Hall of fame Roberto Carlos

ロベルト・カルロス:二度と現れない史上最高のサイドバック【GOAL's Hall of Fame】

ロベルト・カルロスを見て育ったことは忘れられない経験である。彼がピッチで生み出したものは脳裏に焼き付いている。一生消えない記憶だ。

ロベルト・カルロスの天才ぶりを目撃できなかった者は、ぜひとも追体験すべきだ。彼の驚異的な才能を収めた数多くのYouTube動画を、少なくとも1日1回は視聴し、自ら学びを深めてほしい。絶対に後悔はさせない。

サッカーは確かに進化したが、30年前でさえ革命的なプレーができる選手たちは存在した。間違いなく時代を先取りし、今日のスーパースターたちに匹敵し、あるいは凌駕する存在だった。戦術と固定観念が支配する現代サッカーでは、魔法のような瞬間は儚い。サッカーのピッチは、まさにロベルト・カルロスの遊び場だった。

  • 史上最高

    急性のノスタルジアか、うんざりするレトリックか。呼び方はどうあれ、過去の偉大なチャンピオンやレジェンドには、少なくともその特徴的な面において、その後何年にもわたり、いわゆる後継者が現れてきた。

    「新たな○○」という比較が氾濫するのを我々は目にしてきた。こうした比較が的確であったことも時にはあったが、大抵は的外れだ。実際、特定の選手たちには比較対象すら存在しない。そう考えると、「新たなロベルト・カルロス」という言葉を耳にしたことがあるだろうか。おそらくあるまい。なぜなら、この天才的なブラジル代表選手に近づくことすらできた選手は、これまでひとりもいなかったからだ。そして実際のところ、今後も現れることはないだろう。

    ロベルト・カルロスは唯一無二の存在だ。その比類なき才能は再現不可能である。「100年に1人」という言葉さえ、ロベルト・カルロスの場合は控えめな表現に思える。技術だけでなく、その肉体美においてもそうだ。身長168センチ、体重70キロのロベルト・カルロスは、超自然的な爆発力を秘めた小型のポケットロケットだった。驚異的な筋力――彼の大腿四頭筋の周径は66cmと68cmだった――とともに、100メートルを11秒未満で走破するスピードも兼ね備えていた。速すぎる。

    まさに神からの贈り物だ。当時、比較可能なトレーニング機器は存在せず、世界的なビッグクラブでさえ、複数の専任のフィットネスコーチや現代のような最先端施設をもっていなかったことを忘れてはならない。それにもかかわらず、彼は1シーズン70試合をケガも不満もなく戦い抜いた。驚異的である。

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  • Real Madrid's Roberto Carlos reacts afteAFP

    完璧なフルバック

    戦術的役割がほぼ固定されなくなった現代のサッカーにおいて、ロベルト・カルロスはサイドバックというポジションを変革した。もちろん、このブラジル代表選手の特徴としては、数々の驚異的なフリーキック、ボールを足元にキープしながらの蛇行走法、さらに40ヤード(約36m)先からでもGKをものともしない左足の破壊力が知られているが、YouTubeでは見られない天才的な閃きも存在する。

    実際、このレアル・マドリーの伝説的左サイドバックは、常に並外れた戦術的知性、ポジショニング感覚、危険察知能力を発揮し、自分たちのサイドを突破してくる相手に対処する際にも、ピッチの反対側で大混乱を引き起こすのと同じくらい決定的な存在だった。

    レアル・マドリーの真の銀河系軍団時代において、守備と攻撃の両面で効果を発揮した彼は、おそらく唯一無二の存在だった。鋭いドリブルと正確無比なシュートで相手GKに恐怖を与えつつ、サイドラインまで駆け上がってピンポイントのクロスを供給し、即座に反撃の機会を封じるために戻ってくる。チームメイトを鼓舞する存在として、そのプレーにはリーダーシップとカリスマ性があった。決して止まることを知らない機関車だった。

  • 紛れもないカリスマ

    ロベルト・カルロスは永遠のカリスマとして記憶されるだろう。ピッチ上で見せたこの世のものとは思えぬ才能だけでなく、広告業界やビデオゲーム業界にも影響を与えたからだ。例えば『ウイニングイレブン』の初期バージョンをプレーした世代は、人間やAI相手にこのブラジル代表選手の驚異的なスピードとシュート力を炸裂させた日々を懐かしく振り返るに違いない。まさに止められない存在だった。

    物理の法則を無視したフリーキックや比類なき存在感の他にも、ロベルト・カルロスのキャリアにおける功績は語りつくせないものがある。タイトル獲得数では、リーガ・エスパニョーラを4度、UEFAチャンピオンズリーグを3度、インターコンチネンタルカップを2度、ワールドカップを1度、コパ・アメリカを2度勝ち取った。レアル・マドリーの象徴的な白のユニフォームを着て合計69得点を記録し、かのクラブの輝かしい歴史には、長年にわたり活躍したフェルナンド・イエロとセルヒオ・ラモスに次ぐ、最も得点力のあるDFのひとりとして、その名が刻まれている。

    また、チャンピオンズリーグの最優秀DF賞を2年連続で受賞し、2002年のバロンドール投票では、チームメイトであり親友でもあったロナウドに次ぐ2位だった。さらに4年後、レアル・マドリーで、スペイン以外の国の出身選手の最多出場記録を樹立。偉大なアルフレッド・ディ・ステファノの記録を塗り替えた。生まれながらの勝者であり、おそらく史上最も安定したブラジル代表選手のひとりだろう。ロベルト・カルロスは10シーズンにわたり最高峰の舞台で活躍し続けた。

    要するに、ロベルト・カルロスはサッカー史上最高の選手のひとりとして歴史に刻まれるべき存在なのだ。記念碑的なサッカー選手であり、世代を超えたカリスマ以上の存在である。彼はアイドルであり、ロールモデルであり、サッカーを始めようとする者たちにとって素晴らしいお手本である。そして、「新たなロベルト・カルロス」が現れるかという問いへの答えはこうだ――不可能。

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