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ディオゴ・ジョタ:優勝争い中のリヴァプールで最も復活が求められる選手

先週の日曜のマンチェスター・ユナイテッドとのドロー、そしてクリスタル・パレス戦の敗戦は、リヴァプールのファンにとって手痛い結果であった。プレミアリーグ優勝をその他の2大チームと争っていることを考えると、かなり苦しい事態である。

だが、ここにきて嬉しい知らせが舞いこんだ。アリソン・ベッカー、トレント・アレクサンダー=アーノルド、ディオゴ・ジョタが、揃って復帰を果たしたのだ。3人ともユルゲン・クロップ監督のチームにとって鍵となる選手だ。

アリソンはハイ・リスクなプレースタイルで凡ミスを犯しやすいこともあるが、2018年にローマから加入して以来、たびたびレッズの危機を救ってきた。また、アレクサンダー=アーノルドは、周辺をレアル・マドリーが嗅ぎまわっていると言われるが、右サイドからのパスやクロス、マルチなプレーぶりで生まれ故郷のチームに必要な選手となっている。それでもチームに最も欠かせないのはジョタなのだ。

アリソンはリヴァプールで文句のつけようのない背番号1であるかもしれないが、彼の不在はクィービーン・ケレハーが充分にカバーしているし(木曜のアタランタ戦ではミスをしたが)、アレクサンダー=アーノルドが復帰すればたちまちレッズは今まで以上に危険な存在となるだろうが、ここ数週間の試合でもチャンス・メイクが問題になっているわけではない。問題は彼らとは無関係で、だからこそ、ジョタの復帰が非常に重要になる可能性があるのだ。

  • Diogo Jota Liverpool 2023-24Getty

    必殺のストライカー

    モハメド・サラー、ダルウィン・ヌニェス、ルイス・ディアスが次々にチャンスを無駄にした今、ジョタの不在を嘆かなかったレッズ関係者は世界中にひとりもいないだろう。

    サラーがイングランド・サッカー史上最高のフォワードのひとりであることは明らかであり、マンチェスター・U戦では試合の最終盤にPKを冷静に決めてチームに勝ち点1をもたらしたが、リヴァプールの直近の4試合では、いつもの必殺のストライカーらしさが見られないでいる。

    その試合、ディアスとヌニェスも揃って先発したが、2人とも相変わらず決定力に欠けており、途中出場したコーディ・ガクポもインパクトを残せなかった。

    アタランタに敗れたヨーロッパ・リーグ準々決勝でも同じだった。ヌニェスはボールをスルーするミスを犯し、ガクポも精彩を欠いた。サラーとディアスでさえ、途中出場で起用されても試合の流れを変えることが全くできなかった。

    最悪だった試合で唯一の光明が、残り時間15分から出場し、エネルギッシュで味方を鼓舞するプレーをしたジョタだった。

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  • DIOGO JOTA LIVERPOOL PREMIER LEAGUE 12112023Getty Images

    「彼に匹敵するのはファウラーだけ」

    サラー、ロビー・ファウラー、マイケル・オーウェン、フェルナンド・トーレス、ルイス・スアレス。リヴァプールは、プレミアリーグにおいて、信じられないほど素晴らしいストライカーを輩出してきた。1月、元DFジェイミー・キャラガーが、その中でもジョタが一番だと主張して、大騒ぎになった。Sky Sportsの解説者は、「ジョタに匹敵するのはファウラーだけ」とまで言ったのである。

    この発言はかなり大胆なものだった。ファウラーは、最初にアンフィールドでプレーしていた時に120得点をあげ、リヴァプールのファンが「God(神)」と呼ぶ人物である。だが、キャラガーが言いたいこともわかる。絶好調の時のジョタは最高の選手なのだ。

    今シーズンのジョタは、トータルショット率とビッグチャンス・コンバージョン率(それぞれ23.73%と66.67%)が、リヴァプールの同僚サラー(19.8%、55.6%)、ヌニェス(11.9%、20.9%)、ガクポ(16.3%、36%)、ディアス(12.5%、45%)だけでなく、スーパースターのアーリング・ハーランド(20.3%、33.3%)やキリアン・エンバペ(22%、44.7%)をも上回っているのである。

  • Jurgen Klopp Diogo Jota Liverpool Brentford 2023-24Getty

    「プレースタイルにうってつけ」

    ジョタはまた、オールラウンドなプレーでリヴァプールの試合に大きく貢献している。キャラガーの指摘によれば、2020年に4,100万ポンド(約78億円)でリヴァプールがウルブスからジョタを獲得した時、「大勢の人たちが頭を掻いた」が、クロップ監督は、当時ヌーノ・エスピーリト・サント監督のチームにいたこのポルトガル代表のプレーを初めて見た時から引きつけられていた。リヴァプールの監督はジョタが「自分たちのプレースタイルにうってつけ」であると思ったのだ。そして事実そのとおりだった。

    ジョタはたちまちアンフィールドに馴染み、最初の10試合で7得点をあげると、容赦ないプレッシングと前線ならどこでもプレーできる素晴らしい能力で、懐疑的にみていた人たちを信者にしてしまった。クロップ監督も、ジョタの成熟さとメンタルの強さに脱帽した。

    テクニックでも戦術でも気質でも、ジョタはリヴァプールに完璧にふさわしい選手だった。唯一の弱点はフィジカルだった。

  • 20240220 Diogo Jota(C)Getty Images

    「毎試合ケガをする」

    ジョタはリヴァプールでプレミアリーグの95試合に出場し40得点をあげている。なかなかの成績だが、ケガさえなければもっと多くの点を決めていたことだろう。

    2月上旬、ジョタはサラー不在のリヴァプールの攻撃を牽引していた。監督によると、ジョタは多くの人が思う以上にケガをしやすいという。「ディオゴは毎試合クレイジーなほどケガをする」と、ドイツ人監督はリポーターに語った。「ディオゴがここに来てからの数年間で私が受け取った診断書のリストを見ると、ほとんどすべての試合で彼の名前が出てくる。深刻な『ケガ』ではなく、『打撲』とか『打ち身』とか、『あれ』とか『それ』とか…本当に毎試合なんだ」

    「それだけでなく、ジョタは何度か長すぎるほど長く試合に出られなかった。そうでなかったら、得点数は全然違っていたはずだ。知ってのとおり、文字どおり彼は今、飛んでいる。すべてが軽く、フレッシュで、爆発的で、何より彼はいつも、非常に賢いサッカー選手なんだ」

    それから2週間もしないうちに、1月のプレミアリーグ最優秀選手に選ばれた翌日、ジョタは再びケガをした。

  • 「戻った」

    回復力に優れたリヴァプールは、それでも優勝争いを何とか続けているが、ジョタがオールド・トラッフォードや、アンフィールドで引き分けたマンチェスター・シティ戦にいてくれたらどうなっていただろうか。リヴァプールは後半、圧倒的なプレーでディフェンディング・チャンピオンを追い詰めていたが、決定的な一打をくらわすことが出来なかった。

    怖いのは、そうして落とした勝ち点が、シーズン終盤にクロップ監督や選手たちを悩ますことになるのではないかということだ。だが、ジョタが復活すれば、リーグ戦を高位で終えられるという新たな望みがもたらされるだろう。

    実際、マンチェスター・Cとアーセナルは火曜の夜、チャンピオンズリーグで強豪とタフな試合を戦った。リヴァプールは、優勝争いをするライバルたちが貴重な体力を奪われたことを期待できるだろう。ジョタは、たった一言「戻った」というキャプションとともに、練習中の3枚の写真を投稿し、沈みがちなレッズのファンに大きな希望を取り戻させた。

  • Diogo Jota Liverpool 2023-24Getty Images

    タイムリーな復帰

    アレクサンダー=アーノルドとアリソンの復帰ももちろん、負傷者続出でシーズン終盤の大事な時期にあまりにも多くの選手が不在ながらも耐えているリヴァプールにとって、大きな後押しとなるだろう。

    そんな中、ジョタの復帰は決定的なものとなるかもしれない。とりわけ、今のリヴァプールは無失点試合が出来ないでいる。なんとしてでもアーセナルやマンチェスター・シティを逆転して上回るためには、とれるだけの得点を全部とる必要があるのだ。

    タイトル争いは非常に接戦で、非常にデリケートな様相を呈している。トップ3の命運はたった勝ち点1で変わってくる。さらなる紆余曲折は避けられないだろう。アーセナルは得失点差で大きなアドバンテージがあるが、優勝に最も近いのがマンチェスター・Cであることは間違いない。この2チームはチャンピオンズリーグ準決勝で激突する可能性があり、それは両チームにとって大きな負担になる可能性がある。

    今からシーズン終了までに、リヴァプールには首位を奪うチャンスが来るだろう。ジョタが復活を果たせば、そうなる可能性は高まる。