタイトルをもたらしたことでも知られ、2008年のクープ・ドゥ・ラ・リーグ決勝でも得点を挙げている。

  • MarquinhosImago

    6マルキーニョス

    マルキーニョスはフランスの首都で10年以上を過ごし、「ミスターPSG」と呼ばれる存在になった。クラブの歴史上最も優れた補強の一つとして称賛されるに違いない。マルキーニョスはトップクラスのセンターバックへと成長し、ここ5年間はキャプテンとしてチームを率いてきた。特に2020年のチャンピオンズリーグ準決勝に代表されるように決定的なプレーも見せている。450試合以上に出場し、クラブで最多出場選手となった。

  • Thiago Silva PSGGetty Images

    5チアゴ・シウヴァ

    PSGの最も象徴的な契約のひとつとされるチアゴ・シウヴァは、クラブを欧州サッカーの強豪に押し上げる立役者だった。彼はどのチームでもレジェンドとしての地位を確立しており、パリでも例外ではない。「オ・モンストロ(怪物)」と呼ばれるチアゴ・シウヴァは守備の要としてまさに怪物のようなパフォーマンスを見せた。パリでは300試合以上に出場し、キャプテンとしてリーグ・アンのタイトルを7回獲得するなど、数々の個人とチームの栄誉を手にした。ブラジルのアイコンはパリ在籍期間中、常に世界最高のセンターバックの一人と評価された。

  • Edinson Cavani PSGGetty Images

    4エディンソン・カバーニ

    21世紀になってからPSGは強力な攻撃陣を誇ってきたが、その中でもエディンソン・カバーニは特に際立っていた。ゴール前での冷静な判断で知られ、300試合で200ゴールを決めクラブの歴代得点ランキングで2位に立つ。常に得点を量産し、特に2016-17シーズンにはリーグ36試合で35ゴールを挙げ、さらにカップ戦で14ゴールを奪った。カタール資本による買収以降チームに加わったチームメイトたちと同じく、カバーニは多くのトロフィーを手にし、ファンの心をつかんでクラブを去った。

  • Neymar PSGGetty

    3ネイマール

    別の状況であればこのリストのトップに立っていたかもしれない。ネイマールは2023年に辛辣にクラブを退団したが、それでも有名なダークブルーのユニフォームを着た偉大な選手の一人だ。このブラジル人はQSI時代の象徴的な移籍選手で、2017年にパリの主役となることを約束され、バルセロナから2億2000万ユーロ(約359億円)という驚異的な金額に釣られてPSGに移籍した。7年の間に彼は華麗な個人技や卓越したゴールでファンを魅了したが、結果的にパリ在籍時代の栄光は負傷やチャンピオンズリーグ制覇の夢に届かなかったことで曇ってしまった。2023年にクラブやファンとの関係が悪化した末にアル・ヒラルへと移籍し、173試合で195の得点に関与するという記録を残した。

  • Zlatan Ibrahimovic PSGGetty

    2ズラタン・イブラヒモヴィッチ

    PSGのスーパースター時代を始動させた立役者といえるズラタン・イブラヒモヴィッチは、「王として到着し、伝説として去った」選手だ。パリで数々の驚異的なゴールを積み上げ、リーグ・アンで3度得点王に輝き、最後のシーズンにはリーグ38得点を記録した。クラブを離れるまでに180試合で156ゴールと56アシストを上げ、4シーズン全てでリーグタイトルを獲得。ACミランからわずか2000万ユーロ(約32億4000万円)で加入したイブラヒモヴィッチはPSGの近年の歴史で最も価値のある補強とされ、パリのレジェンドと称えられている。

  • FBL-FRA-CUP-LYON-PSGAFP

    1キリアン・エンバペ

    PSGがこの25年間で誇ったエリートたちを比べると1位は熾烈な競争になったが、その中でもキリアン・エンバペはゴール、持続性、安定性において最も輝いていた。驚異的なスピードと圧倒的な得点力から、フランスサッカー史上最も恐るべきフォワードとされている。エンバペのPSGでの記録は驚異そのもので、308試合で256ゴールを決め、カバーニを56ゴール差で上回りクラブの歴代得点王となった。さらに在籍期間中の108アシストも無視できない。ただ、ネイマールと同様、エンバペをもってしてもチャンピオンズリーグ制覇には届かず、長らくレアル・マドリーへ移籍を希望していた中でクラブとの関係は悪化していった。それでも、PSGに関わる誰もが2017年にエンバペのためにモナコに支払った1億8000万ユーロ(約291億2千万円)の価値が十分にあったと口を揃えるだろう。結果的に主要なトロフィーを17個手にし、クラブを去った。