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C・ロナウドのタイトル獲得の夢は風前の灯火…サウジ・プロリーグ中盤戦の勝者と敗者

その試合はサウジ・プロリーグの優勝争いに決着をつけたのか。12月が始まったばかりで、そう言い切るのは時期尚早かもしれない。だが、1日の第15節でアル・ヒラルが3対0でアル・ナスルに勝ったことで、リーグ半ばを迎えつつある現時点での首位と2位の勝ち点差は7となった。

中東の順位表の形が定まりつつある中、首都リヤドのトップ2チームの激突は、またしてもエキサイティングなプロリーグの週末の大ニュースとなった。

金曜の首位争いとは別に、アル・イテハドはマルセロ・ガジャルド新監督のもとで調子を取り戻しつづけており、木曜の試合ではスター・ストライカーのカリム・ベンゼマが負傷退場したものの、4対2でアル・ハリージュを下している。

同じ夜、3位のアル・アハリはアウェイのアブハー戦に6対0で大勝し、何が飛び出すかわからないアル・タアーウンは土曜のアル・シャバブ戦で逆転勝ちして3位に手が届きそうな勝ち点差になってきた。

その一方、スティーヴン・ジェラード監督率いるアル・イテファクには良いニュースがなく、降格の危機が迫ってきたアル・アフドゥードゥに1対0で負け、イギリス人監督は依然としてプレッシャーにさらされている。

GOALはサウジ・プロリーグの最新の状況を分析し、勝者と敗者を分類してみた。

  • Cristiano Ronaldo Al-Nassr 2023-24Getty Images

    クリスティアーノ・ロナウドのタイトル獲得

    今シーズン、プロリーグで負けなしのアル・ヒラルにアル・ナスルが勝つためには、カリスマであるクリスティアーノ・ロナウドが奮闘し、チームを牽引する必要があった。だが、5回のバロンドール受賞者は必死にプレーしながらイライラした姿をさらしていた。

    C・ロナウドは、ヒラル所属のサウジアラビア代表DFアリ・アル・ブライヒのフィジカルの強さにてこずり、試合中ずっと、コロンビア出身の審判ウィルマール・ロルダンに文句を言っていた。どうしたら試合の流れを変えられるか、探していたようだった。

    そうして後半の45分で3失点したナスルは20試合ぶりの敗戦を喫し、プロリーグの優勝争いから一歩後退した。今や、首位との勝ち点差が7に広がってしまったのである。

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  • 勝者:アル・ヒラルのセルビア代表スターたち

    この夏、アル・ヒラルと契約したネイマールは、トップニュースの見出しをほとんど独占していたが、ケガで不在の間に新たな移籍選手が次々と現れ、特にセルビア代表の二大スターであるアレクサンダル・ミトロヴィッチとセルゲイ・ミリンコヴィッチ=サヴィッチが話題をさらっていった。

    2人は金曜のアル・ナスル戦に勝ったヒラルの3得点すべてに関与し、ミリンコヴィッチ=サヴィッチが後半中盤に先制点を挙げると、ミトロヴィッチは試合終了間近の輝かしい2得点に貢献した。

    フラムから加入したミトロヴィッチは、サウジアラビアに来て以来、20試合で20得点を記録。そのうち13得点がプロリーグでの得点である。C・ロナウドよりたった2点しか少なくなく、得点王争いを面白くしている。

    元ラツィオのスター、ミリンコヴィッチ=サヴィッチも本人は「まだ絶好調ではない」と言っているが、ナスル戦の中盤を見事にコントロールしていた。ミトロヴィッチとともに好調で、首位にいるヒラルが勝ち点差7を詰められる姿は想像しがたい。

  • Karim Benzema Al-Ittihad 2023-24Getty Images

    敗者:カリム・ベンゼマ

    どうやら今シーズンのベンゼマに躍進は望めないようだ。2022年のバロンドール受賞者は、ガジャルド新監督のもと、ようやくアル・イテハドでのキャリアを始める準備ができているように見えた。だが、重傷ではないもののケガを負い、プロリーグでの物語にフラストレーションいっぱいの章を付け加えることになってしまった。

    元フランス代表ストライカーは木曜のアル・ハリージュ戦で、32分に片足を引きずりながらピッチの外に出ると、明らかに目に涙を溜めた姿で交代となった。ペナルティキックを決めてチームのリードを2点に広げた、わずか3分後のことだった。試合は4対2でアル・イテハドが勝利した。

    幸運にも10日ほどで復帰できるようだが、12月12日に行われるイテハドのクラブ・ワールドカップ1次ラウンドのオークランドシティ戦に出場できるかどうかは微妙である。

  • Marcelo Gallardo Al-Ittihad 2023-24Getty Images

    勝者:マルセロ・ガジャルド監督

    ガジャルド監督はまだ3試合しか指揮をとっていないが、アル・イテハドのファンはすでに新監督の名前のチャントを歌っている。このアルゼンチン出身監督は、ヌーノ・エスピーリト・サント前監督と交代してから2勝1引き分けだが、早くもディフェンディング・チャンピオンのイテハドが再び絶好調になりつつある兆候が見えている。

    選手の士気は高く、チームはクラブ・ワールドカップを見据えており、少なくとも2022年に決勝進出を果たしたアル・ヒラルに匹敵する成績を残そうとしている。この時のアル・ヒラルはレアル・マドリーに善戦し、5対3で敗れたのだった。

  • Steven Gerrard Ittifaq 2023Getty

    敗者:スティーヴン・ジェラード

    スティーヴン・ジェラードはアストン・ヴィラの監督を辞めた後、評判を回復させるべくアル・イテファクの監督となった。だが土曜の試合にも負けて、リヴァプールの名MFだったジェラード監督にとって事態は悪化してしまっている。

    イテファクはアル・アフドゥードゥに1対0で負けたのだが、アル・アフドゥードゥはこの試合の前には順位表の下から3番目で、リーグ戦では3勝しかあげていなかったチームである。そんな相手に負けたジェラード監督のチームは全公式戦の直近5試合で未勝利となり、その間の得点はわずか1点のみ。最後に勝利したのは1カ月以上も前である。

    夏に比較的大金を使ったにもかかわらず、プロリーグでは7位にとどまり、今や勝ち点においてはトップ2との差よりも降格圏内のチームとの差の方が少なくなってしまった。ウインターブレークの前に5位のアル・タアーウンや2位のアル・ナスルと対戦するが、ジェラード監督にとって事態が好転する可能性は低い。

  • 勝者:ガブリ・ベイガ

    21歳のガブリ・ベイガが大金のためにナポリを蹴ってアル・アハリに移籍する選択をした時、多くの人が眉をひそめたものだったし、このスペインの若者が中東に到着して以来、事態が特に好転したわけではなかった。

    パッとしないプレーばかりで、1月にはヨーロッパに戻るのではないかという報道すらあったが、木曜のアブハー戦でのパフォーマンスは見逃すことのできない出来だった。ベイガはようやく新しい環境に居場所を見出だしたかもしれない。

    ベイガは2得点2アシストを記録し、アハリの6対0でのアウェイ戦勝利に貢献。チームは3位を維持し、2位のアル・ナスルとの差は勝ち点差4に縮まった。ベイガが残りのリーグ戦でこの調子を維持していければ、マティアス・ヤイスレ監督のチームにC・ロナウドとその仲間たちに追いつくチャンスが来るだろう。